JAC ブローニングハイパワーMkⅢ
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
JACといえば、アサヒのバトルマスターシリーズをルーツとするBV式ガスガンで一世を風靡したメーカーだが、長年ガンマニアをやってきた者の目から見ると、倒産直前の数年間に発売された物にこそ味わい深い製品が多い。以前紹介した電動ステアーAUGなどその最たる物だが、このブローニングハイパワーも実に興味深い1丁だ。
当時、MGCやタナカなどいくつかのメーカーが開発競争をしていたガスブローバックだが、JACは設計・監修をMGCから独立したばかりのタニオ・コバに依頼する形で、同社初のガスブローバックハンドガンを世に送り出した。ブローニングハイパワーというエアガン初の機種選定、しかも最新型のMkⅢということでファンの期待は大きくふくらんだ。
発売された製品は反動がかなり大きく、ブローバック自体は大迫力だったのだが、それがアダとなりスライドが割れるというトラブルが続出、しかも1993年発売のミリタリー1001から搭載されたSS(スーパーシュート)システムというホップ機構により、鉄製の爪でBB弾を直接引っ掛けて回転させていたため、撃つたびにBB弾が削れて弾道が乱れた。メンテをおこたるとその削りカスがインナーバレルにたまり、さらに弾道を乱すという悪循環を起こしてしまった。
しかも、当時はまだアフターシュートだったこともあり、力強いスライド後退による反作用のせいで狙点よりもかなり下に着弾した。これは命中精度とは別の問題なのだが、前述の強引なホップとあいまって、結果的に「当たらない銃」というレッテルを貼られてしまったのは残念だ。
当時、ハイパワーのトイガンはマルシン製のモデルガンしかなかったため、最新型のMkⅢが立体化されること自体がガンファンには嬉しいことだった。全体的にエッジが立っており、メリハリの効いた外観に仕上がっている。
クロームメッキされた金属製のアウターバレルがアクセントとなっている。
フロントサイトは別パーツで左右の調整が可能。
アフターシュートエンジンのため、スライドを引いてもエジェクションポートは開かない。
MkⅢらしさを感じさせるグリップとサムセフティ。フルストロークで反動が強く、迫力ある撃ちごたえだった。
グリップ前面にはスライドと共通のシリアルナンバーが刻印されている。エアガンとしての通し番号ではない。
マガジンはスチールプレス外装のリキッドチャージ。本体に挿入する際、きつくてマガジンキャッチがかかりにくい個体が多かった。
その原因と思われるのがこのガスルートパッキン。ガス漏れ防止のためか、かなり厚めだったのかもしれない。
パッケージはプラスチック製のガンケースで、当時としてはかなり高級感があった。
DATA
発売年 | 1992年12月1日 (ブラック) 1993年2月中旬 (ハーフシルバー/ターゲット1) 1993年3月20日 (ノバックSP) 1993年春 (ミリタリー1001 SSシステム搭載) 1993年7月18日 (SSハーフシルバー/MkIIIスペシャル) 1993年冬 (SSノバックSP) |
発売時価格 | ¥16,800 (ブラック) ¥19,800 (ターゲット1) ¥18,800 (ハーフシルバー) ¥17,800 (ノバックSP) ¥18,800 (ミリタリー1001) ¥19,800 (ステンレスシルバー) ¥19,500 (SSハーフシルバー) ¥17,800 (MkIII スペシャル) ¥18,300 (SSノバックSP) |
全長 | 実測 205mm |
重量 | 実測 637g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガスブローバック |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 13発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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