コクサイ S&W M29 .44マグナム
写真&解説 YAS
解説
「でもコイツはマグナム44といって、世界一強力な拳銃なんだ。お前さんのドタマなんて一発で吹っ飛ぶぜ。」で有名な、クリント・イーストウッド演じるダーティーハリーの銃、それがS&W M29だ。
もちろん米国だけでなく、日本でも圧倒的な知名度を誇る大口径リボルバーで、現在ではさらに強力なリボルバー用弾薬はあるものの、カリスマ的な存在と言っても良いのが.44口径マグナムリボルバーだろう。
リボルバーに並々ならぬ情熱を注いでいたトイガンメーカー、コクサイ。
1986年に発売したM29パワーアップマグナムではハンマーの撃針がダイレクトに蓄圧式カートリッジ後部を叩く構造であったため、実弾が発射できるとされ、発売禁止、回収される事態となった。
その後、コクサイはより安全な、グリップ内にガスタンクを持ち、筒状のカートリッジへとガスを導きBB弾を飛ばすオーソドックスな構造のリボルバーを発売する。1989年にはS&W M19、1990年にはS&W M29を再発売。その後、1993年にはシリンダー&カート形状変更、インパクトバルブ改良、スナイピングシステムの搭載でリニューアル、またCO2パワーソース版も発売された。今回紹介するのはその後期モデルだ。
特筆すべきはその外観の仕上がり。シャープなエッジの形状はもちろん、スーパーリアルブルーメタルフィニッシュと呼ばれるメッキをベースとした金属風の仕上げは現代の視点で見てもトップクラスに美しく、今なお色褪せていない。
操作感や命中精度もカート式リボルバーにしては良いほうで、ホップ機構も付いているので現代でも十分通用するモデルだと感じた。
8と3/8インチという長いバレルはダーティーハリーの6.5インチよりも断然長い。全長はなんと350mmもある。
バレルには44MAGNUMの刻印があり、フロントサイトにはレッドチップ。インナーバレルは真鍮製でフォーシングコーンの動きによってわずかに前後する仕組み。
リアサイトはフルアジャスタブル。ハンマーはワイドタイプでハンマーノーズは引き込み式。
トリガーは金属製でセミワイドのスムースタイプ。トリガーガード外側はパーティングライン処理されている。トリガープルはSAで約1.7kg、DAで約3kg。
メーカー刻印部にはASGK刻印もある。
シリンダーをスイングアウトしてカートリッジを装填。サムピースの角度を変えるとロックされるエアガン専用セーフティがある。
グリップは樹脂製だが、飴色の艶が実に色気のある質感だ。S&Wのメダリオンもバッチリ入っている。
グリップ底部にガスの注入バルブがある。
金属製カートリッジ。当初はリアルな真鍮弾頭であったが、自主規制改定によりシリンダー前部に安全対策のスリーブを埋め込む都合上、弾頭部がゴムパッキンのみとなった。BB弾は弾頭にセット、段差があるため、装填時にシリンダーに引っ掛かることがあるのが難点。リム部には.44MAGNUMの刻印が入っている。カート単体の重量は約15g。
1990年代中ごろに採用され始めたコクサイ独自の固定ホップアップ、スナイピングシステム。インナーバレル上にホップ用ゴムが飛び出している。またフォーシングコーンはシリンダーに密着して可動するタイプとなっていて、ガス漏れを防ぎ命中精度に貢献している。
実射はHFC134aで、マルイの0.2gバイオ弾を使用した。室内5m程度で少し上に着弾したが、命中精度はシングルアクションでもダブルアクションでも、5~6cmと予想以上にまとまった。初速は65m/s程度あり、安定している。トリガー&ハンマーの作動はグリップ内タンク式だが、なかなかスムーズだ。
深いグリーンカラーのパッケージ。製品No.126。コクサイのホップアップ機構、スナイピングシステム搭載モデルであることがシールで貼られている。認証シールはASGKのもの。
1986年のコクサイ M29 .44パワーアップマグナムの広告。その年の秋には発売禁止、回収となってしまった。
DATA
発売年 | 1990年 (初期型) 1993年 (後期型) |
発売時価格 | ¥15,600 (4") ¥15,800 (6") ¥16,200 (8") |
全長 | 実測 350mm |
重量 | 実測 792g (カート含む) |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 6発 |
平均初速 | 64.73m/s (0.419J) 26.4℃、0.2g弾、HFC134a |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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