MODIFY PP-2000 CO2GBB
レビュー: 金子一也 (Gunsmith BATON 店長)
JASG認定CO2ガスガン PP-2000 CO2GBB
JASG 日本エアースポーツガン振興協同組合に加盟して以来、精力的にCO2GBBをリリースしているバトンTradingから、台湾 MODIFY社製 PP-2000の日本版CO2ガスガンがついに発売される運びとなった。
JASG 認定エアースポーツガンの長物としては、これが第3弾の商品となる。
無論、JASG自主規約に基づく認定検査に合格した安心なエアースポーツガンであり、購入後三ヶ月以内は、修理工賃・パーツ代に加え、修理品の受け渡しにかかる送料までもが完全に無料という万全のサポートが受けられる点は従来製品と変わらない。
※サポートには商品添付の保証書が必須となり、購入後3ヶ月以上経過した場合でも、有料でのサポートが受けられる。
スペック
全長 | 370mm ~ 590mm |
重量 | 1,350g |
銃身長 | 150mm※インナーバレル長 |
装弾数 | 6mmBB弾 22発/56発 |
価格 | 44,800円(税別) |
発売日 | 2021年5月中旬 |
動力源 | CO2カートリッジ式ガス / リキッドチャージ式ガス (2WAY) |
初速 | 最高 87.6m/s (60.3m/s) 平均 85.5m/s (58.5m/s) 最低 83.5m/s (56.8m/s) ジュール 0.73J(0.34J) |
※( )内は代替フロンガスマガジンの初速
※BATON airsoft アクリビスバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温25度
ロシア最新のパーソナルディフェンスウェポン
PP-2000という銃は、2004年にロシアで発表された KBP Instrument Design Bureau 社製の最新型サブマシンガンで、ロシア軍や法執行機関の特殊部隊専用銃として採用されている。
極限まで簡略化されたシンプルな機関部と、ポリマー製のフレームを持つ本体は、マガジンを除いた重量がおよそ1.5kgという軽さを実現しており、ストックをたたんだ際の370mmというコンパクトさも相まって、屋内や船内といった場所での近接戦闘(CQB)に適したデザインとなっている。
また、アッパーレシーバー上に設けられたピカティニーレールは各種光学機器の搭載を可能としており、専用設計のサプレッサー(サイレンサー)とウェポンライトも用意されていることから、最新の戦術にも対応可能だ。
使用される弾薬は9x19mm(9mmパラベラム)に加え、ボディアーマー等に対する貫通力に優れた9mmx19mm 7N31カートリッジという徹甲弾の発射が可能。
メーカーによれば、同種の弾薬であるFN社の5.7x28mm弾や、H&K社の4.6x30mm弾に勝る性能を備えているそうだ。
銃本体の作動方式はシンプルなストレートブローバックだが、その軽さからフルオート時のマズルジャンプが相当に激しく、Youtube等の動画を見ると、コントロールの難しさがよくわかる。
適切な訓練を受けた特殊部隊員でなければ使いこなせない、「じゃじゃ馬」といった印象のサブマシンガンだ。
困難を極めた日本版の開発
2019年12月の台湾MOA EXHIBITIONにて発表された、MODIFY製PP-2000の日本仕様の開発にGunsmith BATONが関わるという、BATON's blog上での第一報から、およそ1年半という時を経てようやくリリースとなるPP-2000 CO2GBBだが、台湾との行き来がままならないコロナ禍の中、その開発は困難を極めた。
上述の通り、製品化の発表は2019年12月だったが、実際にBB弾が発射出来る試作品が届いたのはおよそ半年経った2020年5月の頭。
ストロークの短いフルオートについては、この時点で快調に動作していたのだが、セミオートでの連射時、トリガーを戻すとハンマーが落ちてバーストしてしまうという問題があった。
この不具合を解消するための検証をGunsmith BATON内で行い、膨大な改良点を洗い出して、MODIFYとの度重なるやりとりを繰り返した末、正常に動作する生産試作サンプルが仕上がったのは、発表から丸1年を経た2020年12月だった。
結果的に、機関部を構成するパーツの設計変更と破損対策、材質の見直し、給弾不良の改善、初速の安定化、等々、考えつく限りの改良を加えたため、先に海外で発売されたPP-2000と、今回リリースされるPP-2000 CO2BBは、まったく別物の製品となったのである。
