20式小銃と16式機動戦闘車 陸上自衛隊 板妻駐屯地 創立61周年記念行事
2023年11月26日(日)に、静岡県の陸上自衛隊 板妻駐屯地にて開催された創立61周年記念行事の展示を紹介しよう。
観閲行進やアトラクションなどはページ下部の動画にてご覧いただくとして、ハイパー道楽の読者としては一番気になるであろう小火器展示からどうぞ!
まずは20式小銃。まだ板妻には20式が配備されてないとのことで、滝ヶ原駐屯地から借りてきたそうだ。
口径 5.56x45mm、全長780~851mm、銃身長330mm、重量3.5kg、装弾数30発、ガス圧利用作動方式、製作 豊和工業。
アッパーレシーバーはアルミ製、ロアレシーバーは樹脂製。レシーバーのトップにはピカティニー規格のレイルがあり、レイルの凹みは22スロット、偶数のみガイドナンバーのレーザー刻印がある。
シリアルナンバーは000386、セレクターは、ア(安全)、タ(単発)、レ(連発)の3ポジションでホワイトマーキングも入り視認性が向上した。安全位置で展示してあるので、ハンマーが落ちていても安全装置が掛けられるようだ。
フラッシュハイダーは3ポート。マズルは単なる丸ではなく、ポートに対応した凹みがある。
アルミ製ハンドガードは約7.5インチ。バレル長は330mmなので、約13インチ長となる。M-LOK規格に対応しており、各種オプション器機等を任務にあわせて装着可能だ。
ハンドガード先端のバレル上にガスブロックがあり、ガス圧を調整するつまみがある。ガスブロックの下には着剣ラグがあり、銃剣を取り付けできる。
標準装備の金属製アイアンサイトはフリップアップ式。左側のレバー操作でロックを解除し起倒できる。このアイアンサイトはピカティニーレイルにネジで固定されているので取り外すこともできる。
リアサイトもフリップアップ式。ダイヤルでウインデージ、エレベーションの調節が可能。
ハンドガード左にMAGPULのParaclipスリングマウントが装着されている。
搭載されていたオプティクスはディオン光学技研製のMarch-F 1x-8x24mm Shorty。Marchのロゴが入ったバトラーキャップと、倍率調節用ファストレバーが装着される。豊和製のL型QDマウントでレシーバートップのピカティニーレイルに搭載されている。
ハンドガード側面の短いレイルには薬莢受けを取り付けられる。
ボルトキャッチ、マグリリース、セレクターはすべて左右から操作できるフルアンビ仕様。
グリップは発表当初は米BCM製が取り付けられていたが、量産版では豊和のオリジナルグリップになった。
マガジンはMAGPUL PMAG GEN3 WINDOW。89式の鉄製マガジンは錆びたり、凹んだりして装弾不良を起こすことがあったそうで、PMAGになって便利になったという隊員のお話だった。
ハンドガード下にはスイスのB&T社製バイポッド付きフォアグリップがM-LOKレイルを介して装着される。隊員の話では20式小銃はスペック重量こそ89式小銃とほぼ同じだが、89式に比べて持つとかなり軽く感じるそう。金属製の二脚がなくなり、フォアグリップで保持できるので、とくにフロント重量が軽く感じるとのことだ。
コッキングハンドルは左右どちらにも取り付け可能だが、展示されていた20式は右側にあった。
20式のコッキングハンドルは撃つたびに激しく前後する。後退時はレシーバー上部に搭載のスコープ用QDレバーとかなり近い。実際に隊員がコッキングハンドルを引いていたが、グローブをした手に当たって、引きづらそうだった。
前からみるとQDレバーとコッキングハンドル、ケースディフレクターのタイトな位置関係が分かりやすい。コッキングハンドルを左に取り付けるとサポートハンドの親指に当てやすい。射撃作動中にハンドルが接触すると装填不良を発生させる。20式小銃開発の参考となったベルギーFN社製のSCARではこの問題はすでに改修されている。20式でも今後改修されて欲しい点だ。
ストックは樹脂製でバットプレートはゴム製。5段階に長さを調節でき、チークパッドも上下できる。
フォールディング機構はない。
9mm拳銃SFP9。20式と同時に制式採用となったドイツH&K社製の拳銃でSFP9 Mというマリタイムバージョン。口径9mm x 19、全長186mm、銃身長104mm、重量710g、装弾数 15/17/20発。ティルトバレル式のショートリコイル方式。
