ミリタリー アイウェア比較
去年の9月にレーシックの手術をし、長年使用し続けてきたメガネが必要なくなった。
レーシックとはレーザーによって角膜を削って光の曲率を変える近視矯正手術。ま、レーシックの話はまた別の機会にするとして、とにかくメガネが必要ない生活というのは実に快適だ。
いままでサバイバルゲーム用のゴーグルもメガネが使用できるか、とか、実弾射撃や車の運転時に使用するサングラスも度付きレンズをいれるなど、迷ったり結構な出費を重ねてきたが、裸眼となるとその制約もなくなる。
快適ではあるが、今までメガネによって紫外線や風埃から目を保護してきたことを想像すると、メガネがなくなることである意味、不安とも思えるくらいに目の周りに寂しさを覚える。
そうなるとついつい今まで手が出なかったミリタリーモデルのシューティンググラスなどのアイウェアが欲しくなってしまう。
実際の戦場においても、イラクに駐留する米軍をはじめとする兵士たちが爆風や爆発の破片などから目を保護するため、また実弾射撃時の火薬カスや燃焼ガスからも目を保護する意味でも必須アイテムとなっている。イラクでIED(ゲリラが仕掛ける手製の即席爆弾)から目を保護したというのはよく聞く話だ。
一般のスポーツ用途とミリタリー用途ではこの爆発に対する耐衝撃性という部分が大きく異なる点といえる。
前回の
デザートブーツ特集に続き、
ミリタリーサーブラスショップ「ファントム」さんの協力を得て、各種ミリタリーシューティンググラスを比較レビューしてみようと思う。
さて、まずは今回比較するのは以下の5種のアイウェア。
1.ESS CROSSBOW(クロスボウ) 15,800円 (税抜)
2.WILEY X SG-1 ver.J ポラライズドブラウン 23,000円 (税抜)
3.WILEY X XL-1 ADVANCED 11,600円 (税抜)
4.OAKLEY SI Mフレーム 2.0 ストライク 18,500円 (税抜)
5.OAKLEY SI ハーフジャケット 16,000円 (税抜)
まずは各パッケージ内容から。
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ESSといえばミリタリーでも使用率が高いゴーグルを中心としたメーカー。米陸海空各軍をはじめ世界85カ国以上の軍、特殊部隊、警察、消防などさまざまな分野の関係者に供給実績がある。
そのESSの最新シューティンググラスがCROSSBOWで、2009年冬に日本でも発売された。専用ケースと本体にグレーのレンズが付き、イエローとクリアの交換用レンズが付属、ヘッドバンドも付属する。
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続いてはWileyX(ワイリーエックス)のSG-1。定番ともいえるサングラスで国内での人気も高いスタンダードモデル。
SG-1は米陸軍RANGERより依頼を受け開発されたアイウェアで米海軍特殊部隊"シールズ"も着用する。
本体と光の乱反射を抑える偏向レンズ、日本人向けの大型ノーズパッド、ヘッドバンド、タクティカルストラップ、マイクロファイバー製クロス、収納用ソフトケース、インストラクションカードという構成。
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WileyX(ワイリーエックス)のXL-1。本体、ハードケースに交換用のクリアレンズ、ヘッドバンド、マイクロファイバー製クロス、インストラクションカードの内容。
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OAKLEY(オークリー)のSI Mフレーム 2.0はミリタリーでの使用率が非常に高いド定番モデルといえる。
オークリーはさまざまなスポーツ用サングラスを発売しているが、なかでもSIシリーズはミリタリー向け仕様となっており破片等の衝突に対する対衝撃性を高めている。
クリアレンズが装着された本体、やわらかい収納袋とインストラクションカードというシンプルな内容。
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OAKLEY(オークリー)のSI ハーフジャケット。今回レビューするなかでは最もサングラスに近い小ぶりなもの。
可視光線透過率は18%でやや青みのあるレンズ。本体とゴム製のラージノーズパッド、やわらかい収納袋とインストラクションカードという内容。
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ESS クロスボウの装着イメージ。全体的にエッジが立っていてメカニカルな印象。
