東京マルイ 電動ガン AA-12 【エアガン レビュー】
「度胆を抜く新商品!!」として2015年5月の静岡ホビーショーで発表になった電動フルオートショットガン、AA-12が遂に2016年1月に発売となった。映画『プレデターズ』で主人公のロイスが使用していたり、エクスペンダブルズにも登場していたあの破壊力抜群の12Gオートマチックショットガン、AA-12!! 人気YouTubeチャンネルのFPSロシアでも二丁小脇に抱えて撃っている動画は全世界で4千万回以上も再生されている。
すでに2015年9月開催のマルイフェスティバルにて射撃をしたものの、実際にどのような商品なのか具体的にレビューしていこう。
スペック & 初速データ | |||||||||||||||||||||
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※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温23.1度、湿度42.0%、10発、X3200にて測定。 |
パッケージデザインは黒を基調としたもの。パッケージサイズは93.5cm×39.5cm×9.5cmとかなり大きめ。しかもそこそこ重い。ボックス手前側が斜めにカットされているのもマルイのパッケージには無かった特徴。
パッケージ内容は、本体、93連マガジン、サイト調整ツール、保護キャップ、チャージャー、チャージングロッド、クリーニングロッド、取説とBB弾少々。
ハンドガードからストック、グリップまで一体となったレシーバー。実銃同様に樹脂製で、さらりとしたシボ加工のマットな手触り。銀色の大きなエジェクションポートがある。
レシーバー上面にはチャージングレバーがあり、その後方に大きくそそり立ったリアサイトがある。
上面には"AA-12 Sledgehammer"と刻印がある。
構えてみた感じ、剛性は高い。まあ、プラボディなりの感触はあるが、捩れたりすることはない。前後重量バランス的には僅かにリアヘビーと感じた。
チャージングハンドルを引くと、連動してポートカバーが後退し、可変ホップアップの調節ダイヤルが現れる。チャージングハンドルはスプリングのテンションは効いておらず、スライドさせたらそのまま固定される。再び手で押せばポートカバーが閉まる仕組み。これはおそらく、じっくり時間をかけて3つのダイヤル調節をしやすくするための配慮であろう。
可変ホップアップ調節ダイヤルは3つあり、内蔵される3本のバレルそれぞれにホップアップを調節できるようになっている。
レシーバー左側面はなにもなく、のっぺりとした印象。これだけ大きな面積があるならばステッカーを貼ったり、4Dプリントしたりと、いろいろなデザインカスタムが出来そう。
レシーバー左側面にあるセレクターはSがセーフ、Fがフルオートで、中間地点には実銃にはないセミオートモードがある。これは嬉しい。
フロントサイト。スリングスイベルが装着されている。付属のサイト調節ツールでサイトピンを回して高さ(エレベーション)を調節できる。
リアサイト。こちらはサイト調節ツールで左右(ウインデージ)の調節ができる。
ただ、このアイアンサイト、ものすごく狙いにくい。実銃がこうだから仕方がないんだろうけど、リアサイトの幅が広く、しかも丸い穴が2つある。取説には下の穴にフロントサイトを重ねて狙うとあるが、感覚的には写真のように上の穴に合わせて狙いたくなる。
12番ゲージ用の太いバレルが迫力もの。実銃では18インチ、16インチのショートバレル、13インチCQBの3種があるそうで、マルイは13インチのCQBをモデルアップしている。このアウターバレルは金属製。
内部には3本のインナーバレルが見える。ここからBB弾が3発同時発射される。しかもフルオートで。ああ、何というロマン。インナーバレル長は300mm。
この3発同時給弾&発射は、3シリンダー、3ノズルによるメカユニットにより実現している。ノズルには高潤滑アルマイトのカシマコートが採用される。
グリップは後部がやや角ばった印象を受けるが、細身で握りにくくはない。通常の電動ガンであればモーターがグリップ内に入っているが、AA-12ではストック内にES-1000Sモーターが内蔵されている。
また、このAA-12にはFET(電子スイッチ方式)が採用されている。また、注意事項として連射しているとストック内のモーターが過熱するので、500ショットで5~10分程度休ませるようにと取説にある。
3シリンダーで相当負荷がかかるのだろうか、空撃ちも必要以上にしないこととある。もちろん弾抜き程度なら問題ないだろう。
FETは何重もの安全対策がなされているのだそう。
マガジンはマガジンガイドと呼ばれるレールに当てがって差し込む。マガジンキャッチはトリガーガードの右横にある。
付属の樹脂製93連マガジン。装弾数93発なので、3発同時発射で31回射撃できる。秒間10発という公称値なので、実質約3秒でマガジンが空になるということだ。側面には手で触ると痛いほどのチェッカリングが施され、右側面にのみSLEDGE HAMMERの記載がある。
