ピョートル石倉です。いつもたくさんの方に記事をお読みいただき恐悦至極です。
さて、本題に入らせていただきます。
言わずと知れた東側の有名兵器、ソ連のAK47。皆さんももちろんご存知かと思います。
しかし、このAK47がロシアで完成する一方、全く同じ1947年、ある銃が鉄のカーテンの同じくソ連側で完成していました。チェコスロヴァキアで生まれたこの銃の名前はZB-47。作ったのはかの有名なブルノ兵器廠の銃技師でZB機関銃の設計者であったヴァーツラフ・ホレックです。
ZB-47 は装甲車両の乗組員用に開発されました。必要とされたのはコンパクトさ。戦車が破壊された時、焼死の可能性にさらされる戦車兵は素早く戦車から脱出します。その際、銃のパーツが引っかかって取り出せないようではお話になりません。
そう考えたとき、サブマシンガンに共通の細長く機関部から飛び出たボックスマガジンは真っ先に解決すべき課題でした。(少なくとも当時のヴァーツラフ・ホレックにとっては)
マガジンの見た目はかの有名なドイツのMP40や米軍のトンプソンのマガジンのようです。いわゆる、一般的な長方形のボックスマガジンです。
しかし、差し込む場所が当時としては超新機軸。なんと斜めに、ハンドガード(?)に入れるようにして差し込むのようなのです。その後、風車のような内部の装弾装置がクルクル作動し、弾丸は薬室へと送られるようです。(ただ、石倉が探した範囲ではマガジンの差し込み方を詳しく解説した記事は一枚も見つけられませんでした。チェコ語が分かればよかったのですが。)
また、この銃はFN P90の先駆けと言われているのです。このような新機軸は21世紀が近づき、ソ連やベルギーが最新技術を導入し、やっと実用化できたといわれています。しかし、すでにそのような近年の実用化よりも半世紀も前に構想を練り、形にしてしまったヴァーツラフ・ホレック氏は偉大だったというほかないでしょう。
さて、お待ちかねの、形状についてです。おそらく写真を見た瞬間、たいていの人が気になり出したでしょう。いわゆるサムホールタイプとでも言いましょうか、グリップとストックが一体化した独特の形状です。しかし、流形的で、人間工学をこらしたサムホールストックではなく、なんと申しますか、直線です。(あまり使い手にやさしくないオーラが出ております。)
またストックは伸縮タイプで、これまた銃機関部と平行に伸縮します。素早く出したら手を切りそうです。ちなみに、ウッドストックタイプもあり、こちらはちょっと使い手にやさしそうなオーラを出しています。(相変わらず直線的ですが。)
ところで、かつてソ連の短機関銃はバラライカと呼ばれたそうです。ソ連兵が楽器のバラライカのように首からつりさげていたのでこのような名前がついたといわれています。しかしこの銃のほうが形状的にはよほどバラライカに似ているのではないでしょうか。とにかく、この銃握ってみたいとは思われませんか。私は思います。
(文: ピョートル石倉)
引用・参考文献
http://mpopenker.livejournal.com/1861924.html
http://www.thefirearmblog.com/blog/2015/11/09/weird-magazines-vol-iv-the-zb-47/