G&G 電動ガン PRK9 RTS
レポート:戸井源太郎
G&Gから発売された9mm弾仕様のAKスタイル電動ガン、PRK9 RTSを実射を交えてレビューします。極限まで切り詰めたモダナイズドAKショートモデルです。
実銃ではAKの9mm弾仕様はイズマッシュ社が開発したAK-9がありますが、使用弾は9X39mmという特殊なライフルです。
カラシニコフ USA社ではメジャーな拳銃弾である9X19mm弾を使用するストックレスのKP-9や、ショートバレルライフルのKR-9がラインアップされています。
さらに最近では本家ロシアのカラシニコフ社からPP-19 Bizonの後継モデルである、9X19mm弾を使用するPPK-20が発表されました。AR同様に世界的にもAKのPCC(ピストルキャリバーカービン)が賑わいを見せています。
これらの背景としては弾薬価格の高騰により、ライフル弾より安い拳銃弾を使用し、かつ、操作性は従来のライフルと一緒であるという点、また、貫通力がライフルほど高くないので、プレート射撃競技や、発砲時に周囲に被害を拡大したくない警察の任務にも改めて見直されているという理由があります。
G&GのPRK9 RTSはコンパクトなKP-9よりもさらに全長が短く、G&Gのオリジナルティ溢れるデザインとなっています。また、ストックレスでピストルスタイルのPRK9、ライフルスタイルのPRK9Lもラインアップされています。今回はサバゲーでも使いやすそうな伸縮フォールディングストック付きのPRK9 RTSをレビューします。
PRK9 RTSはAKのレシーバーはこそ使用していますが、ARストックやレイルマウントなどコンパクトでありながら現代的で拡張性にも優れたスタイルです。
主要パーツはメタル製で質感、剛性とも高く、MOSFET、電子トリガーユニットが標準装備されており、トリガーのレスポンスの向上、焼き付き防止に寄与しています。またフル、バーストの射撃モードの切り替えが可能となっています。
パッケージはシリーズ共通でモデル写真入りのホログラムステッカーで判別できるようになっています。取説も日本語対応です。パッケージサイズは715 x 255 x 75mmとなります。
9X19mmダミーカートが映えるシースルーマガジン、トップレール搭載と、特徴であるセレクターがなければ、AK系とわからないほどモダナイズされています。主要パーツはメタル製でコンパクトでも重量感があります。
トリガーはAKそのもののシンプルなものです。マガジンキャッチは操作しやすいようにワイドになっています。ただマガジンの挿入はAK系と同様、前側を引っ掛けての着脱なので、少々コツが必要です。
AKスタイルなのでセレクターは上からセフティ、フル、セミになっています。セレクターの切り欠きにコッキングハンドルを引っ掛けるとホールドオープンできます。ホップアップの調整時には重宝します。
トリガープルは380gとかなり軽いです。またG&Gの電動ガンはセレクターをセミオートの位置でトリガーを10秒ほど引き続けるとフルオートと、3点バーストを切り替えることができます。切り替わったらブザーが鳴ります。
G&Gオリジナルのフィンガーチャンネル付きのAKタクティカルグリップを装着しています。
コッキングハンドルは起倒式となっています。どちらの状態でも引けます。
拳銃弾サイズの小さめのエジェクションポート内に可変ホップアップの調整ダイヤルがあります。円盤タイプなのが珍しいですね。
AKの特徴である木製または樹脂製のハンドガードはなく、ガスブロック部に左右、下面にレールが装着されています。マズルキャップのイモネジを抜いてからを外せば、14mm逆ネジのサイレンサー、トレーサーを装着できます。
フロントサイトはシンプルかつガッチリした作りです。付属のパーツで上下に調節できます。
リアサイトはトップレイルの後方に搭載されていて左右の調節もできます。光学機器を搭載する場合はリアサイトブロックごと取り外せます。
G&GオリジナルのGOS V4ストックが標準装備です。長さは6段階に伸縮します。またストックは基部を上に押し上げれば、折り畳むこともできます。ストックにはバッテリーを収納しません。
