トイガン偉人伝 永田市郎さんに会ってきた!

トイガン偉人伝 永田市郎さんに会ってきた!

どうしても一度お会いしたい人がいた。

その人の名は永田市郎

彼はアメリカはカリフォルニア州に住んでいる。ハイパー道楽の読者の中には永田市郎という人物を知らない人も多いと思う。
永田市郎はガンフォトグラファー、リポーターとして1970年代にアメリカに渡り、月刊Gun、コンバットマガジン、モデルガンチャレンジャー、SATマガジンなどの雑誌で実銃、シューティングなどを中心に多くの銃器情報を提供し続けてきたオーソリティであり、パイオニア。
齢71歳、現在においてもなお一線で活躍する現役でもある。

米国の銃器業界への人脈も幅広く、H&Kやナイツアーマメントなどのメーカー、米国の銃器雑誌からの撮影依頼や、ミリタリー&ポリスといった法執行機関の取材レポートも多数。

永田市郎
彼が日本の銃器・トイガンシーンに与えた影響は大きく、特に現在50歳以上の長年のファンは月刊Gunでの市郎さんの記事をリアルタイムに読んでいた世代で、熱狂的なファンも多い。私はそれよりも幾分下の世代ではあるものの、多大なる影響を受けている一人である。

そしてレポーターでありながら自身も競技射撃を行うシューターでもある。本場米国の数々の大会への出場、入賞経験を持つ。日本人屈指のトップシューター。

今回、イチローさんの一番弟子とも言えるトモ長谷川氏の計らいで永田市郎さんにお会いすることができたことを感謝したい。

と、前書きはこれくらいにして。ぶっちゃけ市郎さんってどんな人か気になるじゃないですか!!
写真やDVDでは拝見したり、どんな人かは噂話は聞くものの、そんなのはアテにならない。人は実際に会って話して、その人となりがわかるもの。

レンタカー タホ

今回、ショットショー2014のタイミングで伺ったのだが、成田からサンフランシスコへ飛び、空港からレンタカーで東へ走ること300km。シエラネバタ山脈の麓、マリポサという小さな町の近くにあるイチローさん宅に伺った。詳しいコトを言ったら生きて日本へは返さないと、散々トモさんやヨシさんに脅された(笑)ので、ま、とにかくマリポサの近くにあるイチローさんちってことでご勘弁を。

マリポサに到着したころはもうあたりは真っ暗で、人家もない。正真正銘のカリフォルニアのド田舎。
我々が到着すると市郎さんが出迎えてくれてグッと力強く握手。ああ、なんという感動。

デコボコした草原
翌朝、家の周囲を眺めると、デコボコした草原が果てしなく続き、もはや地球じゃない違う惑星かと思うような場所。耳には風の音しか入ってこない。

ミッキー・ファーラーそんなところにポツンと一軒家が建っていて、近くに有名なシューターのミッキー・ファーラーさんのお宅があるものの、となりのお宅までは何Kmも離れている。
写真は射撃場に現れたミッキーさん。

シューターズハウス
我々が宿泊するシューターズハウスでは、数日前から射撃練習のために来宅していたSATマガジンの石井健夫さんと、Gunsmithバトン社長の大塚さん達と合流。さらに翌日にはぶぁかもの達と呼ばれている熱狂的な市郎さんファンであるおっちゃん4人組が合流し、日本人の人口密集度が異常に高い場所となって夜には盛大な酒盛りが始まったりした。

銃の話題に花が咲く
銃の話題に花が咲く。ちなみにテーブルの上のG36は電動ガンで、ショットショーでのガンハンドリングの予行練習をしたりした。トモさんをはじめとするイチローさんを慕うこのグループは"イチローGun団"と呼ばれている。Gun団は"ガンダン"と読むとのこと。

先輩シューターのテツヤさん先輩シューターのテツヤさんが銃のカスタムを始めると、すかさずみんなが集まってきて、興味津々でその模様をのぞき込む。ワシにも写真撮らせろ~と市郎さん。
みんな本当に銃が好きだなぁ。

なにしろこのぶぁかもの達は私より先輩のアラウンド50歳の方たちばかり。
年季の入ったガンマニアで市郎さんの記事のことにもすごく詳しい。
少年のように目をキラキラさせて、市郎さんが取り出す貴重なコレクションに歓声や、悲鳴をあげて一喜一憂している。