マガジンはフォロアーが飛び出る仕組みになっており、最後の1発までチャンバーに送り出す。マガジン底部はシルバーのプレート。
ストックは構えてみるとやや大柄な印象。上部後端にはスリングスイベルがある。ストック内にバッテリーをコネクトする。
ストック側面のリリースレバーを跳ね上げればバットプレートを取り外すことができる。内部にミニSバッテリーを収納できるスペースがある。ピニオンギアのかみ合わせ調整もここからできる。ヒューズはミニ平型25Aが使用される。また、このストック内部にFETの異常時に点灯・点滅するパイロットランプがある。バッテリーの電圧が不適切だと回路が停止する仕組みになっていると取説にある。
本体、93連マガジン、純正ミニSバッテリーでの総重量は4,320g。ドットサイトを装着したM4カービンなどよりも全然重い。
93連マガジンの重量は293g。
さらに今後、オプションとして装弾数3000発以上の電動給弾ドラムマガジンの発売が予定されている。
またこの写真は試作ではあるもののマウントレイルといったオプションパーツも予定されている。
さて実射。今回、室内8~9m程度の射撃ではあるが、感想を述べておこう。この距離だとホップ調整はできそうにない。おそらく工場出荷である程度適正にはなっているであろうが、マルイのプロターゲットの15cm角に収まる程度の集弾性能、というか拡散状況だった。
初速については3発同時発射で計測してみたのだが、やはり正しく計測できないこともあり、それらを除いた平均値としては約75m/s程度だと思われる。
回転数はX3200では誤計測されたので、ビデオ撮影して発射音をフレーム数から割り出したところ、概ね9.5発/秒だった。バッテリーは新品のマルイ純正 8.4V 1300mAh ミニSバッテリーを使用している。
アイアンサイトが非常に狙いにくいので、かなりアバウトな照準となるが、ダン、ダン、ダンとセミオートで速射、フルオートでダダダダダンッと連射して、1マガジンも撃つとターゲットペーパーはボロボロ。
こ、こ、これはっ!! とてつもなく楽しい電動ガンだっ!!
3発同時発射が2発になったりしないか心配だったが、数マガジン撃ったところではすべて3発発射されているように思えた。
トリガーストロークは少々長いが、電子スイッチなので、スタンダード電動ガンのようなゴキッというスイッチ感はなく、プルは実にスムーズ。トリガーを引いてから弾が発射されるまでのロックタイムはやや長めだが、それもショットガンというカテゴリだからだろうか、不思議と許せる。
オートストップ機能が付いていたらと思うが、これは酷な要望か。
いやぁ、もうね、ニヤニヤが止まらない。早くこれをサバゲーで使いたい。
久しぶりにエポックメイキングなエアガンだなぁと感じる。
なんというか、タクティコーなカッチョ良いスタイルだけが銃じゃなくて、こういったぽってりした外観に強力なメカユニットを搭載するあたりが凄いツボるのだ。
こいつをサバゲーで使わないなんてもったいない。今すぐアウトドアフィールドへ行きたくなった。
もちろんインドアフィールドでもAA-12は強力なウエポンとなるだろう。フィールドによってはフルオート禁止となっている所も多いが、セミオート戦でもメチャクチャ楽しいはず。
なんだかAA-12の発売前からレギュで使用禁止にするフィールドがあるみたいだけど、跳弾が厳しいという理由なのかな。
まあ、でもね、このAA-12は、かつてエアコッキングしかなかった時代にガスセミオートが、あるいはガスフルオートが、そしてホップ付きの電動ガンが登場したときのインパクトに近いものがある。
ロングレンジでどの程度の制圧力があるかは今後の動画レポートでご覧いただくとして、これはサバゲーに革命をもたらしそうな、そんな予感がする一丁。
そして今後、このFET・電子スイッチ式のユニットを従来の電動ガンにも組み込んだモデルも発表されればさらに嬉しいんだけど。
フィールドでの実射性能
さて、実際に発売されたAA-12を使用してサバゲフィールドにて射撃テストおよび、制圧力実験を行った。
距離40mと30mでの射撃テストを行った。条件は東京マルイ製ベアリングバイオ 0.2g、東京マルイ 8.4V 1300mAh ニッケル水素 ミニSバッテリーを使用し、外気温は14度前後。
実際に動画を観てもらうと判るが、30mを超えた付近から大きく弾が拡散しており、40m付近ではマンターゲットよりも広く拡散している。最大射程は40m強と言ったところだが、この距離では狙って人に当てるのは事実上無理。1マガジン撃って、2、3発が偶然当たるかなといった程度。
続いて30mの距離では概ねマンターゲット程度に弾が拡散。かなりの確率でヒットが取れそうな状況だった。ただし、弾速がスタンダードや次世代電動ガンに比べると遅めなので移動しているターゲットに当てるには偏差射撃を駆使しなくてはならない。またこの30mという距離においてもピンポイントで狙うという感じではなく、ダダダッと何回か連射して弾をバラ撒きながら制圧していくというスタイルになる。