Tri-Tech Fit技術により広範囲の顔型にフィット。レンズの歪みがなく、視界も綺麗に見える。
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WileyX SG-1の装着イメージ。楕円の比較的穏やかな印象だが、ヘビーデューティーな力感を感じさせる。
ポラライズドブラウンの偏向レンズはフィッシングやドライブなどでも乱反射を抑えることができて便利。
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WileyX XL-1の装着イメージ。SG-1に比べより流線型のデザインでレンズ部分もやや大きくなっている。
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オークリー SI Mフレーム 2.0 ストライクの装着イメージ。クリアレンズなので印象が薄いが、角ばったレンズ形状と滑らからウェーブのついたフレームラインにより独特のシルエットを作っている。無線機やイヤマフを装着しても邪魔にならないように薄く作られたテンプル部分の形状が特徴的。SI Mフレーム 2.0にはハイブリッドレンズとストライクレンズの2種があり、レンズ下部のラインがすっと切れ上がって頬との間に隙間ができやすいのがこのストライクレンズ。ハイブリッドレンズはレンズ下ラインが頬に沿うように逆アーチを描く。
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オークリー SI ハーフジャケットの装着イメージ。ツンと尖ったブリッジ部分から流れるようなラインがテンプル部分へと続く。立体的に構成されたテンプル部分にブラックアウトされたオークリーのエンブレムがはまる。攻撃的なデザインだ。
レンズは透過率18%のやや青みを帯びた色で、ライトなデザインとあいまってデイリーユースにも違和感がない。
ESSクロスボウのディティール。テンプルの蝶番部分のデザインがメカニカルなエッジで構成されておりカッコいい。
モダン(テンプルの耳にかかる部分を保護するプラスチック製のカバー)の先端にヘッドバンド用の穴が開いている。
2.4mmバリスティックレンズ(ハイ-インパクト ポリカーボネイト レンズ)を採用し、ClearZoneFlowCoat処理によりレンズ内側の曇り防止加工、レンズ外側はスクラッチ防止加工が施されている。
レンズの可視透過率はスモークグレーで18%、Hi-Defイエローが54%、クリアが98%となる。
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フレームセンターのDEDBOLTと呼ばれるクリップ部分を上方に回せば簡単にレンズを取り外すことができる。またノーズピースを交換してRxインサートと呼ばれるオプションパーツを利用してメガネレンズを装着することも可能。
なお、この黄色いレンズを装着すると視界のコントラストが高まって、白いターゲットが浮くようにクッキリと見える。
WileyX SG-1 ver.Jのディティール。日本向け使用であるSG-1 ver.Jは欧米向け市場の旧型から耐久度を向上した改良型のテンプル形状となっていて、フレームの色もマットブラック、テンプル部のロゴもWileyX→wXと変更されている。
2.0mm SELENITEポリカーボネート製バリスティック・レンズは、可視光透過率19.00%、偏光度99%、紫外線透過率0.1%以下。ポラライズドブラウンレンズ(=偏向レンズ)は高価だが、視界のコントラストが向上する効果があり、ターゲットとの距離感を正確に判断しやすくなるといったメリットもある。
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イラクに展開する米陸軍兵士が装着するWileyX SG-1。このモデルはフレームが半光沢の欧米モデル。
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WileyX SG-1 ver.Jはテンプル根元で取り外しができ、付属のヘッドバンドに交換できる。これによりゴーグルといった形状に変貌する。やわらかいソケット部分がフィットしてサバイバルゲームにも使用できるだろう。
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WileyX XL-1のディティール。一体化され取り外し可能なウルトラフォーム(=クッション)は防塵、防風効果がある。テンプルエンド太くなっていてファイヤーデザインとなっている。スモークレンズの可視透過率は20%、クリアレンズだと89%となる。米軍規格 MIL-PRF-31013、NATO規格 STANAG V50に準拠。
