この銃、P90

特徴的な見た目のため、筆者は一目見て勝手にマニアックな銃と決めつけていましたが、様々な映画・ゲームなどに常連で登場するため、今や高い知名度を誇るサブマシンガン、P90です。

知名度に関しては、ペルー日本大使公邸占拠事件においての活躍で一気に有名になりました。これについては、FN社が宣伝のためにペルー軍にP90を無償提供したという噂も聞きます。

P90は、ベルギーのFN社が1980年代に開発しました。特徴的な形状は人体工学に基づいて設計されており、弾丸も特別に開発されたものです。拳銃用の弾丸を使用する従来のサブマシンガンに比べ、このP90の弾丸はどちらかと言うとライフル弾に近いものがあります。そのため、高い命中精度、広い有効射程距離を誇ります。
しかし、なんといってもP90といえば特筆すべきはその貫通力の高さ。
さっきから「サブマシンガン」と呼称させてもらっていますが、正確にはこの銃は「PDW(パーソナル・ディフェンス・ウェポン)」というジャンルに入ります。和訳すると、「個人防衛火器」です。変わったサブマシンガンというよりは、また違うジャンルの火器として考えるのが正解のようです。

P90に求められたのは、様々なシチュエーションにおいて、咄嗟に片手でも扱える取り回しの良さと、防弾ベストに対する貫通力、そしてマンストッピング・パワーでした。
P90の弾丸は品質レベル3Aの防弾ベストを貫通する貫通力の高さと、同時に人体や壁などに着弾した場合は内部に留まるという二つの性能があります。
簡単に言うと、硬い物は貫通し、柔らかいものは貫通しないわけです。そのため、防弾ベストを貫いた後、相手の体内に弾丸が留まります。さらに壁などに当たっても兆弾しません。弾丸の貫通や兆弾による二次被害を防ぎ、効率の良い制圧を可能にするわけです。

ちなみに品質レベル(正確にはNIJ規格レベル)3Aの防弾ベストは、数メートルの距離から9ミリを連射されても表面で受け止めてしまう程度の強度です。P90は150メートル先のレベル3A防弾ベストを貫通してしまいます。実に恐ろしい。

個人的にですが、P90の魅力は実は、マガジンだと思います。
動画にもありますが、弾込めの際、マガジンの中でくるっと90度回るアクション! わくわくします。
にしても――。見れば見るほど、エヴァ初号機が持っていそうな銃ですねぇ…。