最近、新聞に「ヒトラーの日本亡命計画」が機密文書という形で公開された。その内容こそ伏せられていたが、同盟国の日本にヒトラーが亡命しようとしてもおかしくはない。
今回はその内容について検証したいと思う。
ことの発端は敗戦間際のドイツのヒトラー総統が日本への脱出を計画していたと、米紙などで報じられたことについて、日本政府が答えたことにある。日本政府はその内容については連合国側に関与を否定していたことが3月7日の公開文書で分かった。
連合国との連絡窓口である、終戦連絡中央事務局がGHQに充てた1945年10月21日付文書によると、米軍関係紙が同19日に「ヒトラーが日本へ脱出を計画していたと日本人が証言した」と報じていた。
これに対して、同事務局は「日本政府は海軍も含め、ヒトラーやエヴァブラウンをドイツから救出するいかなる計画にも関与したことはなく、日本の潜水艦がこの目的の為に派遣されたこともないと否定した。
だが、有る筋では3月3日に東京で開かれた最終会議に出席した出席者の元海軍幕僚の1人がロイターに語った内容物では、「ヒトラーは戦局がいよいよ絶望的になった時点で日本亡命を計画し、日本側と折衝を続けていた」という。
その内容とは「ヒトラーは日本が自分に安全な場所を提供してくれるのなら、日本が太平洋戦争を勝利に導く新兵器の設計案を提供することを約束した」というのだ。また、ヒトラーは自国の潜水艦ではなく、あくまで日本の潜水艦で渡航することを望んだと言う。
日本の呉港からドイツへ向けて出発した潜水艦(艦名不明)には、90日分の食料を搭載していたという。ちなみに同艦は1945年6月ドイツへ向かう途上の太平洋上で、アメリカの護衛空母艦載機に撃沈されてしまっているという。
また、もし無事にドイツへ着いても6月過ぎになっており、すでにドイツは敗戦している。
何でもドイツ側は4月17日に到着の予定であったというが、日時について何らかの食い違いがあったと思われる。ドイツからの緊急問い合わせで、日本側はドイツの切迫した戦局に気が付いたそうだ。仮に4月17日に日本の潜水艦がドイツに無事に到着し、日本へ帰還してヒトラーが日本へ亡命しても、彼の運命が変わることはなかっただろう。
(藤原真)
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