世界初のトイガン化
では、ついにリリースされるPP-2000 CO2GBBのディティールを紹介して行こう。
まず外観については、MODIFY社の徹底したリサーチにより、実銃の特異なデザインが見事にトレースされている。
基本的には、樹脂製のグリップフレームに金属製のアッパーレシーバーが搭載された、FN P90やステアーAUGのような構成だ。
実銃も小型軽量を売りにしているが、この製品もマガジンを除く本体重量が 1,350gという驚きの軽さを実現している。
実物の形状を忠実に再現したフラッシュハイダーは取り外し可能で、アウターバレル先端は標準的な14mm逆ネジ仕様だ。
フロントサイトベース部分はスチール製で、フロントサイトポストは実銃通りに調整が可能。
アウターバレルはアルミ製だが、中程に見えるレシーバーとの固定用ブロックはスチール製になっている。
アウターバレル上に位置するパイプ状のパーツはコッキングロッドで、ローレット加工が施された先端部を画像のように折り曲げてコッキング動作を行うことになる。
このハンドル部分は、H&K G36のように左右どちらにでも折り曲げることが可能だ。
トリガーガードを兼ねたフォアグリップ部分は、上画像のようにサポートハンドの親指を入れて握り込む、利き手を選ばないエルゴノミックデザインとなっている。
こうした全長が極端に短い銃は、とっさに構えた際にサポートハンドが銃口の前に出てしまう場合があるため、安全に使いこなすにはそれなりの訓練が必要となるだろう。
特殊部隊専用銃とされているのも頷けるデザインだ。
トリガーは丸棒を平たく削って叩き伸ばしたような独特な形状だが、トリガープル自体は軽くてキレが良く、正確な射撃を助けてくれる。
トリガーの後方に見える背の低いボタンはマガジンリリースボタンだが、開発当初はマガジンキャッチがスチール製だったため、繰り返し抜き挿しするうちに亜鉛合金のマガジンが削れてしまい、ホールド出来なくなるというトラブルが発生した。
製品版ではマガジンキャッチをアルミで製作することで、この問題を解消している。
レシーバー上には10スロットの20mmレールマウントを備えており、各種光学機器の搭載が可能。
レール先端に設けられたノッチの浅いリアサイトを見るに、光学機器の使用が前提であることは間違い無いだろう。
アルミ押し出し材からの加工品と思われるレシーバーの表面には、美しいブラックアルマイトが施されている。
こちらはグリップ付け根付近の下からの眺め。
粘土をヘラで削ったかのような、ロシア製品ならではの独特のラインが良くわかる。
トリガーの後方に見える穴は、六角レンチを差し込んでホップ調整を行うためのもの。
グリップまわりの形状や質感はもちろんのこと、表面の滑り止めモールドのデザインや、キリル文字で刻まれたПП-2000(PP-2000)というロゴも実銃そのままで、本物のパーツを使っているのではないかと思ってしまうほどにリアルな出来栄えだ。
特異なフォルムを持つPP-2000だが、このアングルで見ると比較的オーソドックスな構成であることがわかるだろう。
エジェクションポートの真下にマガジンハウジングを兼ねたグリップがあるデザインは、MAC10やUZI、H&K MP7といたメジャーなサブマシンガンとまったく同じ構成だ。
ただし、グリップ下部の穴については他に類を見ない独自要素だ。
いったい何のために開けられているのだろうか。
尚、レシーバー左側面に刻まれている数列は、すべての固体で異なるシリアルナンバーとなっている。
実銃同様の操作を求められる内部機構
レシーバー左側面に付いている見慣れない形のパーツは、セレクターレバーだ。
ロシア製の銃器(長物)において、レシーバー左側にセレクターが設けられている製品は非常に珍しいと言えるだろう。
ただし、セーフポジションからレバーを1段下げるとフルオート、さらに1段下げるとセミオートになる構造は、昔ながらのロシアンスタイルを踏襲している。
尚、セレクターレバーの操作には以下の注意が必要となる。
1. セレクター位置がセーフティの状態でボルトをコッキングしない。
2. 全弾撃ち終わったあとは、マガジンを抜く前にセレクターをセーフティポジションに動かさない。
3. ジャム等でボルトが途中で止まった際は、セレクターを操作しない(ボルトをコッキングしなおしてからセレクターを操作する)