市郎さんもこんなに喜んでくれるなんて、と嬉しそうだった。

タカさんに案内されてハウスの裏庭
シューターズハウスの居候、タカさんに案内されてハウスの裏庭に出る。裏庭にはスチールプレートがたくさんあって、勝手口を開けたらすぐに実弾射撃、みたいなことが出来ちゃう。ガンマニアにとってはなんとも羨ましい環境。裏庭と言っても何百メートルも先までがこのイチローさんちの敷地なのだ。

スティールチャレンジのコースを撃つ大塚さん
数日後にラスベガスで始まるショットショー2014の移動日まで2日間滞在し、ショットショー後に再びマリポサに戻ってくるスケジュール。マリポサ2日目は朝から皆さんスティールチャレンジのコースを撃っていた。

射撃場
射撃場はシューターズハウスから車ですぐの場所にある。裏庭のレンジとは違い、こちらは近隣メンバーのシューターも撃っているマイレンジで、スティールチャレンジやビアンキカップの各ステージが設置されている。矢田さん、ヨシさんと私はスティールコースを、トモさんと市郎さんは主にビアンキのムーバーを撃っていた。

グロック17のGen3.5
私もトモさんから銃とホルスターを借りて練習をすることに。銃はグロック17のGen3.5。えっ3.5ってあるの? と思ったが、スライドのセレーションが独自で、グリップもGen4に近いがバックストラップは交換できない。トリガーとマグウェルはカスタムされたものだが、トモさん曰く、Gen3とGen4の間に一時的に発売されたバリエーションとのこと。

9mmルガー弾を貸してもらう
弾薬はL.E.M.の矢田さんが以前に購入していた9mmルガー弾を貸してもらうことに。ラスベガスの帰りに立ち寄るガンショーで弾を購入予定なのであとで返却する前提。マガジンは州規制で10発仕様。ただでさえ固いグロックのマガジンがさらに固い。

市郎さんの右手親指の爪
マガジンに弾をロードするにはコツと力がいる。市郎さんの右手親指の爪は長年の弾込めのせいで反りあがって変形してしまっていた。

で、この日は市郎さんから銃の取り扱い方のお作法を教わったりした。

バトンの大塚さんが教わっている模様を動画でどうぞ。

大塚さんはなんとSIG P226 X-Fiveにドットサイト付で借りていた。スゲー。

私はというと、グアムで毎年実銃は撃っているものの、競技射撃のお作法はエアソフトガンで少しやっただけ。で、初日は散々な結果。緊張からホールドオープンしたスライドをスライドリリースでチャキンと戻してしまったり、さらに焦って、カチカチにフルロードされたマガジンを確実にロックできずにドローと共にマガジンを落としてしまったり、そのマガジンを拾おうとして銃口を下に向けてしまったり...。

ローディングインジケーター銃口はいかなる時もダウンレンジに真っ直ぐ向ける、弾が入っていな状態でホールドしたスライドはリデュースしながらゆっくり戻すのがマナー、マガジンは確実に装填したか確認する。
とくにマグウェルが付いた銃だと掌でダンと叩き込んでもしっかりロックされていない場合がある。フルロードされたマガジンはスプリングのテンションがパンパンになっている。したがって親指でグイッと押し込むようにマガジン装填しないとダメなことも学んだ。またチャンバーに弾が入っているかの確認はローディングインジケーター、つまりエキストラクターをちょいと指で触って確認することも。トイガンには無いお作法だ。


スティールチャレンジのリアルサイズステージ
その後、初めて実銃でスティールチャレンジのリアルサイズステージを撃った。エアガンと違って距離はあるが、その分プレートも大きいので難しい感じはしなかったのだが、これが全く当たらない。ホルスタードローから初弾が全然当たらない。実銃の反動、慣れないお作法にムキーっとなる中、ひたすら初弾の練習。初日はそれで終わった。

シューターズヘブン
午前中に練習して、昼飯を作るためにハウスに戻り、午後再び射撃の練習、といったシューターズヘブンともいえる恵まれた環境。シューターズハウスのなかはこんな感じ。みんな寝袋で寝る。私も現地のコストコで寝袋を買って持参した。もちろんテレビなんかない。ネット環境はかろうじて容量制限付きの衛星接続回線が使える環境だったので、動画閲覧などはご法度。

リロードマシンや銃の分解組立用デスク
ハウス内にはリロードマシンや銃の分解組立用デスクなどがある。

トモさんが朝からリロードしていたので音のソノリティ風に動画で紹介。

この動画のようにハンドロードで弾を制作することもあれば、市販の弾薬を買ってきて使用する場合もある。ケースバイケースだ。

キッチン
ハウス内にはもちろんキッチンもあり、滞在中は基本的に自炊。トモさんや石井さん、料理が上手い!!
食事の支度、後片付けは手の空いてる人が率先してやる、まさしく合宿生活だ。こういうの苦手なんだよなぁ...とか言ってられないのだ!!

