『特殊部隊vs.精鋭部隊──最強を目指せ』
四六判152ページ 定価1400円+税(並木書房)
ミリタリーファン、自衛隊ファンなら、誰もが読みたくなる《荒谷卓・二見龍》両氏の対談が実現した!
荒谷氏は特殊作戦群の初代群長として自衛隊初の特殊部隊を立ち上げ、二見氏は第40普通科連隊の連隊長として、積極的にCQBを訓練に採り入れ、部隊の精強化を推し進め、退官後は積極的に出版活動を続けている。
年齢もほぼ同じ2人は、自衛官時代ともに「実戦に強い自衛隊」を目指して、それぞれの部署で奮闘した仲間であり、ライバルだった。
そんな2人が退官後12年ぶりに荒谷氏が主宰する「熊野飛鳥むすびの里」で再会。これまで荒谷氏は特殊作戦群創設の経緯など、機微に触れる話はしなかったが、当時を知る二見氏の質問にかなり突っ込んで答えている。二見さんが、自分が鍛え上げた40連隊なら「特戦群相手に互角かそれ以上の戦いができる」と言うと、荒谷さんは「一般部隊の何倍もの時間をかけて戦闘術を開発し、寝ても起きても自分の持てるすべての時間と努力を傾注して、あらゆる作戦を遂行できるまで能力を高める。もちろん武器も装備もすべて一般部隊とは異なる。特戦群は日本で唯一無二の部隊なのだ」と一蹴。まさに意地とプライドのぶつかり合いで、じつに読み応えがある。
ほかにも、特殊部隊と一般部隊の違い、部隊が強くなるかどうかの分かれ道、リーダーの条件、陣地攻撃・陣地防御訓練は時代遅れ、実戦形式の訓練の必要性、いちばん敵にしたくない相手、使う側が主導できる装備開発……等々、興味深い話が満載である。
対談後、二見龍氏は語る。「特殊部隊で最も難しいと思われる『部隊の練度評価』を質問したときの荒谷氏の答えは本質を衝いたものでした。『対抗戦を行ない、その結果で評価します。対抗戦ですから、当然、相手が強ければ、それ以上に自分たちのレベルを上げなければ勝てません。やられたら、相手よりも訓練練度が不十分であるということになります。強くなるには対抗戦でしょう』。そう言い切ったときの荒谷さんは、一瞬、特戦群時代の荒谷群長の姿と重なって見えました。私も同じ思いで『対抗戦方式』で連隊を精強化し、あと一歩のところまでFTCの評価支援隊を追いつめた自負があるからです。
分量は152ページと少なく、一気に読めるが、中身は濃い。心に熱いものが湧いて来る良書である。
目次
はじめに(二見 龍)
第1章 本物の強さを求めて
第2章 初代群長として目指したもの
第3章 精強部隊を作るには
第4章 国を守る戦闘者とは?
第5章 実戦に近づけて訓練する
第6章 戦える自衛隊を目指す
第7章 熊野飛鳥むすびの里
コラム 同じ時代に最強を目指した40連隊と特戦群(二見 龍)
コラム 唯一無二の精強部隊─特殊作戦群(荒谷 卓)
おわりに(二見 龍)