東京マルイ オートマグⅢ 【ハイグレード/ホップアップ】

東京マルイ H&K USP 【ハイグレード/ホップアップ】

レポート:石井 健夫

「万能型自動装填式拳銃」を意味する英語「Universal Self-loading Pistol」の頭文字を取ってUSPと名付けられこの銃はドイツH&K(ヘックラーウントコッホ)社で1993年に開発された。

これ以前のH&K社製拳銃には独自性や革新性が強く打ち出された、いわば「クセの強い銃」が多かったのだが、USPは敢えて一般的な構造・デザインを採用。当初から米国市場を意識し、当時注目が集まっていた「.40S&W弾」の使用を前提に設計され、銃身、マガジン、スライドといった主要パーツおよびスプリング類の交換・調整でポピュラーな「9mmパラベラム」や新開発の高速弾「.357SIG」にも対応するというマルチキャリバー構想も取り入れていた。

自国ドイツではすぐさま優秀性が認められ、9mmパラベラム版が「P8」として連邦軍や警察が採用された。また米軍のU.S.SOCOMピストルMk23はこのUSPが設計のベースとなっている。

サイドビュー 左
実銃のUSPが登場した当時、世界の拳銃界を席巻していたのはグロックだった。
USPはグロック同様に樹脂フレームを採用していたので「強力なライバルでは?」と目されていたが、メカニズムとしては旧来からあるマニュアル・セフティや外装式ハンマーを備えたダブルアクション&シングルアクションを採用するなど意外に保守的で、逆にそれが当時はまだグロックをキワモノ扱いしていた保守的なシューターを取り込むためのマーケティングとして大いに功を奏し、USPは早い段階から商業的にかなりの成功を収めた。

日本でも実銃が登場して僅か2年後の1995年には既にトイガン化されるなど、USPは世界的に知名度や人気が上昇するペースが非常に速かったイメージがある。

サイドビュー 右
非常にリアルな造形、フルサイズマガジン、一体成型スライド、コッキングに連動したハンマーの動き、スライドを引く動作でエジェクションポートが開く、等、これ以前のモデルにもフィーチャーされていたが「毎回必ず」という訳ではなかった仕様がこのUSPからは全て揃うようになった。

さらにUSPではトリガー&ハンマーの連動がシングルアクションだけでなくダブルアクションでも再現され、空撃ちでパチンパチン! と楽しめる。さらにコッキングに伴うショートリコイルの演出として「バレル後退」と「チェンバー部分がティルトしスライドとのロックが解けるギミック」も加えられた。USPはまさに「シリーズの記念すべきモデル」なのだ。

パッケージ
パッケージサイズはシリーズ共通の「横290 x 縦180 x 厚さ50 mm」。表面のデザインは非常にシンプルだが、かえって実銃USPの端正な機能美が際立っていると思う。ちなみに東京マルイがモデルアップしたのは「.40S&W弾」版のUSPだ。

パッケージ内容
玩具店や模型店でこの状態のままディスプレイできるように洗練された内箱もシリーズ共通。銃本体には保護キャップ付き、グリップにはHOP-UP搭載モデルである事を示す帯。本体から取り外されたフルサイズマガジンもUSPではひときわ大きく見える。箱入りのBB弾(0.25g)150発と取扱説明書が付く。

ヘアライン仕上げ
同じABS樹脂製ながら若干グレーがかってヘアライン仕上げのスライドと、艶ありシボ仕上げのフレームとで質感に変化を加え、実銃における「鋼鉄と樹脂」の違いを巧みに演出している。
また、左右両用できるように工夫されたパドル式マガジンキャッチや、片手でも操作しやすいスライドリリース・レバーなど、保守的なレイアウトながらも使い勝手を追求した実銃USPの機能美が卓越した造形技術で美事に再現されている。

アンダーマウントレール
現在ではすっかりポピュラーになったフレーム前方下部のアンダーマウントレールだが、最初に標準装備したハンドガンはUSPだった。その部分にあるシリアルNo.プレートが内部に仕込まれた銀色パーツで光っているところが格好良い。フレームは左右合わせのモナカ構造だが、実銃でも真ん中にはパーティングラインが走っているので気にならない。また左右を合わせるためのネジがどこにも見えないのが凄い。

