でめちゃんのカスタム放談 Vol.13 MCX 電動ガン分解!
千葉県八千代市にある総合エアガンショップの「モケイパドック」にお邪魔して、技術主任の"でめちゃん"にカスタムガンのことをいろいろ伺ったので、連載で紹介しています!!
道楽「こんにちは~。 あ、MCX!」
そうそう、年末入荷したばかりのSIG AIRの電動ガン、MCXだよ。
ちょうど今から分解・調整してアンブレイカブルカスタムにするんだ。
道楽「おおーっ! これ気になってたんですよね。みててもいいですか?」
どうぞ、どうぞ。
今回は電動ガンの一般的な分解・調整と、パドックオリジナルのセクターギア、ハイプロテクションギアを組み込んだアンブレイカブルカスタムを行うよ。
まずはピンを抜いてアッパーを取りはずしまーす。
道楽「あ、M4と違ってリコイルスプリングはレシーバー上に2本あるんですね。」
このアッパーレシーバーはかなり剛性が高いね。アウターバレルもガッチリ組み付けてあるし。
これがチャンバーね。
ホップアップ最大にするとこんな感じだね。このパッキンの出方なら重量弾にも対応できそうだよ。
このMCXはスプリングがレシーバー後ろから簡単に抜けるから分解が楽だよね。
グリップ底部を開けてモーターを取り出すよ。
モーターはとくにラベルは貼ってないけど、一般的なものみたいだね。
ボルトキャッチをピンポンチで抜くよ。
トリガーピンを抜くときには方向があるから気を付けてね。抜け留めのセレーションがあるほうへ抜くんだ。
ほい、メカボックスが取り出せた。
アンビセレクター用のギアは組むときにわかりやすくするために、マークを付けておくよ。
ロアレシーバーも厚みがあってガッチリしているね。
それじゃあメカボックスを分解していこう。ここは電ドラを使うよ~。
メカボックスが開いたよ。トリガーのところにFETの基盤があるね。軸受は8mmベアリングを使っているんだね。
シリンダーはアルミ製っぽいね。ピストンヘッドも給排気のアルミ製だ。ピストンラックギアのスチール歯が長くて耐久性は高そうだね。
トリガースイッチにFETの基盤がついてるね。
ギアを取り外して、メカボックスをパーツクリーナーで洗浄するよ。
ギアとシムの初期構成はこうやって並べておくとわかりやすいよ。
ギアも洗浄するよ。歯ブラシでガシガシとブラッシング~。
スムーズに作動するよう、タペットプレートやピストンの角を面取りするよ。
道楽「おお! 細かいところまで手を入れるんですね~」
次はピストンヘッドを交換するよ。マルイ純正のピストンヘッドを加工したものにするんだ。
道楽「えっ? せっかくのアルミ給排気ヘッドを使わないんですか?」
うん、アルミヘッドは前進したときにギアボックスにかかる負荷が大きいんだ。アンブレイカブルカスタムは耐久性重視のカスタムだから、樹脂製のピストンヘッドが最適なんだよ。とくにこのマルイ純正ヘッドは樹脂の粘りなどの耐久性が一番良いんだ。
道楽「へぇ~、そうなんですね~。」
マルイのピストンヘッドに穴を開けて給排気加工を施したよ。それと、ピストンヘッドのOリングはパドック特注のものに交換してるよ。
道楽「もともと付いていたヘッドよりも穴数が少ないのはなぜです?」
給排気の穴が多すぎると、ピストン後退時の負圧が低下して給弾効率が落ちるんだ。なので穴が多ければいいってものでもないんだよ。
道楽「なるほど~」
ピストンのスチールラックギアは外れないよう接着しておくんだ。
ピストンヘッドを前からネジで固定するよ。ネジロック材をつけてと。
ほいっ、ピストンの完成。
シリンダーとの密閉度を確認しておくよ。うん、これならエア漏れはなさそうだね。
次にギアの組み付けを行うよ。セクターギアをパドックオリジナルのハイプロテクションギアに換装するんだけど、このスパーギアとのクリアランスが大事なんだよね。
道楽「ところで、ハイプロテクションギアってどういうものなんですか?」
ハイプロテクションギアっていうのはセクターギアに掛かる衝撃をこの緑の硬質ゴムで吸収するんだ。セクターギアってピストンスプリングのテンションが掛かって、それが解放されてを繰り返すからすごく負荷がかかりやすいんだけど、ハイプロテクションギアを使うことでそれが緩和されるんだよ。
道楽「なるほど~」
ギアの軸受けに合わせて少しギア軸を調整するよ。この軸径調整は固すぎても緩すぎてもダメなんだ。ここは長年の勘所といったところかな。
いったんメカボックスを仮組してギアの回転を確認するよ。シム調整もしていこう。
道楽「わっ! シム用のワッシャーが沢山」
厚みの種類がいろいろあるんだよね。このなかから最適な厚みを選んでいくよ。
ギアだけ組んだメカボックスをネジ止めして、こうやって回転がスムーズかを確認するんだ。何度もバラシては組んでを繰り返して確認するよ。
組み付け前に各パーツにグリスを塗っていくよ。
道楽「この瓶に入った白いグリスですね?」
そうそう、これもパドックオリジナルの独自配合のグリスだよ。
ピストンレールの溝やギアにも薄く塗っていくんだ。グリスは錆止めの効果もあるからね。スチールギアにはとくにまんべんなく塗っていくんだよ。
各パーツをセットしたらメカボックスを閉じていくよ。
道楽「今気づいたんですが、メカボックスの向きが天地逆なんですね。」
そうなのよ、この向きが作業しやすいのでパドックの工房ではみんなこのスタイルで作業するね。
道楽「メカボックスのネジも交換するんですね?」
うん、ネジの規格は一緒なんだけど、強度などの問題で国内仕様のネジに換えておくんだ。このネジの品質が悪いとメカボックスに問題が出やすいからね。
スプリングもパドックオリジナルの不等長スプリングに変更するよ。今回はM85スプリングで調整してみよう。
道楽「このメカボックスに貼ったシールは何なんですか?」
これは管理用の番号なんだ。どの工房員がいつどのようなカスタムを施工したかをすべてパソコンでデータ管理しているのね。
道楽「すごい! そこまで管理してるんですね。」
ロアレシーバーにメカボックスを組み込んだら、一度バッテリーを繋いで作動チェックをするよ。
このときにギア鳴りしないかどうか、モーター位置の調整もするんだ。
次にアッパーも組んで初速をチェックしよう。
道楽「初速はどれくらいに調整するんですか?」
とくに指定が無ければだいたい92~93m/sくらいかな。
もちろんオーナーさんの希望やそのエアガンの特性に合わせて初速は法定内でいろいろかな。
そんでもって、アリーナシャングリラの30mレンジで試射して弾道を確認するよ。
道楽「工房で組んだらすぐにロングレンジで射撃テストができるのって便利ですね!!」
はいっ!! ということでMCX アンブレイカブルカスタムの完成っ!!
道楽「いやー、手際が良くて、丁寧な作業で驚きました。でめちゃんって電動ガンの調整できたんですね!」
そうなんだよね、お客さんにもよく言われるんだ、って、おーい!!
道楽「これだけ手間暇かかってこの施工料金って、アンブレイカブルカスタム恐るべし!!」