HITCALL (ヒットコール) バイオBB弾 レビュー
リポート: 石井健夫
「サバゲーで多くのヒットコールをゲットしたい!」という思いからその名がつけられたという新進気鋭のバイオBB弾HitCall(ヒットコール)。「特殊ウォーター研摩仕上げ」で精度が高く表面がツルツル! なのに「ワックス不使用」だという事で早くも話題沸騰。
既に物販イベントなどで無料サンプルが配布され、多くのユーザーがブログや動画でレビューを行なっており「普及版の低価格商品ながらも高性能♪」と評判も上々なようだ。
そしてこのHitCallバイオBB弾、2022年はいよいよ本格的な全国展開を目指す! との事で商品パッケージを全面リニューアル。このおめでたい機会に合わせ「是非ハイパー道楽で検証レビューを!」とのご要望を頂いた♪ 是非とも本気でレビューします! とお応えする事になった。
話題の新世代バイオBB弾HitCallに期待も高まる。
さっそく埼玉県所沢市の屋内シューティングレンジ、BATONレンジ1Fのロングレンジに、HitCallバイオBB弾とテスト用ライフルの東京マルイ次世代電動ガン「HK416 デルタカスタム」を持ち込んだ。エアガン本体はメーカー出荷状態そのままの完全ノーマル品。バイポッドで射撃ベンチに委託し、正確に標的の中心を狙うためNoverArms製のスコープ「SUREHIT1824」を純正マウントで搭載してある。またサバイバルゲームにおけるリアルな使用状況を考え、付属のロッドを使った簡単なバレルクリーニングを最初に行なったのみで、途中クリーニングは一切せずに射撃を行った。
標的までの距離は射撃ベンチの前端を基準とし、レーザー測距計で正確に計測。射撃時のHK416 デルタカスタムのフラッシュハイダー先端がピッタリこの位置になるよう常にチェックしながら射撃した。
モニターに表示される標的の実際の大きさを計測。白い円の外径は380mm。黄色い円(6点圏)は180mm。オレンジ色の円(9点圏)が65mm。赤丸(10点圏)が30mmで、中心部のX圏は10mm。
電子標的と同じ距離にご覧のようなサイズの2重構造スティールプレートも併設。BB弾を変更する毎に適正HOPの調整やサイトのゼロインに使用した。
HitCall BIO 生分解性バイオBB弾 0.20g 4,000発入
現在サバイバルゲームやシューティングでの使用率が最も高く、正に「BB弾の基本」ともいえる0.20g。HitCall 0.2gは1kg=約4,000発入りの大袋となっている。保管時の劣化を防ぐための「空気穴無しタイプ密閉型バッグ」を採用、乾燥剤も封入されている。封を開けて驚いたのは「ほぼ無臭」だった事。今まで扱ってきたどのBB弾もその商品に特有な臭いあったものだが、HitCallは殆ど何の臭いもせず、「ワックス不使用」との宣伝文句にも説得力を感じさせる。因みにワックスは不使用ながらも表面にごく微量の特殊コーティングが施されているそうだ。
「東京マルイ/ベアリングバイオBB弾0.2g(左)」との比較。ここまで拡大するとBB 弾表面の粒状も目立つものだが、HitCall(右)の表面はより滑らかなのが判る。
25m射撃の結果。 10発1セットで100発撃ち、平均値と最小・最大グルーピングを計測。
●最も良かった10発 116.0mm
●最も悪かった10発 183mm
●10発×10セット平均 148.4mm
モニター画面には一番遠い弾痕同士の距離(=グルーピング)が表示されている。注目は着弾時の弾速「25.1m/秒」。初速「83〜88m/秒」前後で射出されたものが25m飛翔した結果、弾速は30%程度になっている。BB弾は重量が軽いほど空気抵抗の影響を受けるので、0.20g弾よりも0.25g弾の方が、更に0.28g弾の方が遠距離での弾速は保たれる。
「5.95±0.01mm」の寸法精度を謳っているHitCall。筆者所有の毛髪の直径を計測する機器「ヘア・マイクロキャリブレーター」による計測値は「5.948mm」を示した。弱いバネによって常に一定の圧を加えるので、BB弾のように強く押し潰してしまうと正確な数値が得られない対象を測るには最適なのだ。10発を袋から無作為に取り出し、更に1発毎に挟む箇所を数回変えて実測した結果、全てが「5.946〜5.949mm」だった。
