タナカワークス ガスガン 陸上自衛隊 9mm拳銃
レポート:戸井源太郎
タナカから2018年5月に前モデルを大幅に見直し、9mm拳銃のガスガンが生まれ変わって発売されました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、約20年くらい前にタナカから9mm拳銃のガスブローバックが発売されていました。そのため、最初は再販かと思っていましたが、タナカに伺ってみたところ、改修を加えて、ほぼ新規といってよい代物になったそうです。
自衛隊創設時の装備はほとんどアメリカ軍のお下がり(供与)でした。拳銃も自衛隊の創設から1980年代初頭まで30年近くずっと米軍のM1911を「11.4mm大口径拳銃」として採用していました。
しかし.45口径弾は反動が強すぎ、日本人には不向きでした。
そこで1979年に新型拳銃採用向け、陸上自衛隊で新中央工業(現ミネベア)M57A1、SIG SAUER P220、FN ブローニング・ハイパワーなどでトライヤルが行われました。結果、SIG SAUER P220が選ばれ、1982年から9mm拳銃として制式採用されました。現在では陸自だけでなく、海自、空自でも採用されています。9mm拳銃の製造はミネベアミツミ社がライセンス生産しています。
以前は警備や指揮官の携帯武器という印象が強かった拳銃ですが、最近では普通科でも閉所訓練として拳銃の有用性が認められ、使用されている部隊もあります。
欧州の銃器メーカー、SIG SAUER社のP220は世界各国の特殊部隊などで採用実績があり、精度の高さから絶大な信頼を得ているSIG P226、P228、P229などの前モデルにあたります。
P220は今でこそ、装弾数やマガジンキャッチの位置、アンダーレールがないなど最新モデルに及ばないところがありますが、SIGならではの素晴らしい精度と撃ちやすさを併せ持つ傑作ハンドガンといえるでしょう。
ハイパー道楽 編集部のYASさんがラスベガスのデザートシューティングツアーで実銃のP220を撃った話を伺いましたが、グリップが細身で握りやすく、とても撃ちやすくて、10~20mの距離で移動しながらバンバンと25cmスチールプレートに当てられたそうです。1マグ撃ち終わって、すかさずマグチェンジしようとしたところ「マグキャッチどこ!?」と焦ったことを除いて実に良い銃だったと話していました(笑)。
さて、実銃の話はこれくらいにして、タナカのガスガン、9mm拳銃を見ていきましょう!!
自衛隊制式採用の9mm拳銃をタナカからほぼ新規モデルとして2018年5月に新発売されました。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
|
パーツリスト |
ライトグリーンで「SIG SAUER P220」とホップなデザインです。サイドに「陸上自衛隊 9mm拳銃」とラベルが貼られており、モデル名がわかります。パッケージサイズは265 x 180 x 50mmです。
中は発泡スチロールで保護されています。
同梱物は取説にBB弾、マズルキャップになります。
タナカの9mm拳銃はSIGの特徴を完璧にリアルな外観を再現しています。実射性能も気になるところです。
先日、東京マルイからガスブローバックの89式5.56mm小銃が発売されたばかりなので、この9mm拳銃も合わせて装備したいですね。
スライド左面には「NMB SHIN CHUO」と「SIG SAUER」のライセンス刻印、右側には「桜マーク」に漢字で「9mm拳銃」、製造年月、シリアル番号とリアルな刻印が入っています。 スライド、フレーム共にもちろん樹脂製です。
バレルにはライフリングも彫られています。シングルカラムでスライドが薄いため、9mmのマズルでも迫力あります。またマズルフェイスの複雑な形状も完全再現しています。
ホールドオープンの状態です。もちろんショートリコイルも再現されています。
トリガーは縦溝が入っています。ダブルアクションでは日本人の手にはちょっと遠い気がします。
トリガープルはDA時で 4lbs+2.8oz / 1.893g、SA時では 1lbs+14.3oz / 858gでした。
SIGの特徴である左のデコッキングレバーと右のスライドリリースレバーが並んだ配置です。どちらもライブです。
ダブル、シングルアクションどちらでも射撃可能です。ハンマーにはガッチリした無骨な形状で、シンプルな滑り止めの溝があります。
