チヨダ ウィルディ ガス15 / スーパーマグナム31
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
1980年代、マグナムオートハンドガンと言えばオートマグ一択だった日本のトイガン界に、彗星のごとく現れたのがウィルディだ。
当時、専門誌で紹介されたそのルックスを見て、「ヘンテコな形の銃だな」と思ったガンファンは少なくなかったはずだ。
それを証明するかのように、どのメーカーもトイガン化を躊躇する中、あえて商品化に踏み切ったのがチヨダである。
発売当初はプッシュ式エアコッキングだったため、大胆にもスライド後部のハンマーが省略されていた。
手の平でスライドを押し込む際のジャマになるからだが、もともと個性的だったウィルディが、ますますヘンな格好になってしまった。
その後もモデルチェンジがくり返され、最終形のスライド固定式ガスガンでやっとハンマーが装備され、完全な形となったわけだ。
しかし、全体的には実銃のウィルディが持つ雰囲気をうまく再現しており、エングレーブの模様など、いま見てもなかなかのものだ。
実銃マグナムオートの世界では、名銃デザートイーグルの登場によって、ウィルディはもはや完全に過去の珍銃となってしまった感がある。
面白い事に、エアガンの世界でもまったく同じ現象が起きており、こうした迷銃(?)が消えて行くのは、やはり残念な事である。
ウィルディ ガス15。ブ厚いスライドに比べて貧弱な印象のバレルに、ウィルディが持つ独特の雰囲気が良く出ている。
日本人の手にも握りやすいよう、グリップ部が若干細くディフォルメされているが、刻印やエングレーブ模様は完璧に再現されている。
こちらはプル式エアコッキングのスーパーマグナム31。装弾数をいちいちモデル名に入れたのは、サバゲーでの使用を想定したからだと思われる。
実銃最大の特徴である、ダイヤル式ガスレギュレーターとピストンロッドが見事に再現されている。
リアサイトは完全無可動の一体型。コストを考えれば仕方のない部分かもしれないが、ユーザーとしてはやはり残念な部分。
ガス15ではマガジンを抜くとガス注入口が現れる。
スーパーマグナム31はエアコッキング。バレル上のリブ状ケースレスマガジンから1発ずつBB弾が落下、シリンダーノズルでチャンバーに押し込む。
左がガス15の割り箸マガジンで、右はスーパーマグナム31のリザーブタンク、つまり中空のマガジン型予備BB弾入れだ。間違えやすいが、ガス15は装弾数19発。
スーパーマグナム31のパッケージ。巻きタバコなど小道具に凝ったデザインが嬉しい。箱写真のグリップは木製のようだ。
ガス15は後期の製品のため、パッケージがかなり簡素化されてしまった。
マニュアルには弾詰まりを防ぐため純正のBB弾を使用せよといった事が書かれているが、実はこの純正BB弾がかなりの粗悪品だった。何とも不思議な話である。
> マニュアルPDF
DATA
発売年 | 1987年2月(スーパーマグナム31) 1990年7月(ガス15) |
発売時価格 | ¥8,300(スーパーマグナム31[ステンレス])¥6,800[ブラック] ¥9,400(ガス15) |
全長 | 実測 380mm(スーパーマグナム31) 実測 290mm(ガス15) |
重量 | 実測 960g(スーパーマグナム31) 実測 475g(ガス15) |
インナーバレル長 | 実測値約215mm(スーパーマグナム31) カタログ値180mm(ガス15) |
発射方式 | プル式エアコッキング(スーパーマグナム31) スライド固定ガス(ガス15) |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 19発(ガス15)/ 31発(スーパーマグナム31) |
平均初速 | 56.8m/s(ガス15)/ 76.4m/s(スーパーマグナム31) |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン