レックス 戦場をかける犬

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並木書房から新刊のご紹介。

『軍用犬レックス』(原題 Sergeant Rex)は、イラク戦争を舞台にしたノンフィクションです。

レックスは海兵隊の軍用犬で、犬種はジャーマンシェパード。じつは軍用犬が戦場で活躍したのはベトナム戦争までで、その後軍用犬の出番はありませんでした。
ところが、イラク戦争で簡易爆弾(IED)の犠牲者が増えたことから、爆弾を探知するために軍用犬が30年ぶりに投入されました。レックスの任務は武器の隠し場所や自爆テロ犯、そして兵士も市民も見境なく殺傷する簡易爆弾を嗅ぎだすこと。

そのレックスを危険のど真ん中に導き、信頼の絆を頼りに生還させるのがダウリング上等兵の役目です。

本書はイラク戦争を舞台に訓練も装備も全く手探り状態でスタートした軍用犬チームの活躍を描いたノンフィクションです。

少年時代から動物好きだったダウリングは盲導犬を育てたこともあり、この体験から入隊後は軍犬兵になる決意を固めます。最初のパトロールでレックスは爆弾や銃声におびえてすくんでしまいますが、リード(犬綱)の先にいつもダウリングがいることで徐々に任務をやり遂げる勇気を得ます。

50度を超える気温、息が詰まる土煙、そして昼夜を問わず敵の待伏せが潜む街角にレックスは嬉々として進んでいきます。

次の一歩で爆発が起こり、バラバラに吹き飛ばされるかもしれない恐怖は、読者にも否応なく伝わります。

大学を中退し、目標を見失ったダウリングが、レックスに出会うことで、自分の居場所を見つけ、自分を取り戻していく姿は、本書のもう一つの魅力です。

また「訳者あとがき」に詳しく紹介されていますが、退役したレックスが安楽死されるのを恐れた2人目の軍犬兵が2万人以上の嘆願書を集めて、引き取りを実現し、そのセレモニーは全米に放送され、犬好きの米国人を感動させました。

緊張に満ちた爆弾探知任務と銃撃戦の洗礼に彩られた「レックス 戦場をかける犬」は、人と犬の絆がいかに任務遂行に貢献し、数知れぬ人命を救ったかを描いた胸躍る物語です。

 

レックス 戦場をかける犬
マイク・ダウリング[著]
加藤喬[訳]

四六判並製280ページ+口絵16ページ
定価1800円(税別)
2013年9月下旬刊!

レックス 戦場をかける犬