コクサイ グロック17-2
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
今回紹介するコクサイのグロック17は、「ニューコンセプトブローバックモデル」と銘打ったシリーズで、コクサイとしては末期の製品にあたる。ピストンカップやリアサイトなど、パーツの一部はタニオコバから供給を受けており、当時、設計もタニオコバではないか、といった噂が流れたほどだが、実際はまったく関係ないらしい。
しかし、外観は小林太三氏が設計したMGCのグロック17とウリふたつで、フレームやスライドの厚さ、形状など、実銃とは若干違うディティールまでなぜかソックリなのは興味深い。内部メカもアフターシュートで、カクン、という独特のトリガーフィーリングまでMGCと同じなのだ。
違うのは、スライドを引いたときにエジェクションポート内がオープンになることと、スライドストップ機能が省略されるなど、随所にコストダウンのあとが見られることだろうか。
ノーマルモデルで9.800円という低価格を実現するため、コストダウンがはかられるのは仕方のないことだが、トリガー側面のシボ加工が中途半端に消えているなど、仕上げの粗さが目立ち、ガンファンからの評価はいまひとつだったように思う。これはもしかすると、製造工場が海外にあったからではないか、とボクは推測するのだが、今となっては確かめようもない。
グロック17の発売とほぼ同時に「超低価格シリーズ第2弾」として、ベレッタM92Fの発売も告知されていた。1994年にエアコッキングのグロック17が発売されていたので、同じシリーズということになる。だが結局ベレッタM92Fは発売されることなく、コクサイは倒産してしまう。
あらためてこのグロック17を手にすると、やはり倒産寸前末期の製品には生気や活気といったものがいまひとつ感じられず、どこか空虚な雰囲気を感じてしまうのはボクだけだろうか。ああ諸行無常、かつてのコクサイの栄華を思い出し、なぜか空しくも悲しい気持ちになるという、不思議なエアガンだ。
グロック17のジェネレーション2がモデルアップされている。フィンガーチャンネルも、サムレストの窪みも、アンダーマウントもないシンプルな形状。
フレーム先端やグリップ後部のラインなど、全体的なデザインがMGCのグロック17にとてもよく似ている。MGCでは取り外せたグリップパネルは、本作ではフレームと一体成形されている。当時すでにスタンダードとなりつつあったホップアップ機構が組込まれており、コクサイではこれをスナイピングシステムと呼んでいた。
なかなか仕上の良いアルミ製のコンペンセイター。コクサイでは本作をカスタムなどとは呼ばず、なぜか「グロック17-2」というバリエーションモデルとして位置づけていた。
アフターシュート方式の宿命で着弾点が下がるため、上下の調整が可能なタニオコバ製カスタムリアサイトが装着されている。内部パーツの一部もタニオコバ製だった。
MGC製と大きく違うのは、エジェクションポートを開けたときに内部ユニットが見えないことだ。ここはもっと大きく評価されても良かった部分ではないだろうか。
グロックの特徴でもあるフレーム下部のシリアルナンバープレートは省略されている。ここに別売オプションのアンダーマウントを取り付けられるようになっている。
トリガーガード上部のテイクダウンラッチがセフティとなっており、スライドストップは無可動のダミー。トリガー側面のシボ加工が中途半端な状態だが、これは金型の段階で加工がうまくいかなかったためだと思われる。
下はMGCのグロック17。全体的に若干角ばった感じでよく似ているのがお分かりだろうか。形状をコピーしたのではないか、と噂されたのもうなずける。
亜鉛合金製のマガジン。プラスチック製だったMGCと比べるとリアルさでは負けるが、冷え対策のしやすさではこちらに軍配が上がる。ガスルートパッキンの形状もシンプルで、ブローバック作動そのものはなかなか優秀だった。
パッケージには1993年にASGKから分かれて発足したJASG(日本エアースポーツガン協会)の認定シールが貼られている。
マニュアルには、フレーム下部にアンダーマウントを取り付ける際、なんとアイスピックや釘(!)で直接穴を開けると書かれている。マニュアル.PDF (3.2MB)
DATA
発売年 | 1998年3月 (グロック17) 1999年9月 (グロック17-2) |
発売時価格 | ¥9,800 (グロック17) ¥12,800 (グロック17-2) ¥12,500 (ロングバレル 300丁限定) |
全長 | 実測 228mm |
重量 | 実測 495g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ガスブローバック |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 15発 |
平均初速 | 57.9m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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