WA(ウエスタンアームズ) M4カービン カスタムレビュー PART 1
自分のなかで、今最も熱いトイガン、ウエスタンアームズ(WA)のガスブローバックガン、
M4A1カービン スーパーバージョンRISを購入してからかれこれ2ヶ月が過ぎた。WA M4は2008年3月に発売されたマグナブローバックを搭載するガスガンで、2009年6月現在、徐々にパーツメーカーからカスタムパーツが出揃い、カスタムの幅も広がってきた。
このレビューを書いているのは6月、梅雨が明ければこれからどんどん暖かくなってガスガンの調子が良くなる季節。
WA M4はノーマルでも快調に作動し、ゲームでも非常に気分が盛り上がるアイテムだが、惜しいのは外観がちょっとチープだということ。WA M4はもともとMGCのモデルガンを流用しているだけあって構造はリアルだが、各所の質感で気になるところが多い。とくに樹脂製のフレームは、成型時の射出痕など最も気になるところ。いまどきは大手メーカーからもメタルフレームのアサルトライフルが発売されている時代。
ということで、まずはWA M4のフレーム交換を行うべく、ふたつのメーカーのメタルフレームを購入し、比較レビューしてみることにした。
メタルフレームといってもそのバリエーションは豊富でどのフレームにするか悩むはずだ。民間メーカーや特殊部隊モデル、ファンキーな刻印まで形は大きく変わらないが、刻印仕様の異なるもの、また、マグプルやMUR-1などの形状が異なるものまでさまざま。さらに、現在発売されているメタルフレームメーカーは、G&P、INOKATSU、PRIME、ZEKEの海外メーカーのものがある。
今回は市場で人気のあるG&PとPRIMEのメタルフレームをチョイスした。で、カスタムの方向性も考えて、どの刻印にするのか? 実はこの問題はあまり悩むことなく解決していた。
今回のカスタムテーマは「ミリタリーモデルのM4A1カービンを作る!!」
つまり、米陸軍の使用するミリタリーアサルトライフルを作ることが目的だ。というのもWA M4最大の特徴はフルストロークする強力なリコイルを味わえるガスブロであること。この作動の感触が軍用モデルの力強いイメージにぴったりと感じたから。M16A1やA2でもよかったが、あまり長いとゲームで使用しづらいし、家の中で遊ぶのにも壁や天井にぶつけそうだ。
■G&P M4A1刻印メタルフレーム 市販価格:19,000円前後
まずは、電動ガンのカスタムパーツでもおなじみのG&Pメタルフレーム。素材は鋳造アルミで、電動ガン用のメタルフレームでも有名だ。表面の手触りはさらりとしていて心地よい。色は濃い目のパーカーグレーといったところ。
テイクダウンピン、ピボットピン、トリガーガードが最初から組み込まれている。右フレーム側面には軍・法執行機関限定の刻印。仕上げは強固な焼付け塗装となっている。
旧来の電動ガン用の同社アルミフレームと比べてみてもエッジのシャープさは格段に向上している。
同梱する付属品。エジェクションポートカバーAssy、ストックリンクプレート、インナーシャーシAssy、フォアードアシストノブスプリングなど。
G&Pのメタルフレームは電動ガン用同様に種類が豊富なのも魅力。今回はミリタリーモデルをチョイスしたが、民間モデルのバリエーションも捨てがたい。
■PRIME M4A1刻印メタルフレーム 市販価格:5万~9万円前後
PRIMEというメーカーのメタルフレーム。CNC加工によるアルミ削り出しのフレームでエッジのシャープ感は最高クラス。
仕上げは実銃同様に陽極酸化処理、つまりアノダイズドとかアルマイトと呼ばれる化学薬品による表面仕上げで塗装とは異なる。手触りはG&Pよりも比較的つるりとしているがマットな雰囲気はリアルそのもの。ただし、この陽極酸化処理、微妙にヤワな感じがあり、ちょっとした擦り傷で地のシルバーが見えてしまった箇所があった。意外と弱い皮膜かもしれない。
右側面のマガジンハウジング部分には刻印はなし。実際に軍・法執行機関限定の刻印がミリタリーモデルにはあるかというと、ほとんどが刻印なしなんじゃないかと思う。アッパーレシーバーのフォアードアシストノブ上にはC AFという刻印はない。詳しい方の情報求む。
左側面の刻印はG&P同様。セレクター付近のCOLT刻印も3行になっている。マガジンハウジングの刻印は微妙に行間が間延びしているように感じる。上下レシーバーの噛み合わせはまさにCNC品ならではで、恐ろしいほどにぴったり合わさっている。実銃でもこんなにピタリとかみ合っているものはあまりないのではと思う。
ディティールは非常にシャープなPRIME製。レシーバーエンドにはバッファチューブのねじ込み穴と、リンクプレートが収まる穴は真円。テイクダウンピンを留めるためのプランジャーを後方から差込む小さい穴が開いている。トリガーガードを取り外すための穴の周囲がえぐれているのも再現される。
PRIME付属品一式。ボルトキャリアエクステンション、チャージングハンドル、トリガーガード、エジェクションポートカバーAssy、マガジンキャッチ、フォアードアシストノブピン、テイクダウン&ピボットピン、リコイルスプリングガイドを止めるプランジャー、インナーシャーシ、ストックリンクプレートが同梱される。
