コクサイ ゴールドメダリスト・スコアマスター
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
APSカップ用エアガン、というジャンルがある。マルゼンのAPS-1ドミネーターを皮切りに、KSC、ハドソン、そしてコクサイと、最盛期には4社が参入した、精密射撃シューティングマッチの世界だ。
コクサイのゴールドメダリスト・スコアマスターは、そのAPSカップを意識した精密射撃用で、ゴールドメダリスト・オリンピアのショートバージョンという位置付けとなる。どちらもワルサーGSPをモデファイしたような形状だが、スコアマスターの方がよりワルサーGSPに近いシルエットだ。
ワルサーGSPといえば、1970年代に脚光をあびた.22LR弾を使用する競技専用リムファイアピストルであり、エアピストルではない。他の3社が競技用エアピストルを手本にAPSカップ用エアソフトガンをデザインしていたのに対し、コクサイはあくまでも装薬ピストルがベースだったというのも、このジャンルの中で若干浮いていた原因かもしれない。
肝心の実射性能はといえば、これがいまひとつパッとしないものだった。トリガープルが重く、ファーストステージ(遊び)のない機構はAPSカップシューターに受け入れられず、また、本体重量が重すぎる、というのもマイナス要素だった。
本来なら、精密射撃用のピストルはある程度重い物が理想なのだが、APSカップを手軽なスポーツとしてとらえる一般的なシューターにとっては、やはり軽快な方がウケるのだろう。
かくしてAPSカップ用エアガンは、マルゼンとKSCの二大巨頭がマーケットを築き上げ、結果的にハドソンもコクサイも倒産してしまった。
いま思えば、いっそのことオリジンルデザインではなく、ワルサーGSPのリアルなエアコッキングガンだったら良かったのでは、などと思ったりもするのだが、このビンテージエアガンレビューというコーナーに、「たられば」は禁句なのだ。
トリガー前部にマガジンのある構造や、パームレスト付きのグリップ、とくにアウターバレルの形状などは、ワルサーGSPそのものだ。ここまで似せていながら、最終的にオリジナルデザインとしたのは版権等の理由があったのかもしれない。
コッキングハンドルは左右両用で、右側面に取り付ければ左利きのシューターでも同様に操作できる。本体はHW樹脂製で重量感がある。
リアサイトは上下左右の調整が可能なフルアジャスタブルたが、コンバットシューティング向けのボーマーサイトというのが中途半端だ。前部のレールにドットサイトなどをマウントすることも可能。
特徴的な四角いアウターバレルと、リアサイトに比較するとかなりしっかりとした出来のフロントサイト。インナーバレルのクラウンはテーパー状で、集弾性能向上を目指したことが伺える。
パームレストの上下調整が可能なグリップ。トリガー後ろの丸いボタンは、上がセフティ、下はマガジンキャッチ。 レシーバー後部には発足したばかりのJASG (日本エアースポーツガン振興協同組合)の刻印がある。
コッキングハンドルはかなり長く、操作がしやすい。折りたためる構造になっているのも親切な設計だ。
フロントサイトはブレードの厚みや高さの違う3種類から選べる。
マガジンは実銃だと仮定するとダブルカアラムほどの厚みがある。リップは金属製で、確実にBB弾を保持する仕組み。
パッケージの下箱はゴールドメダリスト・オリンピアと共用で、バレル下に取り付けるウェイトがおさまる凹みがある。
DATA
発売年 | 1993年秋 |
発売時価格 | ¥15,800 (オリンピア) ¥15,000 (スコアマスター) |
全長 | 実測 298mm |
重量 | 実測 1,357g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プルコッキングエアー |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 10発 |
平均初速 | 65.3m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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