玄米食
イチローGun団にはいろいろルールがあって、この玄米食もそのひとつ。健康に良いといわれる玄米を専用の圧力釜で25分炊き上げる。そして朝の緑茶も大事なルール。玄米は英語でBROWN RICEという。

玄米100%
玄米100%。便通が良くなると言われたのだけど、私の場合、便秘になったり、下痢になったり。ゴリゴリした食感。食べ続ければ慣れるかもしれない。
この玄米と圧力釜、イチローGun団は遠征先へも持っていく。当然ラスベガスへも持っていき、毎朝新人が炊く係りになる。

他にもルールをいくつか教えられた。車のドアは静かに閉める。車が停車しても土埃が収まるまでドアは開けない。外出先でお店に入る際は先頭の人がドアを開け全員が中に入るまでドアを開けて押さえておき、その人が一番最後に入る、などなど。特に新人は敷地のゲートチェーン施錠や、ファーストフードでの注文、支払い時のお財布係を一手に任せられるので、旅慣れていないと戸惑うことばかり。

洗濯機もある
洗濯機もある。今回は半月のアメリカ滞在だったので、最後のほうは着る服もなくなってきて、シューターズハウスで皆衣類を洗濯した。

トイレにアッパーレシーバー
トイレは2つあって、混雑することはなかった。しかし、便器の横に釣竿に混ざって実銃M4のアッパーレシーバーが立てかけてあったりしてビビる。

本物の銃
実際、このハウス内のあちこちに実弾が込められたマガジンや、アッパーレシーバー、アンティークな二式テラ銃などの本物の銃に混ざってエアソフトガンも置かれていた。

食卓に実弾
うわっ! 食卓に実弾!! 初めてこの光景を見た時には凄く違和感を感じた。日本では生活に実銃が入り込むことはないが、ここでは当たり前のように銃と弾薬が日常の中にあふれている。これぞ自由の国、アメリカだ。枕元に実銃を置いて、あるいは胸元に銃を抱えて寝ることだってできる。緊張感あるなぁ。

自慢のショットガンを見せびらかす市郎一味
自慢のショットガンを見せびらかす市郎一味。イチローさんそれショットシェルじゃなくて一味唐辛子の瓶だから!!

一味唐辛子の瓶はマガジンチューブに入りませんよ
しつこいけど、一味唐辛子の瓶はマガジンチューブに入りませんよ!!

トモ長谷川さんと談笑する市郎さん
トモ長谷川さんと談笑する市郎さん。トモさんは学生時代から市郎さんに師事し長い付き合いになる。市郎さんはトモさんのことをとても信用していて、トモさんも市郎さんの人柄、生き様を尊敬している。二人の間にはとても深く、強い絆を感じた。

ガンショーラスベガス滞在最終日にガンショー(日本のVショーみたいなイベント)で弾薬を購入する。ネバダ州からカリフォルニア州への陸路による通常弾薬の移動は問題ないとのことだった。実際、州境のチェックゲートは難なくスルー。トレーサーとか50連マガジンとかは禁止されているみたい。

9mmと.223をあわせて1,000発ほど購入
このガンショーで9mmと.223をあわせて1,000発ほど購入。メチャクチャ重い。実弾って重いんだなぁと実感。価格はWinchester製9mmが100発で$40、Bite the Bulletというブランドの115グレインが100発$37。
アームスコー製.223は55グレインのFMJが100発で$78くらい。 ネットの最安値よりは高いけど、昨今米国では深刻な弾不足で値段が高騰しているそう。弾薬が先物取引みたいなアイテムとして扱われているみたい。

競技射撃以外にも皆さんの所有する拳銃やライフルを撃たせてもらった。
コンパクトガンを3種撃ってみたのでその動画もどうぞ。


ボブチャウ スペシャル
そしてなんとボブチャウ スペシャルも撃たせてもらった。
この銃は.45口径で、故ボブ・チャウ氏が永田市郎さんのために作ったカスタムガンだ。月刊Gun誌1980年10月号でレポートされ多くのモデルガンファンがこのカスタムが欲しかったという名銃。