BB弾を割るためにペンチに挟んでいるところ。特に0.20gBB 弾にはこのようにかなりの粘りがあり、簡単には割れなかった。メッシュゴーグルへの着弾時に砕け散って眼球に傷を負わせることが無いよう、HItCallには「粘り気を出すための鉱物」が配合されているそうだ。
ちなみに「HitCallはあんなに割れにくいのだからバイオBB弾ではないのでは?」と言う人もいるようだが、原料の生産国であるアメリカでの実験では約140日間で土に還るそうだ。HARUWAではショップやフィールドからの要望があった場合に限り、HitCallの成分表や公的機関が発行した「環境に無害である事の認証書」を開示している。
ただ、気になった点としてはすべての重量が同じ白色であることだ。メーカーの説明によると染料を使用することで生分解時間が増えてしまったりコスト増になるといった理由で着色はしていないそうなのだが、フィールドによってはダークアースカラーでないと使用できないところもある。弾を混用したときの識別にもなるので、使用者視点からすると重量ごとに薄く色がついていると良かったと思う。
ご覧のように内部に気泡等は見受けられず粒子も均一に見える。成分に偏りがあるようには見えない。
精密デジタルスケールで計測したHitCallの重量。実際には0.20gではなく0.21gだ。
参考までに「東京マルイ/ベアリングバイオBB弾0.2g」の実測データ。
HitCall BIO 生分解性バイオBB弾 0.25g 3,000発入
屋外など遠距離での精度を求めたい場合に使用することが多い0.25gバイオBB弾もHitCallはラインナップしている。こちらも1kg=3,000発入り大袋での販売となる。
多くのユーザーが“0.25gBB 弾の中では最も優秀”と認める「東京マルイ/ベアリングバイオBB弾0.25g(左)」との比較。やはりHitCall(右)の表面平滑性は際立っている。
25m射撃の結果。 10発1セットで100発撃ち、平均値と最小・最大グルーピングを計測。
●最も良かった10発 100.0mm
●最も悪かった10発 178mm
●10発×10セット平均 147.4mm
0.25gBBでも期待に充分応える結果を示したHitCall。
複数のBB弾を使用する際にあると便利な「ハイパー道楽オリジナル/BBボトルステッカー」。しかもなんとHitCall各弾種のパッケージとハイパー道楽ステッカーのBB弾重量表示のイメージカラーも一致している。
「ヘア・マイクロキャリブレーター」による計測値は「5.943mm」。10発を袋から無作為に取り出した10発を、更に1発毎に挟む箇所を数回変えての実測値は全弾「5.941〜5.947mm」と、0.20gに比して「3〜4/1,000mmほど小さめ」という結果。
0.20gBB 弾ほどではないもののやはり粘りがあり簡単には割れなかった。これならメッシュゴーグルへの着弾時にも砕けないだろう、と思わせた。やはり内部に気泡等は見受けられず粒子も均一。成分の偏りも感じられない。
精密デジタルスケールでの計測結果。平均値は0.255gに近い、やや重めか。
「東京マルイ/ベアリングバイオBB弾0.25g」も実測してみた。「ヘア・マイクロキャリブレーター」では「5.945mm」。無作為の10発、更に1発毎に挟む箇所を数回変えての実測値は「5.943〜5.947mm」だった。
「東京マルイ/ベアリングバイオBB弾0.25g」の実測。単発表示はやや重めだがこの平均値なら誤差の範囲内だ。
HitCall BIO 生分解性バイオBB弾 0.28g 2,700発入
スナイパーライフルや精密射撃系シューティングマッチでの使用者が多い0.28gバイオBB弾。こちらは1kg=2,700発入りだ。各社とも0.28gになると急に値段が高くなるものだがHitCallは価格もリーズナブル。品質・性能によっては大幅にユーザーを増やす可能性がある。
精密系シューティングマッチに活動の軸足を置いている筆者にとって0.28gBB 弾は最重要アイテムなのでテストにも一際気合が入る(笑)。様々なテストを経て現在筆者が最も優秀だと思って使用している某ブランド製バイオBB弾(左)とHitCal(右)。表面の艶ツヤ感がこんなに違うとは。