トリガー
平べったくて指に当たる面積が大きいせいかUSPのトリガーは引きが軽く感じる。実際、「LYMANトリガープルゲージ」による、コッキングした状態でのトリガープル実測値は「1.85〜1.97kg」だが、体感の弾き心地はもっと軽く感じる。Mk23もそうだったが狙って当て易さはやはりシリーズ屈指だ。
それだけにこのマガジンキャッチが本当にいただけない。筆者の場合、どう握ってもグリップする手の中指の根元の皮膚が隙間に巻き込まれて痛い。特に当てようと本気モードで狙いハイグリップ気味になると必ず「痛ててっ!」となる。USPを扱う際には必ずグラブ着用。これが鉄則だと思う。

マズル
艶ありブラックの樹脂で表現された.40口径のデッカイ銃口。グレーがかったスライド側面に目立つ「HK」刻印とも相まってコントラストがカッコ良い。やや奥まった位置に見えるインナーバレルは真鍮製だ。1990年代当時のH&K拳銃の特徴の一つがポリゴナル(=多角形)ライフリングなのだが、銃口部のモールド表現が鋭角でコンベンショナル(=通常型)ライフリングに見えるが、こういうカスタムバレルも存在するのでこれもアリっちゃアリ(笑)。


スライドを引いても、指で起こしてもハンマーはコッキングされ、トリガー位置が後退する。またダブルアクションでの空撃ちも「パチン!パチン!」と行えて楽しい。実銃のUSPではセフティとデコッキングの機能が一つのコントロールレバーに集約しているが、このコッキングエアーガンではハンマーが起きた状態での「コック&ロック」だけが機能する。また実銃では「S」と「F」の文字やフレーム側の「-」マークにペイントが入るが、これは省略されている。

スライド
若干グレーがかった色味のスライドには側面だけに細かなヘアライン処理がなされ「硬質なスティール感」が強調されている。フロントサイトとリアサイト、そして外部に露出したエクストラクター、さらにスライド上部に見えるブリーチ固定用のピン跡などはすべて一体成形のモールド表現なのだが、まるで別パーツにしか見えない造形力。これぞ老舗のプラモデルメーカー=東京マルイの底力にして真骨頂である。


コッキングの前半、弱いリコイルスプリングの力だけ掛かる空走部分がまず20mmあり、この時同時にバレル先端がショートリコイル後退、チェンバーはティルト、エジェクションポートも半分ほど開く。やがてシリンダースプリングの圧縮が始まるとスライドはグッ! と重くなり、ここから実銃スライドのフルストローク相当45mmまで引いてコッキング完了だ。

一体成型で剛性感充分なスライドは大型でしっかり掴めて引き易い…のだが、グリップを持つ手の指の付け根に毎回マガジンキャッチが食い込んで痛い。手袋なしでの素早い連射はかなりの苦痛で、実銃でもここは大きなマイナスポイントなのだ。サバゲーの時にはグラブ着用だろうから問題ない?

サイトピクチャー
リアサイト、フロントサイトとも角がクッキリ立って狙い易いが、ホワイトの3ダットは再現されていない。フロントサイトは傾斜がある上に反射防止の溝もなくツルツル、さらにスライドの色がややグレー気味で明るいので光の加減によっては見えにくい事がある。

BB弾発射時の狙点と着弾点の一致はかなり正確で、0.25gBB弾ならばストレート弾道で、0.20gBB弾でも「HOPがか掛かり過ぎ」という印象は薄く、程よく持ち上がった弾道で、30m先のA3用紙、40m先の上半身を気持ちよくHITする事ができた。撃ち心地や弾の飛び具合がかなり気持ち良い。ハンマーが起きているとダミーのファイアリングピンが見えるのもリアルで良い。

マガジン
東京マルイ/コッキングエアーガン/ハイグレードシリーズの売りは「フルサイズ・マガジン」なのだが、機種によっては形状にかなりのアレンジがあり、実銃マガジンよりやや短かったり、細かったりするものもある。が、このUSPでは正真正銘、ほぼ実銃通りのフルサイズに近い。
また実銃でもマガジンは樹脂ケースを採用しているので外観のリアルさも群を抜いている。装弾数は実銃「.40S&W」版が「13発」なのに比べてほぼ倍の「25発」だ。
内部にウェイト入りで重量は141g。マガジンキャッチの操作で本体からツルリと自重で滑り出てくる。またベースプレートも別パーツで底部には「HK USP」の刻印も入っている。

スペック


全長 198mm
重量 380g (実測値)
装弾数 25発
価格 3,500円(税別)
発売日 1997年3月21日
発射方式 スプリングエアー・ハンドコッキング、ホップアップシステム搭載
初速 最高:62.8m/s
平均:61.92m/s
最低:60.6m/s
ジュール:0.383J

※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、固定ホップアップ、室内10発での測定、気温19度、湿度56%、ACETECH AC5000にて測定。


2020/11/10

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