スライド前方にもセレーションがある。ピカティニー準拠のアンダーマウントレイルを装備するのでウエポンライト等を装着可能。
チャンバー周り。右側にもスライドリリースレバー。トリガーセーフティ機能を備える。H&K独自のパドル式マガジンリリース。左右から操作できるが、慣れないと扱いにくさを感じる。SFP9にはオーソドックスなボタンタイプのマグキャッチバージョンもある。
ストライカー式なので、外部に露出するハンマーがなく、ボアアクシスが小さいので反動を抑えやすいデザインとなっている。フロント、リアサイトにはナイトサイト装備。
左側を撮り忘れたので左面のデザインを見たい方はこちらの記事にてどうぞ。
スライド後部にはセレーションと引きやすい突起がある。
89式小銃。口径5.56x45mm、全長920mm、銃身長420mm、重量3.5kg、装弾数20/30発、作動 ガス圧利用、製造 豊和工業。
対人狙撃銃。口径7.62mmx51、全長1092mm、重量5.5kg、装弾数5発、レミントン社製のボルトアクションライフル。
5.56mm機関銃MINIMI。口径5.56x45mm、全長1040mm、重量7.01kg、弾倉、ベルト給弾対応、発射速度750~1000発/分、ベルキーFN社のMINIMIを住友重機械工業がライセンス生産。
16式機動戦闘車。2016年制式。全長約9m、全幅約3m、全高約3m、重量約26t、乗員4名、製作 三菱重工業。
105mm施線砲を装備した陸上自衛隊の最新鋭装輪装甲車。2013年に技本で発表された初号機とはライト周りのデザインが変わってる。
エッジの利いた端整なデザイン。火力と機動力を駆使して様々な事態へ迅速に対応するため、公道での高い走行性に優れ、輸送機での空輸も可能で、最新機器を多数採用し、射撃精度も高い。通称「MCV」。
近づいてみるとさらに迫力。74式戦車とは口径が同じだが正確には弾は異なるそう。ただ、74式用に作った砲弾も使用できるとのことだった。
富士山をバックに。
リアにはユーティリティハッチがある。
銘板。製造No.113、2021年9月製造。第1師団 第1偵察戦闘大隊(練馬駐屯地)所属。
どこからみてもカッコいい。
タイヤはブリヂストン製。サイズは395/85R20、W978、スタッドレスのコンバットタイヤ。
ホイール。
砲塔上部には12.7mm重機関銃M2。
砲塔基部。
角目のライト。
ドライバーズハッチ。
砲塔にはレーザー検知センサーがある。
96式装輪装甲車。小松製作所製造。
タイヤはブリヂストン製 11.00R20 W978のスタッドレス コンバットタイヤ。
乗員のヘルメットも被れた。
81式単距離地対空誘導弾。短SAM。
ミサイルを4基搭載。
短SAMの模擬弾。
155mm榴弾砲FH70。
中距離多目的誘導弾。通称 チュータ。製作 川崎重工業。
6発のミサイルを搭載。複数目的にシュドドドっと連続発射できるそう。隊員にミサイルはどれくらい飛ぶのか聞いてみたら、「公表はしてないのですが、あの山くらいまでは飛びます」と指差したのは愛鷹山!!
板妻駐屯地から山頂まで10kmはあるぞ、そんなに飛ぶんだね~。
ああ、このメカニカルな感じがカッコよすぎ!! 車載しているレーダー、ミサイル弾頭に搭載のカメラ、観測班からの情報でターゲットをロックできるそう。観測ドローンを使用してロックすることもできるそうだ。
93式近距離地対空誘導弾。製作 東芝。
8発のミサイルを搭載。こちらも隊員にどれくらい飛ぶかと伺ったら、やはり愛鷹山を指差した。せいぜい5~6kmかなと思ってたらずいぶん飛ぶんだね。小型ドローンはレーダーで捉えられないが、大型ドローンなら撃ち落とせるそうだ。
二発ずつターゲットに連続発射できるそう。
この回転式砲座に搭載されたミサイルポッドが男子心をくすぐるのだ!!
偵察用オートバイ。カワサキのKLX250で塗装やガードなどの外装は自衛隊用だが、エンジン性能は市販品と同じとのこと。ヘルメットはアライ製。観閲行進の隊長紹介ではバイクを趣味にしている隊員がとても多い印象だった。
観閲行進では板妻駐屯地のゆるキャラならぬガチキャラ、軽装甲機動戦士イタヅマンとイタヅマレディの姿も見られた。
板妻駐屯地は筆者YASが0歳のころから通っている地元の駐屯地。
34普通科連隊や軍神橘中佐のお話は以前のこちらの記事からどうぞ
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