このMODIFY製PP-2000は、セレクターの機構も実銃に則しているため、こうした正確な操作手順が必要となっている。
無論、PP-2000 CO2GBBには、セレクターの操作注意点を含む日本語説明書を作成して同梱するので、使用前には内容を充分に理解していただきたい。
PP-2000 CO2GBBは実銃同様のフォールディングストックを備えており、画像は折りたたんだ状態のストックの基部を写したものだ。
ストック側の付け根部分を掴んで上に引っ張ることでロックが解け、ストックが展開される仕組みになっている。
フォールディングストックを展開すると、ご覧のようなスタイルとなる。
ストック本体もストック基部も共にスチールで作られているため、しっかり肩付けして構えても、強度的な不安は微塵も感じられない。
レシーバー左側面後方にあるボタンは、ストックのリリースボタンとなっており、これを押し込むとストック基部をレシーバーから抜き出せる。
ストック基部が入っていた空洞部分には、マガジンを差し込んでロックすることが出来るのだが、これはロングマガジンを挿し込むことでストック代わりにしてしまおうという、驚きの発想による構造だ。
マガジンの底板に妙な角度がついていたり、チェッカーのモールドが入っているのは、バットプレート代わりにするためのデザインだったわけで、その発想の柔軟性の高さには敬服するばかりだ。
2種類のパワーソースが選べる専用マガジン
こちらは装弾数22発のショートタイプCO2マガジン。
定評あるTANIO-KOBA CO2 バルブの純正採用により、改造を防止するとともに、PUFF DINO CO2 12gカートリッジ1本につき約90回の発射が可能な低燃費と、高い耐久性を実現したJASG認定品となっている。
CO2 12gカートリッジの装填は、底板を外した上で横からセットし、マガジン底部のボルトを締めこむお馴染みの方法なので、BATON airsoft製CO2GBBユーザーなら、違和感無く扱えるはずだ。
また、同時に装弾数56発のロングタイプCO2マガジンも発売されるので、サバゲー用としても充分な火力を発揮することが出来るだろう。
尚、特徴的なオレンジ色のマガジンリップガスケットだが、上のCO2ショートマガジンは、ローンチロットのみ黒いガスケットが装着されている。
そしてこちらは、一般的な代替フロン対応のショートタイプマガジン。
そう、BATON airsoftがリリースするPP-2000 CO2GBBは、CO2と代替フロン両タイプのマガジンを共用することが出来るのだ。
代替フロン対応のマガジンは、底板の穴の奥に注入バルブが隠されているお馴染みの構造となっている。
代替フロンガスとCO2という圧力が大きく異なるパワーソースを両立させるため、非常に繊細な調整が必要だったのは言うまでもないことだが、ユーザーの好みや心情に応じて使い方を選択出来るというのは、大いに意義のあることではないだろうか。
また、気化効率の良い夏の間は代替フロン対応マガジンで、気温が低い秋冬はCO2マガジンでといった使い分けをするのも良いだろう。
もちろん代替フロン対応マガジンの方にも、装弾数56発のロングタイプが用意されている。
銃本体に対してかなり長いマガジンだが、気化スペースが大きい分、安定した動作が楽しめるのは大きなメリットだ。
※JASG認定マークの無い並行輸入のPP-2000に、CO2マガジンは使用出来ません。
また、CO2セッティングですので、代替フロン対応マガジンでは初速が低く、冬場の作動にも向きません。
さらに特筆すべきは、PP-2000の実銃画像に見られるサイレンサー、タクティカルライト、ホルスターといった専用設計のオプションが、MODIFY純正品として同時発売されるということだろう。
特殊部隊専用銃としては、どれも外せない装備なので、是非ともPP-2000 CO2GBBと同時に揃えていただきたいところだ。
MODIFYとGunsmith BATONがタッグを組み、およそ1年半という開発期間をかけて完成させた待望の新製品、PP-2000 CO2GBB。
これまでのBATON airsoft CO2GBB シリーズ同様、全国各地の有名小売店でも販売され、日本中どこで購入しても万全のサポートが保証されている。
ロシアンガンを愛するマニアの方々の期待を、決して裏切ることのない仕上がりを、是非ともその目でお確かめいただきたい。
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