ファルコントーイ ルガー アーティラリー カスタム
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
ルガーP08は過去にもマルゼンと東京マルイの製品を紹介しており、今回で3回目となるわけだが、それだけルガーは人気機種だったということが分かる。中でもファルコントーイは4インチモデルだけではなく8インチアーティラリーまでモデルアップしていたのだから、相当に気合いが入っていたと言えるだろう。
このルガーP08は単にアーティラリーモデル(砲兵モデル)というだけではなく、ルガーとワルサーピストル専門のカスタムガンスミスだった、アメリカの故ジョンマーツ氏が製作したカスタムガンをモデルアップしているのが特徴だ。テイクダウンレバー上の「MSTR」という刻印がその証拠で、これは全弾を撃ち尽くしてトグルブリーチがホールドオープンした状態から、テイクダウンレバーを下げることでトグルをリリースする「マーツセルフトグルリリース」の頭文字である。
残念ながらその機能は再現されていないが(ホールドオープン機能自体がない)、そのかわりトリガーに連動してトグルがせり上がり、発射と同時に「ガチャン!」と勢い良く戻るギミックをそなえている。そのおかげで、連射するとまるでブローバックしているかのようにルガー特有のトグルアクションが楽しめるのだ。まだガスブローバックガンが少なかった当時、こういった遊び心のあるエアガンはガンファンの心をときめかせた。
実射性能もなかなかのもので、ガスの消費量も少なく、弾道そのものは素直だった。今の感覚で見るとかなり牧歌的だが、ファルコントーイらしい独特な世界観を持ったエアガンだと言えるだろう。
アーティラリーモデルはショルダーストックを装着しなければ本来の性能を発揮出来ないのだが、ファルコントーイではストックが製品化されることはなかった。だが安定した実射性能により、一部にはサバゲーに使うユーザーもいたようだ。
ランプタイプのフロントサイト。インナーバレルは奥まっていて見えず、アウターバレルに対してさほど長くないようだ。4インチモデル用と共用だったのかもしれない。
実際に機能するタンジェントタイプのリアサイト。しかし、ゆっくりトリガーを引くとせり上がるトグルにかくれて見えなくなってしまう。
セフティオンにすると実銃通り「GESICHERT(ドイツ語で固定の意)」の刻印が表れ、シアーバーロックプレート(シアーバー自体はダミーだが)がせり上がる。
トリガープレート前方に「MSTR」の刻印。本文中にある通りこれはマーツルガーカスタムの証しだが、残念なことにトグルロック(ホールドオープン)自体が再現されていないため、あくまでも雰囲気を楽しむための刻印だった。
トリガーを引くとトグルがせり上がり、引き切ると同時にガチャンと落ちる。発射機構自体はバレル後退式のガスガンだが、このギミックはかなり好評だったようだ。
グリップ底部のガス注入口。ガスガンとしてはスタンダードなデザイン。
マガジンは細いワリバシタイプだが、金属製のリップが備えられており給弾は確実でスムース。
カスタムモデルということを意識してか、かなり上品なデザインのパッケージ。
取扱説明書には「より安定したグルーピングを得るにはファルコンイエローハイグレードBB弾を御使用下さい」とあり、相当な自信を感じる。マニュアル.PDF (354KB)
DATA
発売年 | 1988年12月中旬 |
発売時価格 | ¥7,800 |
全長 | 実測 405mm |
重量 | 実測 881g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | スライド固定式リキッドチャージガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 16発 |
平均初速 | 56.2m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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