東京マルイ ガスガン MTR16
ここ数年、米国のラスベガスで開催される世界最大規模の銃器トレードショー、SHOT SHOWを取材しているのだが、アメリカの銃器事情やトレンドが如実に反映されていてとても興味深い。
そのなかでもAR15は米国民間市場で最も人気があるライフルで、実に多くの銃器・カスタムメーカーによって日々バリエーションが生み出されている。
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一般的に米国で民間人が所持できるアサルトライフルはバレル長16インチ以上で、セミオート仕様のものになる。それ以下のショートバレルライフルやフルオートマシンガンは多くの州で特別な所持許可が必要だ。
そんな米国の銃器業界にあたかも存在しそうなライフルが東京マルイのガスブローバックガン、MTR16だ。
MTRとはMulti Tactical Rifleの頭文字を取ったもの。
スラリと伸びたスリムで軽量なハンドガード、フルートと呼ばれる肉抜きされたシルバーのバレル、まさに米国のスポーツシューティングで使われていそうな流麗なデザインといえる。
パッケージはブラックを基調としたデザイン。銀色の箔押しされたMTR16が輝く。パッケージサイズは横930 x 縦325 x 厚110 mm。
パッケージ内容は本体、マガジン、M-LOKレイル(S/M/L)、保護キャップ、取扱い注意・説明書、ポスター、通常分解用キズ防止シール、六角レンチ2種、チャージャー、チャージングロッド、クリーニングロッド、リカバリーロッド、BB弾(0.2g/100発)、他。
スペック & 初速データ | |||||||||||||||||||||||
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パーツリスト1 パーツリスト2 |
Z-SYSTEMを搭載したM4A1 MWSをベースとして、アルミダイキャスト製のレシーバーはセラコート仕様、マガジンハウジングにはMTR、アッパーレシーバーには"MULTI TACTICAL RIFLE"のホワイトレターが入る。またセレクターの各ポジションはピクトグラムだ。
セレクター、マガジンキャッチ、ボルトキャッチの操作系は全てアンビとなった。
なお、MTR16にはサイトシステムが付属していないので、ドットサイトやスコープ、アイアンサイトなど何らかの照準機器が別途必要となる。
チャージングハンドルも左右から操作できるアンビ仕様。
ボルトフォアードアシストノブはオミットされている。エジェクションポートカバーは樹脂製のカスタムタイプに変更されている。
ボルトキャリアはシルバーとなり、いかにもカスタムボルトっぽい雰囲気。
トリガーはストレートタイプ。トリガープルは1.158kgとM4A1 MWSとほぼ同じ。トリガーガードは樹脂製でグローブをしても操作しやすい。
グリップもオリジナルデザイン。実銃でも採用例が多くなってきた角度が立ったバーティカルタイプ。ストックを短くしてコンパクトに構えやすい、いわゆるCQBグリップだ。
フラッシュハイダーはサイド2ポートコンプ。アルミ切削のアルマイト仕上げ。
ハイダーを外せばM14逆ネジ仕様なので対応サイレンサーや、トレーサーを装着可能。
バレルが長いので、ここはコンパクトなトレーサーがおススメ。
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オリジナルデザインの細くて長いレールハンドガード。銃を構えると驚くほどに軽量で、想像以上に取回しは良い。ハンドガードは根元の左右下6本、ガスブロック上部1本のトルクスネジで固定されており、基本的に分解できないようになっている。
ハンドガードはM-LOKに対応しており、付属の樹脂製レールを左右下の好みの位置(長方形の穴部分)に増設できる。着脱の際はネジを回し過ぎてナットを落とさないように注意しよう。
ツイスト状のフルートが切られたアルミ切削のライトウェイトアウターバレル。シルバー仕上げで、バレルレングスは16インチ。
マルイのマイクロプロサイトをミドルマウントで搭載。とても軽く、実に軽快に16インチライフルをハンドリングできる。
ストックは伸縮式6ポジション。こちらも独自デザインで、左右にはQDスリングポイントがある。
このストックは"トランスフォーム・ストック"と呼ばれ、ボトムのエクステンションパーツを反転させることで、コンケイブ(凹)型、コンベックス(凸)型を切り替えることができる。
ストックの伸縮は下部中央のロックボタンを押して行う。またエクステンションパーツを取り外すとピカティニーレールになっているので、精密射撃をする際などはモノポッドを装着するのも良いだろう。
別売のスリングスイベル装着例。ハンドガード根本左右、レシーバー後端にQDスリングポイントがある。
実銃同様の手順でピンを抜き、テイクダウンしてボルトを引き抜くことができるのはガスブローバックの醍醐味。
可変ホップアップ調節ダイヤルはチャンバーの上。指が細ければエジェクションポートから操作できないこともないが、ホップ調整の度にボルトキャリアを抜くのはちょっと面倒だ。
マガジンはマルイのガスブロ初の20連のショートタイプで、装弾数はリアルカウントの20発。もちろん従来の30連マガジンも使用可能だ。
マガジン素材は亜鉛ダイキャスト製、重量は約330g。30連マガジンより135gほど軽い。
余談だが、この20連マガジンは89式小銃のガスブロにも使用できる。
実射テスト
今回は千葉のショップ、DEFCON1のシューティングレンジを使用して射撃テストを行った。
銃口からターゲット面までの距離はレーザー測距で23.12m。
このレンジに設置してあるエイテック製ステルスターゲットで集弾性を測定してみる。BB弾は東京マルイのベアリングバイオ0.2gと0.25g、ガスはHFC134aを使用した。
結果、グルーピングは0.2g弾で25cm、0.25gで18cmに概ね纏まる結果となった。電動ガンには及ばないものの、ガスブローバックとしては標準よりも高い命中精度といえる。
ただし、初速は気温25度で平均65m/s程度と低め。マガジンサイズが小さいのもあるが、もう少しマガジンを温めれば初速は向上するだろう。また、より多く安定して撃つならば30連マガジンを使用するのも良いだろう。
とはいえ、20連マガジンを使用しても作動性や弾道安定性は抜群であり、気温25度ならフルオートで楽々1マガジンを撃ちきってホールドオープンする。リコイルはMWS同様だ。
実射の模様を動画でもどうぞ。
なにより、そのロングで流麗なスタイル、使い勝手を最優先した操作系はミリタリーモデルにはない最先端の機能美を感じる。素早くターゲットを射止めてゆくスピードシューティングやマッチに最適の1丁だろう。
実銃のMTR16
MTR16は東京マルイのオリジナルデザイン。しかし、この開発においてマルイは米国で同様のARを作って、射撃テストした模様を動画で公開した。
撮影協力:東京マルイ、DEFCON1
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