エルエス L85-A1
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
今回紹介するL85-A1を製造していた「LS(エルエス)」というメーカーは、25年ほど前に倒産している。
もとはプラモデルのメーカーで、1970年代頃には1/1スケールで銃のプラモデルを多数ラインナップしていた。
後にエアガンを製造するようになってからは、コストパフォーマンスに優れた製品を続々と世に送り出し、特に初心者ユーザーから大きな支持を得ていたものだ。
中でもL85-A1はほぼ末期の製品のため、リアルな再現性には定評があり、LS製エアガンの集大成ともいえる物だった。
発射方式は外部ソース式だが、当時主流だったBV式とはまったく異なるメカで、パワーがかなり弱かった。
また、マガジンのリップ部分が飛び出しているため破損も多く、サバイバルゲーマーからは敬遠されていたようだ。
L85-A1のトイガンとしては初のモデルアップだっただけに、サバゲーで使えないというレッテルが貼られてしまったのは残念な事だ。
実はこのL85-A1、MMCというメーカーと競作になったのだが、MMCはそもそもLSから分かれて設立されたメーカーである。
それぞれの経営者同士が兄弟だったそうだが、お互いに同じモデルを作っていたというのが興味深い。
LSとMMCが相次いで倒産した後はアリイというメーカーが金型を引き継ぎ、エアコッキングガンとしてしばらく生産されたが、それも長くは続かなかった。
今では不遇のエアガンとして、広くベテランファンの記憶に残っている。
西側軍用のブルパップライフルとしては、ステアーAUGと並んで人気のあるL85-A1。現在、エアソフトガンとしては海外メーカーが製造しているのみで、国産品はなくなってしまった。
レシーバーの面積が広い構造のため、プラスチック製でもある程度の剛性が確保されていた。チャージングハンドルはダミーだが後ろに引く事ができ、連動してダストカバーが開く。
バードケージタイプのフラッシュハイダー。西側の軍用ライフルとしてすでに一般的になっていたスタイルだ。
ガスシリンダーの先端部分。実銃ではここを調整して、ブランクやグレネードランチャーなどのアタッチメントを運用する。
握りやすい形状のハンドガード。当時は黒い銃に緑色のストックという組み合せが意外で斬新だった。
マガジンキャッチは左側に付いている。この個体ではグリップが黒く塗装してあるが、もとはハンドガードと同じ緑色だ。
L85-A1を特徴付けるのがこのSUSATサイト。実物は固定4倍率のトリチウム発光スコープだが、LSでは透明プラスチック板が入ったただの筒。
問題のマガジンリップ。サバゲーに使えば確実に折れてしまう事は想像に難くない。ちなみにMMCのマガジンはリップが飛び出しておらず、もっと耐久性が高い。
プラスチック製のチークピース。実銃のレシーバーはスチールプレス製なので、寒いイギリスの冬では頬をのせられない。
ストック下部に外部ソースのカプラーが露出している。いま見ると少々異様な感じもするが、当時のガスガンはこれが当たり前だった。
DATA
発売年 | 1991年 |
発売時価格 | ¥15,800 |
全長 | 実測 783mm |
重量 | 実測 1,760g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 25発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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