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XL-1もSG-1同様にヘッドバンドを取り付けられるが、テンプル(つる)を取り外すのではなく、テンプルに開けられた穴にTペグ・ストラップと呼ばれるバンドのフックを取り付けるタイプ。
オークリーSI Mフレーム2.0 ストライクのディティール。リブ加工が施されたフレームがカッコいい。また、テンプル部分は無線機やヘルメットのジャマにならないように薄く作られている。ノーズパッドはやわらかく弾力があり、衝撃吸収性に優れていそうだ。オークリーのMフレームは世界中のアスリートをはじめ、軍・法執行機関のオペレーターに愛用されているベストセラーだ。付属はしていないが、テンプルエンドに穴が開いているのでヘッドバンドかストラップを取り付けできるかも。
オークリー SI ハーフジャケットのディティール。軍用らしくアイコンカラーも同色系でブラックアウトされ精悍なイメージ。
ノーマルのノーズパッドだと、かなり密着感があったが、付属のラージノーズパッドに変更したら掛けやすくなった。
ハーフジャケットもレンズ交換が可能。90種のさまざまなレンズカラーオプションがあるので、好みのものにカスタマイズすることもできる。
ハーフジャケットは今回のレビュー中では一番ライトなサングラスといった印象。ドライブやビーチ、街中など日常的に使用するシチュエーションでも違和感がない。
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ESSクロスボウは実測重量35g。
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WileyX SG-1は実測重量40g。
今回レビューした中では一番重い。
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WileyX XL-1は実測重量38g。
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OAKLEY SI Mフレーム2.0は実測重量30g。
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OAKLEY SIハーフジャケットは実測重量21gと、今回の中では一番軽い。
さて、各アイウェアの感想。どれも個性があって魅力的だが、サバイバルゲームでの使用目的ならば、ヘッドバンドが付属していて激しく動いてもグラスが外れにくく、目の周りに隙間ができにくいWileyXのSG-1やXL-1がおススメ。
インドア戦や夜戦での使用前提ならば、ダークレンズはかなり視界が暗くなって見づらいので、クリアレンズが付属のものかオプションレンズを購入するのが良い。
実際に私の場合、SG-1のポラライズドブラウンレンズはデザートユニオンの夜戦や東京ミッション2のシューティングイベント、マルサバなどのインドアゲームにおいても暗く感じたので、クリア(自動調光)レンズに交換して使用した。
また、トイガン、実弾シューティングという前提であっても色つきのものよりクリアレンズが明るくてよい。
ミリタリーでの使用率が高いといわれるオークリーのMフレームや、新商品のESSクロスボウなどはミリタリーコスプレにベストマッチ。とくに
Mフレーム2.0のグレーフレームはACUにぴったりのカラーで雰囲気抜群。しかもクリアレンズはいかにもプロっぽいというか、実用重視で渋さを感じる。
日常的に使用するということであれば、ハーフジャケットがおススメ。ドライブ、ビーチ、ゴルフなどのスポーツ、街中でも違和感なく使用することができる。ただ、フルフェイス系のバイクヘルメット前提だと立体的なテンプルが若干ジャマになる。
いずれにしてもそれぞれの好みでチョイスするのが良く、特にアイウェアは個人それぞれの顔にどのようにマッチするかが重要なので、店頭で見かける機会があれば、実際にフィッティングしてみるのが良いだろう。
で、結局今回もっとも日常に使用しやすいという理由で私が購入したのはオークリーのハーフジャケット。
ただ、セパレートレンズだけでなく、一枚レンズのオークリーのSI Mフレーム2.0もミリタリーアイウェアのド定番として捨てがたく、ESSのロングボウもスタイルがかっこよく、レンズ3枚付属してリーズナブルだったりするので、もう少ししたら全部買ってしまっているかもしれない。
2010/1/23
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