グンゼ産業 グリズリー ウイン マグ ステンレスフィニッシュモデル
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
グリズリー ウイン マグのトイガンは、現在に至るまでグンゼ産業のエアコッキングガンが唯一の製品である。グンゼのエアガンは模型メーカーらしくリアルな外観が特徴で、その集大成ともいえるのがグリズリー ウインマグだ。特にこのステンレスフィニッシュモデルは7,000円というエアコッキングガンとしては高価格だったが、各ディティールの作り込みはかなり凝ったものだった。トリガー、ハンマー、セフティ、スライドストップなどは金属製で、スライドやフレームなどの主要ABSパーツもヒケの少ないしっかりとした成形で作られていた。
その反面、残念なことに実射性能がいまひとつだったのも大きな特徴だった。パワーを稼ぐためかピストンスプリングがかなり強めで、0.25g程度のBB弾ではまったく弾道が安定しない。当時は0.43gなどという重量級のBB弾もあったので、そういう物を想定して設計されていたのかもしれない。
後期にはL.R.B.という特殊なホップアップ機構が搭載されたが、これがまた命中精度を落とす原因ともなった。リアルな外観と相反して、「当たらないエアガン」というレッテルを貼られてしまったのは本当に残念だ。
1911がベースになっているが、実銃は.45ウインチェスターマグナムという強力なカートリッジを使うため、全体的にふたまわり以上大型化している。
ブ厚くなってしまったスライドを軽量化するため各部が削り落とされており、それがデザイン的にも洗練される要因となった。
上下左右の調整が可能なミレットサイト。クリックこそないが、エアコッキングガンとしてはかなり贅沢な仕様だったといえる。アンビのマニュアルセフティ、ハンマーハーフコック、グリップセフティ機能も備える。
スライドから少し突き出たロングバレル。マグナムのパワーを十分引き出すには火薬の燃焼時間をかせぐ必要があるのだ。先に発売されたブラックモデルは通常のバレルサイズだった。
チャンバーには45 WIN MAGの刻印。各部のエッジがピシっと立った仕上げは、とてもエアコッキングガンには見えないレベルの高さだ。全弾撃ち尽くすとスライドがホールドし、マガジンチェンジ後、スライドストップを解除して射撃できる。
1911用を前後に延長したようなデザインのパックマイヤーラバーグリップ。チェッカリングやメーカー刻印など、実物と見まがうほどの仕上がり。
マガジンには別パーツのボトムプレートが挿入されている。マガジンウェルの面取りやスキ間なくセットされたメインSPハウジングの造形にも注目。
スライド側面にほどこされたグリズリーベアの刻印。モデル名の通りグリズリーに対抗出来るオートマチックハンドガンというのが売りなのだ。
細い割り箸マガジンが当たり前だった当時、フルサイズ(若干短いが)のマガジンはインパクトがあった。ダミーカートの金色が見えるという演出もニクい。
高級感のあるパッケージ。かなりの意欲作ではあったが、実射性能の低さゆえ営業的には成功ぜず、不遇の名銃だった。
マニュアルにはハンマーのハーフコックやグリップセフティなどの解説があり、他のエアコッキングガンとは一線を画した高級仕様だったことがわかる。
manual.pdf (2.14MB)
DATA
発売年 | 1991年 1993年 (L.R.B.) |
発売時価格 | ¥3,500 (ブラック) ¥7,000 (ステンレスフィニッシュ) ¥4,800 (L.R.B.) |
全長 | 実測 267mm |
重量 | 実測 332g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | プルコッキングエアー |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 21発 |
平均初速 | 59.8m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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