グンゼ ソシミ SMG821
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
電動ガンのルーツは、あるエアガンのムック誌に掲載された、個人製作のスクラッチビルドだったと言われている。
その後、業界の先陣を切り、東京マルイが量産品として1991年に発売したのがFA-MASだったというのは、もはや周知の事実だろう。
それに追いつけとばかり世に出たのが、グンゼのソシミSMG821だ。
そもそも、日本では実銃があまり知られていなかったにもかかわらず、なぜソシミをモデルアップしたのだろうか。
そこにはやはり、マルイのFA-MASよりも小型化したい、という強い動機があったものと思われる。
ウージーサブマシンガンよりは小さく、イングラムMAC10よりはやや大きい、片手でも扱えるこの微妙なサイズ感がちょうど良かったのかもしれない。
また、電源に単三型ニカドバッテリーを使うというのも大きな特徴だった。
通常の単三乾電池も使えるというのが売りだったが、結果としてこれは失敗だった。
充電は本体ごとやらなければならず、簡単にバッテリー交換ができるマルイと比べれば優劣は明らかだ。
加えて、本体のサイズに比例してシリンダーも小さく、ローパワーなのも不評だった。
翌年1994年には7.2V 100mAh ニッカド分割式バッテリーパック、L.R.B.スーパーホップシステム、サイレンサーを標準装備したソシミ SMG PROを発売するも、すでにマルイは取り扱いの簡単な多弾数マガジンや可変ホップを実用化しており、総合的な性能ではすでに勝負がついていたと言っても過言ではなかった。
結果的に、こうした斬新なエアガンが受け入れられる状況ではなくなっていたのである。
パッと見はウージーに似ているが、実銃はウージーよりもかなり軽量化されていた。発射速度も若干抑えめだったと言われている。
ピストルグリップ内にマガジンを収納するデザインは、2ndジェネレーションサブマシンガンの特徴でもあった。
レシーバー上面のバッテリーボックス。ここに6本の単三ニカド乾電池を収納する。写真のように通常のアルカリ単三乾電池も使用可。
バッテリーボックスはレシーバーの下面にもあり、なんとここにも6本の乾電池を入れ、合計で12本の電池をセットしなければならない。
独立した充電器が付属しないため、銃に直接コネクターをさして充電する。マルイの方式に比べると不便なのは間違いない。
左はオプションのスチール製ロングマガジン(PROでは標準装備)だが、55発の2列式110連でノーマルのマガジンより装弾数が増えた。ノーマルマガジン側面に見えるのは装弾カットオフレバー。
ノーマルマガジンは底部からリザーブタンクにBB弾を流し込み(約200発)、ボトムプレートを押し込む事で20発が装填される仕組み。
切り替え式のフリップタイプリアサイト。ピープの穴が射手側は小さく、銃口側は大きく開けられているという意外にも凝った作り。
オプションの折りたたみ式ストック。当時は取り回しの良い銃が求められたたため、基本セットにはストックが入っていなかった。
パッケージ。箱絵にもあるように、銃身軸と平行にモーターを設置するというデザインはかなり先進的だったと言える。
全体的に注意事項が多く、メーカー側もはじめての電動ガンに対する説明に難儀していた様子が見て取れる。
マニュアルPDF
DATA
発売年 | 1993年春 ソシミ SMG821 1994年 ソシミ SMG PRO |
発売時価格 | ¥20,000 ソシミ SMG821 ¥28,000 ソシミ SMG PRO |
全長 | 実測 407mm |
重量 | 実測 1,120g |
バレル長 | - |
発射方式 | 電動・乾電池 |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 20発/リザーブ200発 55発×2列110発(スチールマガジン) |
平均初速 | - |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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