台湾侵攻の想定演習「漢光39号」

台湾侵攻の想定演習「漢光39号」

レポート:王清正

2023年7月24-27日、中国軍の台湾侵攻を想定した定例演習「漢光39号」が台湾の北部の要所の一つ、新北市の八里ビーチで行われた。

台風5号が接近する中、守備軍が敵軍の上陸を阻止する想定で訓練が行われ、視察した蔡英文(さいえいぶん)総統は、今回の演習で国家を守る台湾の決意を世界に見せたと語った。

新北市の八里ビーチ

台風の影響により当初予定されていた空軍の航空機や海軍の戦艦は参加を取りやめ、地上部隊などによる訓練が行われた。守備軍は台湾国産装甲車「雲豹」やM60戦車などを所定の位置に移動させ、消波ブロックやバリケード、塹壕、廃車、トラップ、鉄条網などで防御した上で、無人機を出動させて敵の位置情報などを収集し、地上部隊が攻撃を加えた。

防御陣地
海岸線に構築された防御陣地。T82 20mm連装機関砲、対戦車ミサイルを構える。

防御陣地
マシンガン用の機銃座もある。

AAV-7

また敵軍に見立てた水陸両用車「AAV-7」約20両が新港級戦車揚陸艦から発艦すると、守備軍が仕掛けていた爆薬を起爆させ、赤外線を妨害する煙幕を張るなどした。敵軍に扮した攻撃ヘリコプター、AH-64E(アパッチ)の護衛を受けた軍用ヘリ、UH-60Mから特殊部隊隊員が降下した際には、陸戦隊(海兵隊)がDMS携帯式防空ミサイルで迎撃し、守備軍のAH-64Eが八里ビーチ上の敵を掃討した。

蔡氏は、今後直面する脅威と挑戦はさらに複雑なものになると指摘。複合的な脅威を想定した上で、計画を練り、訓練を強化するべきだと強調。皆で共に国家の安全のために努力しようと呼びかけた。



AH-64E対戦車ヘリコプター。


F-16Vがフレアを展開。


CM-34の後部ハッチから隊員が降車・散開する。




M60A3戦車やHMMWVも演習に参加。


歩兵装備も徐々に近代化している。

CM34 雲豹 30mm機関砲搭載型
CM34 雲豹 30mm機関砲搭載型。> CM34の特集記事はこちら

TOW搭載型のCM-25
CM-32、CM-34、TOW搭載型のCM-25などの装甲車両がみられる。

CM-32
CM-32に搭載される40mm自動てき弾と、7.62mmの74式排用機槍。

無人航空機
無人航空機、魔羯 Moujeiによる航空偵察。

地雷処理
地雷処理を行う。

アベンジャー防空システム搭載型のHMMWV
手前はアベンジャー防空システム搭載型のHMMWV。スティンガーミサイル8発搭載。

防御陣地
防御陣地はウクライナ戦争で見られるロシアの急ごしらえのものと異なり、かなり広々とした空間。

トーチカ窓には、機関銃
トーチカ窓には、機関銃
トーチカ窓には、機関銃が据えられている。

M60戦車も防御陣地
M60戦車も防御陣地に収まっている。

陣地からロケット弾
陣地からロケット弾を撃つ。

演習の記念パッチ
演習の記念パッチ。


撮影: 王清正


2023/08/10


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