ICS 電動ガン CXP-UK1 CAPTAIN
レポート:戸井 源太郎
3~4年前からショップで、よく見かけるICS AIRSOFTの電動ガン。
ICS AIRSOFTは台湾のトイガンメーカーで、日本ではあまり知られていませんが、1983年創業で、台湾で最も古い歴史を持つメーカーなのです。
購入してから手がかかる海外製電動ガンが多い中で、ショップでは、「ICS製品は箱出しでサバゲでも使えますよ」と聞いていましたが、本当のところはどうなのだろうか。実は、今まで私はICSの電動ガンを射撃したことがありませんでした。
“気になったら、自分の目で確かめる!”
ということで、ICSの超コンパクトなARカービンモデルのCXP-UK1 CAPTAINで実射テストを敢行しました。
では、さっそく、ICS CXP-UK1 CAPTAINをみてみましょう。
7.5インチバレルにストックレスのICSオリジナルデザインARカービンです。
フレームはアルミ製、レールはKEYMOD仕様となっています。バッテリー搭載のためにプラ製のレーザーサイトに模したバッテリーケースが標準装備されています。
■スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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パーツリスト |
パッケージは黒地で大きくロゴがプリントされたコンパクトなものです。サイズは680 × 300 × 125mmです。
中は型貫された薄いプラ製の中敷きで、銃を保護してくれています。
取説、クリーニングロッド、フロントサイトアジャスター、バッテリーケースキャップ、BB弾(約300発)、ヒューズ×2個が同封されています。
フレームはオーソドックスなM4のものを採用しています。素材はアルミで剛性も高いです。
マガジンハウジングにはICSの両手に銃を持った天使が刻印されています。
セレクターもM4と同じもので、もちろんセミ、フルと切替が可能です。
しかもセフティに入れるとピストンを前進させるスプリングリリース機能を搭載しています。
これは射撃後、ピストンが中途半端な位置で止まることがあるため、セフティを入れることで、自動的にピストンを前進させ、スプリングのヘタリを防止しています。
トリガーもM4純正タイプで、トリガーガードはワイドタイプを採用しています。
グリップはICSオリジナルデザインです。グリップ内にもーターが配されていますが、握りやすいようギリギリまで薄く作られています。
右手の親指、中指が当たる部分が薄くなっていて、握りやすくなっています。
チャージングハンドルもICSオリジナルデザインのアンビタイプです。ICSのCXPシリーズ共通のようです。
チャージングハンドルを引けば、ボルトカバーが開き、可変ホップアップの調節ダイヤルが露出します。ホップはドラム式です。
スパイクが付いたスチール製大型のハイダーが搭載されています。14mm逆ネジ仕様なので、サプレッサーなどの装着も可能です。
インナーバレルがアウターから5mmくらい露出しているので、他のハイダーやサイレンサーなどは干渉するかもしれませんので、注意してください。
ハンドガードからフレームまでのトップレールは全長が短い上に、バッテリーケースが装着されるためレールとしてのスペースは少なめです。
KEYMOD用のレールを購入して、バッテリーケースはサイドレールに装着するのもよいでしょう。
フリップアップのフロントサイトはレールと一体型になっています。サイドのボタンを押せば起き上がります。
リアサイトはナイツタイプのフリップアップタイプが搭載されています。
短めのストックパイプがあり、その後端にはQDスイベルリング用のアタッチメントがあります。
ストックパイプ基部には、ICSの刻印入りスリングスイベルを搭載しています。
バッテリー搭載用にレーザーサイトを模したICSオリジナルのバッテリーケースが標準装備されています。
前後のキャップを90°回転させて外せば、バッテリーケースを分解できます。
本体側のコネクタはハンドガード右側の穴から出ています。いわゆるタミヤタイプのミニコネクターです。
バッテリーケース底部の穴からコネクタを通してバッテリーを接続します。
コンパクトなバッテリーケースなので、あまり大きなバッテリーは収納できません。
Option No.1 7.4v 1100mAh PEQインタイプがピッタリでした。コネクターもケースの下部の穴から引き込めば、配線も目立たず搭載できます。
バッテリーコードはほとんど外部に露出することなく、すっきりと収まります。
ICSのCXP-UK1シリーズの特徴はテイクダウンにあります。
テイクダウンピンを左側から押し出します。ピンはストッパーがあり完全に抜けません。
メカボックスが上下分割式になっています。ロアのギア部分とアッパーのピストンユニットが完全に分離します。
テイクダウンして、チャージングハンドルを引けば、ピストンユニットが取り出せます。
シリンダーにブローバック用の切り欠きがあります。
切り欠きの幅からわかるようにストロークは短くエジェクションポートの1/3くらいしか前後しません。
