レビュー: 金子一也
設立当初は56式を始めとするソ連の自動小銃、軽機関銃のデッドコピーを使用していた中国人民解放軍は、1958年から独自に国産の小火器開発を始めている。
1963年に国産第一号として63式7.62自動小銃を完成。その後81式7.62mmシリーズの開発に成功した。この81式シリーズには81式、81-1式アサルトライフル、81-1式軽機関銃の3種類が存在。80年代、中国はこの81式を大量に生産し、AK47のコピーであった56式に代わって全軍に配備している。
しかしベトナム戦争を経て小口径高速弾の有効性がクローズアップされたことにより、中国も小口径軍用銃の開発に着手。1987年には充分な命中精度と殺傷能力を持った5.8 mm×42高速弾の開発に成功し、1995年にこの弾丸を使用するブルパップ型の95式シリーズを完成。
97式はこの95式に西側諸国の5.56mm NATO弾が使用出来る様改良を施したもので、1997年の香港返還に伴い設置された人民解放軍香港駐留部隊に配備されたことで、初めて世界に公開された。現在では主に他国軍隊への輸出用として製造されており、カンボジア軍、ミャンマー軍にて採用されている。
97B式は97式シリーズのショートバージョンで、特殊部隊員や攻撃ヘリの乗員用として少数を配備。その存在の特殊性から情報がほとんど知られておらず、RS社の電動ガンの発売で初めて世界的に認知されたと言ってもいいだろう。
RS社(Real Sword Company)は香港に拠点を置くエアガン専門メーカー。中華エアガンと聞くと日本製エアガンのコピー品といったイメージがどうしても拭えないものだが、同社では「実銃の材質、外観、サイズを究極に再現、限られたスペースに適するエアソフトガンの内部メカを開発」との開発理念を持ち、他の中華メーカーからコピーされるほどのクオリティを持つ素晴らしい製品をリリースしている。
今回レビューをお届けする97式と97B式は、中国の企業であるRS社にしか出来ない多岐にわたる実銃の取材によって製品化されており、他社製のコピー商品も存在していない唯一無二のオリジナル製品。ブルパップ方式独特のそのスタイルから、チャイナ製のFA-MAS、略してチャマスなどとも呼ばれる人気機種だ。
GunsmithバトンはRS社の正規代理店にして日本ポートセンターでもあるため、同社製品を安心して購入することが出来る。無論、日本の法規制に合わせてパワーや動作の調整も施されているので、持ち帰ってすぐにサバゲに投入することも可能だ。
Real Sword 電動ガン 97式 スペック & 弾速データ ※( )内は97B式 | |||||||||||||||||||||
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中華エアガンに良くある無地の段ボール箱とは違ってきちんとしたデザインのグラフィックに飾られた外箱を開けると、まずRS社発行のエアソフトガン品質認定書が目に入る。この認定書には出荷時び検査印に加え、第5射までの初速とマズルエネルギー(ジュール値)が書かれており、また固有のシリアルナンバーと、メカボックス番号が割り当てられていることがわかる。ここまでの徹底した品質管理を行っている本中華メーカーはおそらく他には存在していないだろう。
また、「RS 97式エアソフトガン分解・メンテナンスシート」と書かれたカラー印刷の詳細な解説書が付属しており、銃本体からメカボックスを取り出すところまでの分解手順が写真と文章で詳しく解説されている。さらに、英語、中国語、日本語の3言語対応で作られた全56ページになる使用説明書は、東京マルイ製品に付属して来るあの素晴らしい説明書に匹敵するほどの内容で、正直「これが中華製品か!?」と驚いてしまった。
付属品は鮮やかなオレンジ色のマズルキャップに、各種工具が入ったアクセサリーボックス、空のオイル缶、マガジンへの給弾用チューブ&ロッドに、専用の130連マガジンとなっている。マガジンは実にそれっぽい油紙に包まれた状態で入っており、思わずニヤリとさせられる。
