イギリスの戦車「センチュリオン」の動画です。
全長7.60m、重量52t。17ポンド砲を装備する最初の型から、改良を繰り返され、様々な派生系が存在します。イスラエルの、戦う事より搭乗員が生き残る事に重点を置いた戦車「メルカバ」も派生系の一つです。エンジンはロールスロイスを積んでいるそうです。
第一次世界大戦後。イギリスは次の大戦でもきっと塹壕戦が課題となるだろうと予測しました。
そこでイギリス陸軍内で揉めたのは、塹壕を突破できる機動性・速力と、塹壕の攻撃に耐えられる防御力・装甲、どちらを優先すべきかという事でした。
激論の末に導き出されたのは、「どっちも作る」こと。
戦車を大きく二つに分類する概念を打ち立てました。正反対の性質を持つ二種類の戦車を作り、それぞれに長所と短所をはっきりとさせる事。長所を重点的に伸ばす。
こうして誕生したのが機動性に優れ高速力で活動する事ができる「巡航戦車」と、装甲の強力さに重点を置く「歩兵戦車」です。巡航戦車は素早い動きに優れる半面、防御力が低い。
かたや歩兵戦車は、敵戦車砲にも耐え、移動する砦とさえなり得る強力な防御性能を持つ半面、かなり鈍足だったようです。明確な弱点はあっても、得意なジャンルではどこにも負けない、いわばピーキーな戦車を目指したわけです。
これらの経験を生かし、戦車が次の時代を迎えます。巡航戦車と歩兵戦車の特性を併せ持つ「主力戦車」の登場です。
このセンチュリオンは「第一世代主力戦車」なのです。
重戦車を撃破する火力と、歩兵戦車ゆずりの装甲、巡航戦車ゆずりの機動性を兼ね備えた主力戦車。
1945年。いざ初の戦場を体験すべくベルギーに輸送されているさなか、ドイツが降伏したことにより、本格的な実戦経験は1950年の朝鮮戦争でした。
印パ戦争ではあのパットン戦車と対決し、待ち伏せによる奇襲でこれを撃破しました。センチュリオン(百人隊長の意。歩兵小隊の隊長に匹敵する古代の戦士)の名に恥じぬ立派な戦車なのです。
ちなみに、戦後に開発されていったイギリスの主力戦車たちの。
「センチュリオン(Centurion)、チーフテン(Chieftain)、チャレンジャー(Challenger)」などですが、全て頭文字が「C」で始まるという共通点があります。
このCは、「クルーザータンク(Cruiser tank)」のC。和訳すると、「巡航戦車」です。