米軍横田基地で撮影したミリタリーM4カービンの実銃写真。ミリタリーモデルといってもバリエーションがさまざまで、この写真の空軍モデルはひとつの例でしかないが、参考程度にはなるだろう。しかもこのロアフレームはバースト仕様のM4でありフルオート仕様のM4A1ではないので注意。これは警備兵が持っていたM4カービン。矢印の部分が気になるところ。右下のはピボットピンのプランジャーが収まる穴に側面から穴が開いている。テイクダウンピン後方のプランジャー収納部分の肉盛形状。アッパーの刻印など。
パラレスキューのM4カービン。左側面のCOLT刻印は3行。シリアルはWから始まる数字6桁。エッジの丸いボルトキャッチやセレクターの形状、ストックリンクプレートやバッファチューブリングの形状にも注目。
同じくパラレスキューのM4カービン。トリガーガードのエグレ。この部分に細い棒などでピンを押し、トリガーガードをグリップ側にスイングできる。
G&PとPRIMEのメタルフレームの最大の違いは、レシーバー全長のサイズにある。G&PはWA互換のMGCモデルガンサイズで全長が1mmほど短い。PRIMEはリアルサイズでチャージングハンドルの長さは2mmほど異なる。したがって、PRIMEのメタルフレームには専用のリアルサイズチャージングハンドルと、ボルトキャリアエクステンションが付属するわけだ。
アッパーレシーバーのトップレールにはどちらもレールガイドナンバーが印刷されている。
G&Pのフレーム内部。
塗装のため、内部の深い部分は塗装の薄いところがある。形状もWA純正フレームをトレースしている。
なお、G&PのバレルナットのネジはG&Pピッチ(=マルイ電動ピッチ)なので、WAのバレルナットはそのまま使用できない。いずれにせよWAのバレルナット形状は実物と大きく異なり(
詳細はレビュー参照)、RASなどを装着できないので交換したほうがよい。
PRIMEのフレーム内部。
たとえば、ロアレシーバーのバッファチューブ用のネジ部分や、アッパーレシーバーの後方の円弧状の切欠きなど、可能な限り実銃の形状に似せようとしているのがわかる。
なお、PRIMEのバレルナットはG&Pとは異なり、リアルピッチとなっている。
アッパーレシーバー後端の形状比較。
テイクダウンピンの固定穴のある突起幅がPRIMEのほうが太い。
全長の違いもあり、したがって上下のレシーバーの互角性はもちろんない。
レシーバーエンドの比較。
ストックリンクプレートの収まる穴の形状が異なる。
ちなみに付属するストックリンクプレートはまったく同じものだった。
PRIMEはグリップアーチ部分が面取りされている。さらにマガジンハウジングの縦サイズがPRIMEのほうが実際にはわずかだが短い。
※写真だと数mm違うように見えるが。
トリガー付近のロアレシーバーの幅はPRIMEが22.4mm、G&Pが23.2mmとわずかだがG&Pのほうが厚みがある。
マガジンハウジングはG&Pのほうがタイト。マガジンのスプリングピンがわずかでも出っ張っているとキツキツで入らないので注意。※すでにハウジング内側に擦った後がわかる。かといってPRIMEがルーズなのではなくPRIMEはちょうどシャコッと収まる良い感じ。
チャージングハンドル、略してチャーハン。前述したようにPRIMEとWAでは長さが異なり互換性はない。また、長さだけではなく、PRIME製には赤矢印の部分に突起があり、これがアッパーレシーバーの溝にはまって可動するようになっている。
チャーハンの先端部分の比較。
PRIMEはリアルサイズだが、先端にガスチューブを通す穴が開いていない。これはガスガン独自のボルトキャリア構造のためで、実物チャーハンを使用するとなるとこの穴をふさぐ必要がある。
チャージングハンドルの重量比較。WAは亜鉛ダイキャスト製で81gと重い。PRIMEとWAはアルミ製なのでほぼ同重量。
上下レシーバーとテイクダウン&ピボットピン、トリガーガードを含む重量の比較。G&Pは412g、PRIMEは436g。
さて、組み込み前のここまでで、G&PとPRIMEのメタルフレームどちらがよいか、それぞれのメリットを述べておく。
G&Pフレームは価格がリーズナブルでWA純正サイズなので、恐らくWAのインナーパーツ(ハンマー、シア、トリガー)がそのまま取り付けられるだろう。塗装にしては質感もよく、鋳造だといってもシャープ感はそこそこある。そういった意味では手軽にメタルフレームを導入するとしたらG&Pをおススメする。
対してPRIMEのメタルフレームはWAの本体価格より高い値段だが、金額相応のアノダイズド処理によるリアルな質感とリアル形状&サイズ、CNC削りだしによる高精度な寸法、ピン穴位置の正確さはスムーズな作動性にも有利に働くだろう。これらに価値が見いだせるのであればぜひ導入したいところ。
さて、次回はフレーム以外の各種カスタムパーツ、実際に組み込んでみての感想をレビューしてみたいと思う。
2009/06/20
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