S&W M40 センチニアル
うぉっ!! S&W M40 センチニアルが食卓に!! しかも3丁も!! シルバーのはM640。グリップセフティを装備していることから、レモンスクイザーの愛称でも知られる。

息子さんのランディ
市郎さんの息子さんのランディと。市郎さんは2度結婚していてランディは前の奥さんとの息子さん。新しい奥さんとの間に2人のお子さんたちもいる。

フリーダムアート SHUEY CUSTOM
ショットショーから戻ってくると再びマリポサで射撃の練習。2日間ほどアイアンサイトで撃っていたが、3日目にはトモさんにドットサイト付のアキュコンプを付けてもらった。スライド前部を覆うようにフレームに装着されているコンペンセイター(反動抑制器)で、このモデルは日本のフリーダムアートが開発したもの。日本ではエアガン用が販売されているが、米国ではジーン・シューイさんというガンスミスのSHUEY CUSTOMブランドとして販売されている。

アキュコンプ&ドットサイトが装着されたグロック17
このアキュコンプ&ドットサイトが装着されたグロック17を撃ってみる。
アキュコンプのおかけで射撃時の跳ね上がりが少なくなって、とても撃ちやすい!!
しかもドットサイトのお蔭で劇的にヒット率が高くなった。これはイイぞ!!

マリポサ滞在中、スティールチャレンジのフルコースを3回まわったのだが、タイムは1周目がトータル193.82秒だったのが、2周目では177.14秒に短縮、さらにドットサイトを付けた3周目では142.49秒で回ることができた。アキュコンプ&ドットサイトの効果恐るべし。

LEMサプライの矢田さんが使用していた銃
ちなみにLEMサプライの矢田さんが使用していた銃はこちら。スプリングフィールドアーモリー社製。

山下刃物店のヨシさんが使用していたのがこの銃
山下刃物店のヨシさんが使用していたのがこの銃。どちらも9mmルガー弾仕様の1911クローン。
トモさんはじめイチローGun団はほとんどが1911系を使用している。高精度にカスタムされたレースガンのスライドを引くとまるでダンパーが効いているかのような一部の隙もない滑らかな感触。一方グロックはガリガリガションとガサツな感触でそんな理由からイチローGun団では試合にグロックを使う人はいないようだ。

SIG P226 X-Five
市郎さんはSIG P226 X-Fiveのカスタムレースガン。コンプ有り無しの2丁を使い分けていた。

こんなライフル
最終日にはこんなナイツのライフルも撃たせてもらえた。距離は100mくらいだったろうか。とにかくライフルレンジも広々していて誰もいないので気持ちよく撃てる。

免許皆伝、市郎ワッペン
そんなこんなで約1週間、イチローさんちにお邪魔して射撃の練習をした結果、免許皆伝、市郎ワッペンを頂くことができた。これ市販のワッペンとは文字の色が違う市郎さんにトレーニングを受けた人にのみ与えられるものとのこと。

面倒見の良い人
昼間は銃の撃ち方を教えてもらい、夜は酒を飲みながら銃の話をする、そんな1週間はあっという間だった。市郎さんはとても優しくて、サービス精神にあふれていて、とても気づかいの利く後輩の面倒見の良い人だと感じた。
会う前はちょっとクセが強くて怖い感じの人なのかなぁと思っていたが、そうではなかった。周囲の人に聞くと、年を取ってかなり丸くなったんですよ、なんていう話も。
身の上話なんかにも真剣に答えてくれて、ズバっと的確な意見を言うところはさすが。言葉のチョイスや表現、ユーモアのセンスも素晴らしく、実際に会えばファンになること間違いなし。
やはりお会いしてよかったなぁ。

永田市郎 直筆サイン入りイヤプラグ最後に読者プレゼントのお知らせ。
抽選で1名様に永田市郎 直筆サイン入りイヤプラグをプレゼント。ボブチャウ撃っちゃう動画撮影の際に実際に市郎さんが使用したもの。市郎さんの耳垢を煎じて飲みたい人は是非。

EZ-Feed Cobra Ranger Belt
ま、さすがにイヤプラグだけだとアレなので、TUFFプロダクツの新商品EZ-Feed Cobra Ranger Beltも付けて2点セットで抽選で1名様にプレゼント。カラーはコヨーテブラウン、サイズはミディアム(34-40インチ)となります。
応募方法はハイパー道楽のお問い合わせページから、お名前とコメント最初に"市郎プレゼント希望"と書いて送ってください。また感想や励ましのメッセージなどご記入いただけると嬉しいな。
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発送は4月末を予定。

2014/03/21

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