15m~20mになると拳大からA3用紙大程度に固まって3発が飛んでいくので、窓やバリケから覗いている敵への攻撃はかなりしやすい。
これらの結果から、AA-12は30m以下での近距離戦に特化した面制圧ウエポンと言えるだろう。そもそもがショットガンなのだから近接用武器として十分な効果を発揮していると言える。
電動フルオートショットガンだからといって過剰にビビる必要は無し。AA-12を持つ敵に対しては40mオーバーから電動ガンで狙い撃ちしてあげればよい。
AA-12が登場したことでサバゲーに新たな戦術が加わったと思える。こいつで敵にグイグイと近づき、側面や背後を取ってズババババハッと敵を一網打尽にしたら、それはそれは快感だろう。
フルオート3発同時発射の撃ち心地は特筆に値する。ぜひAA-12でサバゲーを楽しんでもらいたい。
実戦投入!! サバゲーで使ってみた
千葉のサバゲーフィールド、リトルヘッドショットを貸し切った際に、AA-12をゲームに投入してみた。ノーマルマガジン2本しか持っていないので、合計で62ショットのみ。セミオート戦ではあったものの、かなり残弾数には気を遣うゲーム展開となった。
性能としてはやはり30mを超える距離ではセミで撃っても当たらないケースが多く、敵を発見しているのに当てられないという歯がゆい気持ちになる。距離を詰めていき、20m以下の交戦距離ならばかなり戦闘は有利になる。
敵と出くわした際の撃ち合いは強く、バリケードや櫓に隠れている敵もバシバシと倒せた。
AA-12は後ろで芋っていてもまったく勝てない。むしろグイグイと前線に攻め込んでいき、回り込みながら敵に3発同時発射を食らわせていくという戦法が面白い。
しかし、その大柄なボディと4.2kgという重量は取り回しにかなりの体力を使うことも確か。スリングはあったほうが楽になるかも。
AA-12はFET搭載なのでトリガーの追従性は悪くないが、サイクルが遅いのでセミオート時のトリガーを引いてから弾が発射されるまでのタイムラグ(ロックタイム)が長く、ハイレスポンスな電動ガンに慣れていると違和感を感じる部分もあるかも。
アバウトなアイアンサイトでの狙いはそれほど気にならなかった。結局散弾するので弾道を見ながらラフに狙っていくスタイルになる。これにドットサイトを付けても重くなるだけで大きなメリットはないだろう。
フルオート戦にも投入してみたが、ノーマルマガジンだとすぐに弾が無くなってしまい、無駄撃ちも多くなる。ドラムマガジンの発売が待ち遠しい限り。
櫓の二階からフルオートで1マガジン31連射したところ、敵にかなりのプレッシャーを与えられるとともに、味方からは笑い声さえ聞こえてきた。なんというかミニガンを連射したときのような、ちょっと圧倒される雰囲気というか、ネタ銃的な雰囲気もAA-12は持ち合わせていると言えよう。
あと、いつも使用しているソフトタイプのライフルケースだと、全高があるのでグリップがはみ出してしまう。専用のケースが必要だ。また、スペアマガジンを携帯するにも大き目のマグポーチが必要。この日は予備マグ1本だったのでタクティカルパンツのポケットに入れて運用した。
3000発装填できるドラムマガジンならばマグチェンジを気にすることなくバリバリと戦えるだろう。
電動ドラムマガジン
2016年6月29日に発売になった純正オプションパーツ、電動ドラムマガジンを試してみた。
ノーマルのボックスマガジンに比べて横幅が広くなるが、取り回しはそれほど変わらない印象。
この中にBB弾が3000発以上も入る!! AA-12専用とはいえ、これが9,800円(税別)というはかなり破格と言える。
内部に単四電池4本をセットする。電池をセットしての重量は611g。これに0.2gBB弾3000発が入るとさらに600gの重量増となる。
BB弾は上部のふたを開けてジャラジャラと弾を流し込む。
前面の小さなボタンを押すことでモーターが作動してBB弾を巻上げる仕組み。ウィーンと小さめのモーター音で巻上げが完了するとガリガリガリと音が変わる。
銃本体のマガジンガイドに取り付けるセフティホルダーが同梱する。不意にマガジンキャッチを押してしまったときの落下防止用パーツだ。こういった安全に対する配慮は流石。
この迫力を動画でもどうぞ。
1回の巻上げで撃てるのは7~8秒、秒間10連射で3発同時発射なので210~240発程度の連射ができる計算だ。フル装填した弾を撃ち尽くすには10数回は巻上げボタンを押さないといけない。また、巻上げが弱くなると弾が3発同時発射されなくなることもあったので、実質5秒程度連射したら巻上げるといったこまめな操作が必要になるだろう。
しかし、3000発装填のドラムマガジンは圧倒的な安心感がある。あとは銃本体の予備バッテリーも携行したいところだ。
マルイ・フェスティバル 2015での15mレンジにおけるAA-12の射撃動画もどうぞ。
こちらは静岡ホビーショー2015発表時のマルイ デカ広報の解説。テンション高い!!
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