97式本体を手にとってみると、樹脂製パーツに覆われた外観のイメージとは違ったズッシリとした重さに驚かされるが、ブルパップ型ライフルにありがちな極端にテールヘビーといった印象は無く、肩付けして構えた際のバランスが非常に良い感じだ。キャリングハンドル上部にはドブテイル型のマウントが設けられており、ここに別売りの20mmマウントベースを取り付けることで、ドットサイト等の光学機器を搭載可能となる。
リアサイトは4段階に切り替え可能な回転式ピープサイト。フロントサイトも付属の専用工具で上下左右に調整可能と、実銃と同じ仕様を再現している。
マガジンが刺さっているレシーバー部分はジュラルミン鍛造ブロックからCNC削り出し加工で作られており、サイズも実銃を完全再現。表面には硬質アルマイト処理が施され、防腐食性を発揮するそうだ。
そのジュラルミン製レシーバーにガッチリ組み合わされたアウターバレルは、付け根から先端までが一体のスチール削り出しで、表面には実銃同様のパーカライジング処理が施されているという贅沢さで、いかにも命中精度が高そうな作りの確かさを見せつけている。
尚、特徴的な形状のフラッシュハイダーの装着部分は14mm逆ネジ仕様となっており、市販の各種マズルアタッチメントが自由に使えるのはうれしいところ。
ブルパップ式特有の独特な形状のストック、アッパー&ロアーハンドガードは、中国人民開放軍の軍用標準とされる高強度ポリマー「ナイロン66」という素材で作られており、軽量でありながら極めて強靭な上、耐食、耐摩耗性にも優れるとのこと。
全体の表面には細かいシボ加工が施されており、これだけ樹脂に覆われたデザインの銃でありながら質感、手触り共に安っぽさは微塵も感じさせない仕上がりとなっている。
法的な問題もあるが、ここまで徹底して実銃にこだわったエアガンは、コストの面も考えるとおそらく日本国内では製作出来ないだろう。
通常分解は2本のロックピンを抜き取ることで簡単に行えるのだが、実銃の寸法を100%再現するという開発理念を体現するため、97式シリーズ専用設計の7mmベアリングT1メタルメカボックスを搭載。
なんとピストンスプリングのクイックリリース機能までも備えている。特別な工具を一切使わずにメカボが取り出せて、スプリングの交換も簡単に出来るというのは実にうれしい限りだ。
さてその実射性能はどんなものだろうか。Gunsmithバトンで販売されている中華電動ガンは、基本性能を向上させるための調整&チューンが例外なく施されており、このRS製97式シリーズも日本の法規制に合わせた初速とメカボックスの調整が行われている。
もともと同梱されていたRS社発行の品質認定書には、76~78m/s前後の銃口初速が記載されていたが、バトンチューンによる結果、平均87.06m/sまで初速が引き上げられている。ブルパップ型の電動ガンは、構えた耳元にメカボックスが位置しているためギヤノイズが気になることが多いものだが、キッチリとシム調整が行われているためかフルオートで連射しても耳障りな騒音はほとんど発生していない。
回転速度はET1製7.4V800mAhのリポバッテリーで毎秒10発程度と抑え目の設定。これは好みの問題だが、レビュアーとしては弾丸を撃ち出しているという実感が味わえるこの回転速度は非常に好ましく思える。
30メートル屋内レンジでの実射性能も、ターゲットに吸い込まれて行くような素直な弾道で非常に安定している。これはブルパップ型によるインナーバレルの長さだけでなく、ジュラルミン鍛造ブロックから削りだされたレシーバーと、そこにガッチリ固定されたスチール一体型のアウターバレルという堅固な構造から来ているのであろう。別売の専用マウントで光学サイトを搭載すれば、ロングレンジでも充分戦える強力なメインウェポンとなるはずだ。
尚、ホップ調整はチャージングハンドルを引いてエジェクションポートを開き、調整ダイヤルにアクセスする一般的な構造だ。
56式やSVDといった同社の外装がスチールで造られた電動ガンと較べると若干地味な印象がある97式シリーズだが、実銃の完全再現という開発理念に則って製造されたそのクオリティは、全てのエアガンの最高峰に位置すると言っても過言ではあるまい。Gunsmithバトンアキバ店で、是非その素晴らしい品質を確かめていただきたい。