コモダ ウィンチェスターライフル'63
写真&解説 YAS
解説
今回紹介するのはエアガンというよりも「おもちゃのテッポウ」という呼び方のほうがしっくりくるような製品だ。
小茂田商店というモデルガンメーカーが販売していたダイキャスト製のウィンチェスターライフルで、'63とあることから、おそらくだが、1963年製のものではないかと思われる。
戦後まもなくの1950年代、玩具銃は主にヒューブレーやマテル、ニコルスといったアメリカ製のものが輸入されていた。1960年代になると国内でも玩具銃やモデルガンが製造されはじめ、その一部は海外へ輸出された。
小茂田商店(コモダ)は製造メーカーというよりは商社であり、国内で製造した玩具銃を輸出もしていた。1970年代になるとコモダは比較的安価なモデルガンを販売するようになる。
ワルサーPPK、P38、ブローニングハイパワーといったオートマチックをラインアップし、これらはタニオアクションの樹脂製モデルで、キャップ火薬を使用した発火モデルだ。チーフスペシャルなどのリボルバーも販売していたが、どれもサイズが小さく、他社のモデルガンよりも安価だった。ディティールも微妙で現代の視点で見るといかにもおもちゃ然としたものだった。
小茂田商店は中田商店やMGC、江原商店(CMC)といった大手メーカーの陰に隠れながらも、エントリーモデルを売りとしておもちゃ流通で販売しモデルガンブームを黎明期から支えた。
1960年代はアメリカの西部劇が多く日本にも入ってきて上映されたこともあり、空前の西部劇ブームが巻き起こった。拳銃はシングルアクションアーミー、ライフルはウィンチェスターという定番のモデルが玩具化されたが、当時はリアルスケールであることは稀で、こういったミニスケールのダイキャストやブリキ製の玩具銃が国内で製造され海外へ輸出されていた。
バレル側面にはエングレーブ風の模様が入れられる。インナーバレルはなくダイキャスト製のフレームの張り合わせ式で単なる筒状になっている。
レシーバーサイドにはRIFLE 5 SHOOTING、KKS、TSKの刻印がある。
レシーバーはダイキャスト製で、こちらにもエングレーブ風の模様が施されている。ハンマーをコックするとストライカーが飛び出す。リアサイトはない。
レバーアクションも可能だ。レバーを起こすとレシーバー内からバーが突き出てハンマーを押してコッキングする。
コッキングレバーには小さなスイッチがついており、これを起こすとレバーを戻したときにトリガーを引く仕組みになっている。おそらくラピッドファイアを想定しての機能だろう。
マガジン装弾数は5発。といっても弾がないので装填することも撃つこともできないのは残念だが、おそらく樹脂製の円筒状の小さな弾をボックスマガジンに装填するのだろう。マガジンリップに保持している弾をストライカーで直接押し飛ばす仕組みのようだ。
ストックやハンドガードは樹脂製。ストックと言っても肩付けするようなサイズではなく、手でグリップする程度の大きさだ。コッキングレバーには指も入らないほど小さく、トリガーガードにかろうじて人差し指が入る程度。
手にしてみるとミニチュアモデルだということが分かる。全長は28.5cm、重量は250gしかない。
製造からかなりの年月が経っているのだろう、経年劣化によって風化し、いまにも崩れてしまいそうなパッケージ。パッケージにはWINCHESTER RIFLE '63という製品名のほか、5連発を意味するのであろう5 SHOOTING、<KKS> (小茂田商店) JAPANの表記がある。発売当時には弾も付属していたと思うが、すでに紛失している。
また、このシリーズとしてダイカスト製ライフル'61というものもある。こちらは1961年製だろうか、本製品シリーズに詳しい方がいらっしゃったらぜひご教授いただければと思う。
DATA
発売年 | 1963年 |
発売時価格 | ¥- |
全長 | 実測 285mm |
重量 | 実測 250g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ストライカー式コッキング |
使用弾 | 不明 |
装弾数 | 5発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:ミリタリーグッズ.COM
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