ピストンユニットを抜いたあと、インナーバレルを引きだすことができます。
インナーバレル長は186mmで、材質はアルミ+黒アルマイト仕上げのようです。
マガジンはICSオリジナルデザインの樹脂製300連マガジンが標準装備されています。給弾口は東京マルイのスタンダード電動ガン用の300連マガジンと同様、上部に蓋があります。
底部にあるゼンマイを巻いてBB弾を巻き上げますが、ゼンマイの抵抗があまりなく、ちゃんと巻けているのかわかりにくかったですが、杞憂のようで、射撃時に給弾不良はありませんでした。
ICSのマガジンは両側に窓があり、BB弾の残弾を目で確認できるのがよいですね。
同封されているこのパーツですが、最初は、なにかわかりませんでした。
ネジが切ってあるのでハイダーかと思いましたが、径が合いませんでした。裏面にはスリットが入っていました。ひょっとして、これは...。
どうやらこのパーツはバッテリーケース用のキャップのようです。バッテリーによってはコネクターが邪魔でケースに収納できない場合にこれを使って、配線を外に逃がすためのパーツでした。
実射テスト
実射テストは、各種電動ガンの精度を比較できるよう、BB弾は東京マルイ ベアリングバイオ0.2gBBを使用し、なるべく同一条件としております。距離は30、40、50mで射撃してみました。
ホップの調整は無段階でクリック感はなく、微妙な調整が可能で、非常に素直でした。
ホップを調正後、いつもと同じく人物大のターゲットに撃ってみたところ距離30、40mでは、ボディには100発100中といった感じでした。
しかも散らばって、とりあえずボディのどこかに当たったのではなく、狙ったところに当たります。
この精度には、正直、驚きました!
ドットサイトやスコープを搭載し、しっかりゼロインすれば、ヘッドショットも可能でしょう。ちなみに今回はSIG SAUERのROMEO5を搭載しています。
試しに50mでも射撃してみました。
直接射撃で、ヘッドを狙って撃ったところ、ギリギリ届く感じで何発かが、ひざ下にヒットする感じでした。
そこで、頭2、3個分の上を狙ったところ、BB弾は急下降という弾道ですが、フルオートでもBB弾の散らばりはほとんどなく、この距離でもBB弾が纏まって飛んでいくのがみえました。実際に、この狙点だと、50mでも、ほぼボディにヒットできました。
通常、この距離では、牽制射撃のバラ巻きの意味が多いと思いますが、このCXP-UK1 CAPTAINは、こんなにコンパクトなのに狙撃が可能です。距離50mで、この精度は素晴らしいと思いますね。
また当日はゲリラ豪雨に見舞われましたが、実射テスト時には雨もあがり、弾道の影響は受けませんでした。
私、レビュアーの戸井源太郎、恥ずかしながらICSの電動ガンを撃ったのは、今回が初めてであり、変な先入観もなかったのですが、期待もしていませんでした。実際に撃ってみて、その命中精度には、ほんとに驚きました。正直、そこまでの精度があるとは思っていませんでした(笑)。
初速も測ったところ非常に安定しており、これも命中精度に寄与していると思います。
またトリガーのレスポンスもよいです。トリガーを引いてからのモシャモシャ感がなく、よい反応ですね。射撃性能に関しては文句なしの合格です。
個人的に実射してみて、精度、性能とは関係ない所で、気が付いた点を辛口で羅列してみます。
まず、バッテリーケースは、トップレールに装着することになるのですが、こうなると光学機器搭載用のスペースが非常に狭くなってしまいます。
KEYMOD用のミニレールが同封されていたらサイドにマウントも可能ですので、付属して欲しかったですね。
ストックパイプは構造上必要はないのですが、フロントヘビーになりがちなストックレスARのカウンターバランスとなっています。どうせストックパイプを残すのなら、ここにバッテリーを収納する仕組みになっていたらよかったかもしれませんね。
セフティによるスプリングリリース機能は、以前にはフォワードアシストノブを押すことでリリースだったみたいです。
セフティレバーにしたことで毎回、忘れずにリリースができますが、装填中に一度セフティに入れてしまうとチャンバーに弾が二重装填されてしまうので、次の1発目は弾が2発同時に発射されてしまいます。
またアクション的にはフォワードアシストノブのほうがリアルな気がしますね。これは好みが分かれるところでしょうか。
あと、射撃音というかギアノイズが少し大きいと感じました。メカボックスが上下分割なので、その影響があるのかもしれませんね。
CXP-UK1 CAPTAINはICSの剛性の高いボディとその技術、そして熟成されたメカによる距離50mでも狙撃できる精度とすべてにおいて満足いくテスト結果が得られました。
実射テストでは故障はもちろん、わずかなトラブルもなく、スムーズに撮影ができました。撮影時間も限られているので、結構、ここは大事なのです(笑)。
ICSではロングバレルモデルからストックレスのARカービンタイプとM4系電動ガンが各種揃っています。どれもこの性能、精度なら買いですね。
撮影協力:ビレッジ2
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