JAC マイクロウージー
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
1980年代後半、当時すでにウージーは時代遅れのサブマシンガンといっても過言ではなかった。しかし、ハリウッド映画の世界ではまだまだ現役で、チャック・ノリス主演のアクションシリーズでは、ミニウージーやマイクロウージーがスクリーンせましと大活躍していた。
当然、エアガン業界も映画の影響を受けてウージーはどれもドル箱、ヒット確定のモデルだったため、各社こぞってモデルアップ競争が激化していた。イチロク戦争の影にかくれてはいたが、ウージー系の競作もそこそこの盛り上がりを見せていたのである。
そんな中、JACはフルサイズのウージーに続き、最小モデルとなるマイクロウージーをラインナップに加えた。 BV式というきわめてシンプルな発射ユニットを持つJACのガスガンは、バリエーション展開が比較的容易だ。マイクロウージーはセミフル切り替え式とすることで、ある程度の高級感を残しつつ、入門機種としての役目を担っていたようだ。
当時、JACはエアガン業界で安定した地位を築いていたが、その大黒柱であるM16シリーズを補強する、二の矢三の矢をひそかに模索していたのかもしれない。
製品の出来自体には、特にこれといった特徴がない。当然だかボルトが動くわけでもなく、レシーバー上のコッキングハンドルさえネジ止めのダミーだ。前述の通りセミフル切り替え式ではあったが、セミオートの安定性はいまひとつだったようだ。
JACがこうした単純なバリエーション展開をしている間に、東京マルイは電動ガンシリーズの2作目となるM16A1を発売し、フィールドには徐々に電動ガンの波が押し寄せていたわけで、いま思うと感慨深いものがある。光陰矢の如し。あのチャック・ノリスもすでに80歳になってしまったそうで、時の過ぎ行くのは本当に早いものだ。
このコーナーで紹介している他のBV式ガスガン同様、今回の個体も内部ユニットを破壊してあるため、発射不能な状態である事を補足しておきたい。
フルサイズのウージーサブマシンガンから、小型化の順番としては二段階下のモデルであるJACマイクロウージー。当時はまだハンドガンの性能が低かったため、サバゲーの世界では機動力を求められるアタッカー用としてそこそこのヒットを記録したようだ。
バレルに斜めに開けられた反動制御用のガスポート。こうしたちょっとしたディティールがより攻撃的なイメージを増幅させる。
リアサイトは左右の調整が可能。本来なら折り畳みストック基部に見える穴からホースが出ており、外部ソースに接続される。
トップカバーは取り外せるが、チャージングハンドルは完全なダミーで、なぜかプラスネジで固定されているのが残念だ。
折り畳みストックは金属製。実用性は低いが、やはりあった方がカッコいい。1992年の秋には限定版としてストックレス仕様でショルダースリング付属のデルタスペシャルも発売された。
セレクターレバーはトリガーに近い方からフル、セミ、セフティ。圧力の不安定なBV式では、確実なセミオートを実現するのは難しかったようだ。
マガジンにはいくつかのタイプが存在したが、この個体に付属していたのはプラ製マガジン。
リップまでプラ製で、このように折れてしまうことも多かった。
インナーマガジンが透明なプラ製のため、残弾確認が目視できた。フルサイズの新旧UZI、MAC10とも共用できた。
DATA
発売年 | 1992年2月中旬 1992年秋 (デルタスペシャル) |
発売時価格 | ¥11,800 ¥9,800 (デルタスペシャル) |
全長 | 実測 265mm / 473mm (ストック伸長時) |
重量 | 実測 1,094g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | 外部ソース式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 50発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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