チェッカリングの入ったプラ製グリップを装備しています。シングルカラムなので薄く、握りやすくなっています。
マガジンキャッチはグリップエンドにあります。70年代までのドイツ製ハンドガンはこの位置が多いのですが、現代ハンドガンに慣れていると使いにくく感じます。ランヤードリングも装備されています。
フロント、リアサイトとも質実剛健シンプルです。照星と照門は狙い易いようホワイトドットが入っています。
エジェクションポートの複雑な形状も完璧に再現しています。
エジェクションポートから平面に面取りされたスライドが徐々に丸みを帯びていくSIGらしい優美なラインも忠実に再現しています。
可変ホップアップの調節はホルードオープンして行えます。やりにくい場合はスライドを外して調整もできます。
通常分解
通常分解は、まずマガジンを抜き、テイクダウンレバーの真上にスライドの半円の切り欠きがくるように後退させ、レバーを90°時計回りに回します。
そのままスライドを前方へ引き抜きます。
フレーム側はこのようになっています。
スライド内側です。スライドオープンの状態でホップ調整しにくい場合は、このようにスライドを外してホップ調整することもできます。
バレルをスライドから取り出すとホップダイヤルがよくわかります。
工具なしで、ここまで分解できます。
シングルカラムの薄いマガジンです。薄くてもBB弾はダブルカラムで装弾数は20発となります。マガジン重量は178gと軽めです。スペアマガジンは4,500円(税抜)となっています。
マグナブローバックを内蔵していますが、バルブ部は改良されているようです。マグナで特徴的なバルブ部にある可動式のプレートはありません。
ガスの注入はマガジン底部から行います。
実射テスト
距離は20と30mで行い、ターゲットは20mは直径18cmの丸プレートとA3サイズ(29.7cmx42cm)のスチールプレート、30mは人物大のターゲットを使用しました。
使用BB弾は、いつもと同様、東京マルイのベアリングバイオBB弾0.2gと0.25gです。
まず0.2g弾で20mで撃ってみました。ちょっとホップが浮き気味で下目を狙う必要がありましたが、ほぼ全弾をA3サイズにヒットすることができました。
30mでも全弾とまでいきませんが、大部分をボディサイズにヒットさせることができました。
0.25g弾ではホップもしっかり掛かり、ほぼストレートな弾道を得られます。
20mではA3サイズは確実に纏まり、30mでも弾道も素直で、ボディにほぼヒットできます。
飛距離もヒットは難しいと思いますが、40m近くまで飛びます。
この9mm拳銃には圧倒的に0.25gBB弾の方が相性がよさそうです。
マガジンもシングルカラムで薄く、ガスの気化室も小さいはずですが、この時期でしたら快調に作動します。
テスト射撃中はトラブルもなく、確実に動き信頼性も高いと感じました。
総評
実は旧モデルのタナカ 9mm拳銃を昔撃ったことがありますが、新9mm拳銃は外観のリアルさ、リコイル、飛距離、命中精度と全てにおいて凌駕しています。作動や射撃性能においても特に問題点や欠点はないように思いました。 サバイバルゲームにおいても充分戦えるガスブローバックと言えるでしょう。
価格はマルイと比較したら、ちょっとお高めの24,800円(税抜)ですが、リアルさ、性能などの完成度の高さを考えると妥当なところだと思います。
世界で唯一の9mm拳銃のガスブローバックであり、自衛隊ファンのみならず、現役の自衛官の方にもこのリアルさには感動するのではないでしょうか?
実際にこの9mm拳銃を撃ったことがある元自衛官に手に取っていただいたところ、「外観や構造などリアルに出来てるね!」と関心されていました。
CQBエリアをスピーディーにクリアリングしていき、鋭いリコイルを味わいながら正確無比に発砲、そして制圧!!、なんて実に燃えるシチュエーション。タナカの9mm拳銃、自衛隊コスプレしてサバゲで戦うには最適な一丁です!!
余談ですが、富士学校の資料室に展示されていた9mm拳銃。
よく見ると、あれ、MGC製のP220!?
撮影協力 ビレッジ2、タナカワークス
■関連レビュー
東京マルイ ガスガン 89式5.56mm小銃〈固定銃床型〉
タナカ エアガン Kar98k AIR
タナカ エアガン M40A1 AIR
タナカ ガスガン S&W M500
タナカワークス ガスガン S&W M327 PC M&P R8 Ver.2
タナカ ガスガン S&W M36 チーフスペシャル
タナカ ガスガン ルガーP08