サイレンサーの話

エアガン用 サイレンサーの構造

サイレンサーとは?

サイレンサー(Silencer)とは銃口に取り付けて発射音を小さくするアイテムです。
日本語では消音器と呼びます。

音を抑制するという意味のサウンド・サプレッサー、単にサプレッサー(Suppressor)とも呼ばれています。
実銃ではマズルから噴き出す炎、マズルフラッシュを抑制する効果もあります。バイクのマフラーも似たような効果があり、実銃の世界でもサイレンサーをマフラー(muffler)と呼んだりします。

エアガン用サイレンサー マルイ

エアガンやサバゲーにおけるサイレンサーもやはり減音効果を狙ったものが主で、ドレスアップパーツとしても人気です。また、減音効果はほとんどありませんが、似たような形状のパーツとして発光ユニットを内蔵したトレーサーというものもあります。


エアガン用サイレンサーの内部には吸音材となるスポンジやバッフルと呼ばれる素材が入っています。各社このスポンジの種類や形状に工夫を凝らして、より減音効果を高めようとしています。

発射音を小さくして敵に見つからないようにする

サバゲー上級者は発砲音で方向や距離、使用しているエアガンの機種を判別できます。

そこでサイレンサーを装着すればエアガンの発射音を小さくし、敵に特定されないようにすることができます。

電動ガンやガスガンなど、作動音のほうが大きい場合もありますが、射撃方向に出る発射音を小さくし、音程を低くすることで、敵から自分の位置を特定されにくくすることができます。
低い音は指向性がなくなり、たとえ音が聞こえたとしても撃たれた方向を惑わすことができるのです。

今回は巷で効果が高いと評判のいくつかのモデルのなかから、大きさと長さの異なる数種でどのように減音するかを調べてみました。


測定に使用するのはAmazonで2000円くらいで買えるデジタル騒音計です。
測定方法は室内にて東京マルイ VSR-ONEを使用、銃口から10㎝の位置に銃口にマイクを向け、BB弾を装填して実射しています。着弾音が影響しないよう騒音計背後の毛布に撃っています。


また、実射は屋外でも行い、ビデオカメラマイクでの録音&波形確認、現場の耳で視聴した印象も加味しています。測定方法や機材等、いろいろあると思いますので、参考程度に考えてください。

サイレンサー5種を比較



まずは東京マルイ製、プロサイレンサーショート。4180円。


グレーの柔らかいスポンジと先端側には固めのスポンジが入っています。内部にはアルミのスリーブが入っており、実質的にはくびれ部分の径寸法となっています。



東京マルイ製、プロサイレンサー。6050円




DCI Gunsのちくわ軽量サイレンサーシリーズから32mm径の全長100、60mmの二種。5680円、4980円。

ちくわ軽量サイレンサーの内部
ちくわ軽量サイレンサーの内部には固めの薄いスポンジと白い柔らかめのスポンジが交互に入っています。吸音材のみの販売もされています。



G&G モックサプレッサー SS-100 ブラック 4675円。正面に6つの小さい穴が開いています。



モスキートモールド SDサイレンサー180 すでに廃盤となっています。

測定結果とスペックがこちら。騒音計での計測結果です。数発撃った平均値です。

  騒音 db 外径 ㎜ 全長 ㎜ 重量 g 体積 ㎤
無し 105.6 - - - -
マルイ PROショート 96.7 34.8 116 70 108.4
マルイ PRO 93.8 35.8 200.5 144 213.3
G&G SS-100 97.4 30 95 46 67.2
DCI ちくわ 32x100 95.8 32 100 37 80.4
DCI ちくわ 32x60 98.6 32 60 25 48.3
モスキート SD 95.7 40 183 108 230.0

どのサイレンサーも、サイレンサー無しの状態に比べて減音しています。


参考までに、DCIちくわ 32*100とマルイPROショートの周波数分析。15m離れた正面から録音測定。
DCIちくわのほうが、2000~4000Hz付近の高音減衰が大きい。

大きくて長いほうが減音する

まず、サイレンサーを装着してわかるのが、未装着時のバシッという破裂音がなくなるという点です。
さらに、全長が長いほうが、より静かになり、径が太いほうが音が低くなる傾向でした。
よって、サイレンサーは大きいほうが、より消音効果が発揮されるということになります。

体感的には極端に短いものは除いて、全長が10cm程度あれば十分な効果が発揮できると感じました。
また、太さについてはφ30~36mmくらいが使いやすいところだと思います。

一方で、サイレンサーの大きさや重さは、エアガン自体の取り回しに影響します。どのサイズまでを許容できるかは使い手次第といったところでしょう。
また、あまりに長すぎたり、重すぎるサイレンサーは弾が内部に当たってしまうバッフルストライク現象を起しがちです。インナーバレルとサイレンサーが真っ直ぐに取り付けられているか、ゲーム中で銃を取りまわしてもグラつかないかなど確認が必要です。

いずれにしてもサバゲーのメインウエポンのみならず、ハンドガンなどにも装着して偽装や隠密行動をとり、敵に一撃を食らわせても、自分の位置はバレないという戦い方ができるおススメのカスタムパーツです。
もちろんドレスアップ効果もありますから、自分好みのデザインのサイレンサーをチョイスするのも良いですね。

消音のメモ

消音効果の要素は次の4つ

1.吸音
2.遮音
3.制振
4.防振

音は空気や物体の振動として伝わります。
吸音はスポンジなどの多孔質の気泡内で音が摩擦による熱エネルギーに変換して減衰されます。バッフル式では音でバッフルを振動させたり共鳴・反射させることでエネルギーを減衰させます。
エアソフト用サイレンサーの場合、スポンジタイプが主流で、吸音効果のある連続気泡素材が使用されます。

遮音は音が素材に当たった時に音の波が突き抜けて外へ漏れてしまうことを防ぎます。
素材により遮音できる周波数は変わりますが、おもに密度の高い素材が使用されます。

素材の個体振動や、共鳴で音が発生する場合があります。制振は響かない素材を使用したり、個体振動数の異なる素材を組み合わせる、防振は素材間で伝わる振動を空間を空けたり、柔らかい素材を挟むなどで抑制します。

 

2023/07/08


■関連リンク

ACETECH BIFROST ACETECH BIFROST

コンパクトトレーサー特集 コンパクトトレーサー特集