バッテリーは多くのAK系の電動ガンと同じく、アッパーレシーバー内に収納します。レーシーバーカバー後部にあるロックボタンを押して、レシーバーを開けます。
スチール製のレシーバーカバーの前部はヒンジになっていて、レシーバーカバー上にマウントレールが取り付けられています。
T字コネクター仕様ですので、使用バッテリーには注意しましょう。スティックタイプなら十分な収納スペースがあります。
プラ製のシースルーで9mm弾ダミーカートがよくわかるマガジンです。装弾数は40発と少なめとなっています。全弾撃ち尽くし可能なロングフォロワー仕様ではありません。
実射テスト
テストは野外レンジで距離30、40mの人物大のターゲットへの射撃を行います。バッテリーはリポの11.1V、BB弾は東京マルイのベアリングバイオBB0.2g弾と0.25g弾を使用しました。
まず、ホップ調整ですが、全体的に強すぎるように感じました。0.2g弾の30m射撃ではノンホップでも問題ないくらいでした。
ほんの少しホップをかけるだけで、40mは余裕で射程内です。命中精度もどちらBB弾でもボディ必中です。30mならヘッドショットも可能でしょう。信頼性も問題なく、誰もが納得できる性能を有しています。
3バーストに切り替えての射撃も3発ずつ確実に発射されます。
128mmと短いインナーバレルですが、初速も安定しており、おかげで弾道もまとまっています。連射サイクルも11.1Vバッテリーにより、秒間約18発と早めなので、BB弾が一筋に連なっていきます。
気になった点としては、個体差かもしれませんが、ホップアップが最小でもやや強めだったことでしょうか。0.2g弾だとやや浮き気味になります。G&Gは全体的にホップが強め傾向なので、このあたりは日本のレギュレーションにあった調整範囲になると嬉しいですね。
それとマガジンの装弾数が40発というのは、やはり少ないですね。GBBならともかく、バリバリのサバゲーアタッカー用ウェポンなので、もっと装弾数が欲しいところです。サバゲーでは純正別売りの200連多弾倉マガジン、もしくは専用のドラムマガジンを用意すると便利でしょう。
また、マガジンの挿入にコツが要ります。通常のAK系と同様、マガジンを前へ傾けて、フレームの前に引っ掛けて装填しますが、このPRK9はもっと傾ける必要があります。すぐに慣れますが、戦闘中だとマグチェンジに焦りそうです。
総評
コンパクトサイズの電動ガンでありながら、主要パーツはメタル製で剛性も高く、かつ重量感もあり、おもちゃ感は全くありません。このサイズを活かして、サバゲーでは機動力を発揮できるでしょう。アウトドアフィールドでの飛距離、精度とも実射性能も十分あります。
昨今のG&Gの電動ガンのクオリティの向上には目を見張るものがあります。飛距離、精度のみならず、MOSFET、電子トリガーユニットなど新機構も積極的に取り入れており、世界的に見てもトップクラスの電動ガンといってよいでしょう。
価格は決して安価とは言えませんが、MOSFET、電子トリガーユニット搭載でこの精度なら納得といえます。十分価格に見合う価値はあります。AKスタイルのコンパクトウエポンを探していたユーザーは要チェックです。
スペック & 初速
全長 | 350mm / 557〜645mm (ストック伸長時) |
重量 | 2,580g (空マガジン含む) |
銃身長 | 128mm (インナーバレル長) |
装弾数 | 40発 |
価格 | 61,000円(税別) |
発売日 | 2021年7月16日発売 |
動力源 | リポバッテリー |
初速 | 最高:88.53m/s 平均:88.28m/s 最低:87.79m/s ジュール:0.779J 回転数:1113rpm(18.55発/秒)Lipo 11.1v使用 ※東京マルイベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、屋外10発での測定、気温31度、湿度52%、XCORTECH X3200 Mk3にて測定。 |
協力:G&Gジャパン、ビレッジ1
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