第二次大戦開戦前、イギリス軍中央部は保守的で採用決定権を持つ軍高官達はサブマシンガンの有効性を認識することができませんでした。ピストル弾使用のため射程が短く、命中精度も悪く無駄弾を撃ってしまうのではないかと考えておりました。
それが覆されるのが、1941年にイギリスヨーロッパ派遣軍が総撤退することになった「ダンケルクの戦い」から。飛ぶ鳥を落とす勢いのドイツ軍の猛攻に、あらゆる装備品を残してイギリス軍は本国へと撤退しました。
数十万人にも及ぶ兵士達が丸腰のまま撤退してきたことで、イギリス本国では深刻な兵器不足の問題が発生。約七万挺の小銃と2300挺程のブレン軽機関銃がわずかに残るのみ。その後ドイツ空軍によるイギリス本土爆撃、計画されているであろうイギリス本土上陸作戦を阻止するために一刻も早く装備を充実させる必要がありました。
流石に保守的な軍中央部も、兵器不足解消のため1941年サブマシンガンの開発に着手。安価で生産性重視のモデルを数ヶ月で完成させたのち兵器工廠、町工場、果ては玩具工場まで総動員して生産したのが「ステンMk1」でした。僅かな期間で約10万挺程生産しますが給弾不良の問題から兵士達の間では不評、次に開発される改良モデル「ステンMk2」も給弾不良は改善されておらず、その後の「ステンMk5」まで問題は付きまといました。ですが、結局のところ町工場でも簡単に大量生産できる生産性と安価であったことがこの銃の優れた面であり、大戦を数で押し切り連合軍を勝利に導いた兵器であることは間違いないでしょう。
■イラストレーター紹介
ALFRED少尉(あるふれっどしょうい) 1970年代8月、新潟生まれ。漫画・イラスト制作者。 現在カバネット株式会社:Webサイト「漫画の新聞」にて月1で2P漫画連載中。 過去の作品:ゴマブックス刊:「イケメン 戦国武将・忠義編」「イケメン戦国武将・主従編」 劇団「グーフィー&メリーゴーランド」主催舞台「JUDY~The Great Unknown Squadron~」のパンフレット内イラスト「零戦」作成&舞台の時代考証も担当。高知県の地域おこしボランティア:戦国武将「明石掃部」作成 pixivの作品集はこちら |