25m射撃の結果。 10発1セットで100発撃ち、平均値と最小・最大グルーピングを計測。
●最も良かった10発 96.4mm
●最も悪かった10発 173mm
●10発×10セット平均 142.5mm
1〜2発だけピョーン! と大きめに外れるのが無ければ直径65mmのオレンジ圏内にビシビシ吸い込まれる印象だった0.28gHitCall。
「ヘア・マイクロキャリブレーター」実測は「5.943mm」。無作為の10発、更に1発毎に挟む箇所を数回変えての実測値は「5.941〜5.946mm」と、3種の中では最も小さめだった。とはいえ「2〜3/1000mm」という超微細な差だ。
ペンチで割る際の粘りは0.20gや0.25gより明らかに少なめ。念の為メッシュゴーグルに対して近距離からは撃たない方が良いかも。やはり内部に気泡ナシ。内部成分の粒子も均一に見える。
0.28HitCallのデジタルスケール計測値。もちろんこの程度は誤差の範囲内だろう。
実射テスト時のBATONレンジは室温10.4℃、湿度48%だった。バイオBB弾は、地球環境に対する負荷が少ない生分解性の「PLA樹脂」を使用しており夏場の高温が脅威なのは皆様もご存知の通りだが、冬場の低温もHOPチェンバーのゴム等を硬くしてしまうので弾道の安定を図るのにはやや苦労する。そんな中でも25m射撃で「十分合格点」と言える結果を残したHitCallには今後も大いに期待したい。
蔵前工房舎製のBB弾ゲージ。今回も「5.98mm」と「5.96mm」の2種類を用意し、0.20g、0.25g、0.28g共に10回分=1,000発を通してみた。5.98mmゲージは全弾が通過。ちなみに低温時の金属収縮を避けるため5.96mmの選別は室温20℃の部屋で実施し、100発選別する毎にマイクロファイバークロスでゲージを丁寧に拭く事も忘れなかった。
5.96mmゲージでは0.20g では「82〜86%」、0.25gと0.28gでは「71〜76%」がこのような状態で引っ掛かって止まったが枠をトントン叩くと大半が落ち、留まった弾も指の腹で軽く押せば落ちた。穴に完全につかえ通過できないBB弾はゼロ。
ハイサイクル電動ガンを使用しての弾上がりテスト。0.20gBB 弾で「1,312発/分=約22発/秒」のフルオートに時折セミオートも交えつつ数マガジンづつテストしたが、ただ一度の空送りもなかった。0.20g、0.25gはもちろん、0.28gでも弾送りミスはなかった。聞くところによれば弾上がりがあまりに滑らかなので「HitCallは直径が小さめなのでは?」という噂があるらしいが、今回の実測結果で示した通りそれは事実ではない。弾上がりのスムーズさはHitCallの平滑な表面によるものなのだ。
BB弾表面の平滑性と寸法精度の高さは「抜けの良さ」に繋がる。なのでHitCallのコンセプトを聞いた時から、筆者はむしろ、BB弾の全周囲をラバーが囲む「ノンHOPチェンバー」でこそその良さが際立つのではないか? と考えていた。早速0.20gBB 弾をマルゼン/ライブシェル式ショットガンM870の3発同時発射で試したところ、握り拳大のタイトパターンを崩さず直径8cmのプレート標的に面白いようにHIT! またBB弾の直径も適正かつ均一なのでマガジンやシェルキャディでの不意な弾ポロも起きない、と、まさにベストマッチだった。
ガスブローバックによる精密射撃競技JANPSにはHitCall 0.28gが抜群の適性を見せてくれた。距離8m、各20発。筆者が従来から使用している某ブランド製0.28gバイオBB弾(左)とHitCall 0.28g(右)の差は歴然だ。因みにこの銃のベースは「東京マルイ/ハイキャパ4.3」で、ノンHOPインナーバレル「ファイヤーフライ製/はみけつ6インチ」を使用している。
販売会社情報
株式会社 晴和 (HARUWA)
Https://www.hitcallofficial.com/
〒350-1317 埼玉県狭山市水野507-1 3F
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