イギリスの第一世代主力戦車「センチュリオン」の派生型にあたる、イスラエルの戦車「メルカバ」です。全長9.4m、重量65tの車体は、どちらかというとノロマで非力といえます。しかし、このメルカバの一番の特徴は、聞いているとグッとくるようなキャラクターにあります。
戦車というのは一般的に、エンジンが車体後部にあります。それは戦場で攻撃を受けた際、エンジンに被弾して走行不能に陥る確率を下げるためです。
しかし、このメルカバはエンジンが車体の前部に搭載されています。それは決して戦術を弁えていないわけではありません。車体前部に位置するエンジンは、被弾して走行不能に陥る可能性が高い反面、盾となって兵を凶弾から守ってくれます。
メルカバは、「兵士が生き残るための戦車」なのです。世界で最も装甲の強力な戦車のひとつにあげられるメルカバ。エンジンだけではなく、あらゆるものが内部の兵士を守る形で配置された設計は、生存率をあげてくれます。イスラエルのような小さな国で、多数の兵の犠牲は許せないことなのです。
本記事で紹介するメルカバMk.4は、このメルカバシリーズの最新モデルです。電子装備や武装が強化され、さらにレオパルト2並の高出力エンジンを搭載したことで、従来のパワー不足も克服。一方で、兵を生き残らせるための強いこだわりも変わっていないのです。