APS airsoft 電動ガン Noveske Space Invader
レビュー: 金子一也 (Gunsmith BATON 店長)
JASG認定電動ガン APS airsoft Noveske Space Invader
価格と性能のバランスに優れ、様々なバリエーションモデルをリリースしている香港の人気エアガンメーカー、APS airsoft社から、正規ライセンスを取得したEMGブランドの電動ガン、Noveske Space Invaderが発売された。
Noveske社とのコラボモデルとしては、2019年11月に発売されたGEN.4 Black 10.5" (電子トリガー)に続く第2弾となる。
本製品も前作のGEN.4 Black 10.5"同様、JASG自主規約に基づく認定検査に合格した安全安心なエアースポーツガンであり、購入後三ヶ月以内は、修理工賃・パーツ代に加え、修理品の受け渡しにかかる送料までもが完全に無料という万全のサポートが用意されている。
※サポートには商品添付の保証書が必須となり、購入後3ヶ月以上経過した場合でも、有料でのサポートを受けることが可能だ。
PCC初参入となるNoveske社の意欲作
Space Invaderは、数多くの最高級カスタムライフルを生み出し続けているNoveske Rifleworksが2019年のSHOTSHOWで発表し、同年7月にリリースしたNoveske社初となるPCC(ピストルキャリバーカービン)である。
ある程度年配の方なら、一世を風靡したビデオゲームのタイトルを想起するであろうその名称をNoveske社が何故選択したのかは不明だが、充分過ぎるほどのインパクトを市場に与えたことは間違いないだろう。
9mmパラベラム弾を使用するPCCの多くは、グロック用マガジンを流用しているものだが、このSpace Invaderは、クラシカルなColtスタイルのSMGマガジンを採用しているのが特徴的だ。
また、何千発もの実射テストによって開発された独自のフィードランプ形状により、どんな弾頭(ソフトポイントやワッドカッター)を使ってもスムーズに動作する信頼性の高さを備えているとのこと。
拳銃弾である9mmパラベラムとはいえ、シンプルなストレートブローバックによる作動方式ではリコイルの強さが目立ちそうだが、Noveske社が公開している動画を見る限りでは、コントロール性に優れた撃ちやすい銃といった印象を受ける。
全米で大流行しているシューティングマッチ用としてはもちろんのこと、高い火力(32連マガジンを標準装備)と扱いやすさで、ホームディフェンス用としての人気も高いNoveske Space Invaderは、PCC初参入にして見事な成功を収めているようだ。
尚、画像の製品はストック部分にアームブレースを備えているため、正確にはSpace Invader Pistolということになる。
スペック
全長 | 550mm ~ 690mm |
重量 | 2,200g(本体のみ) |
銃身長 | 217mm (インナーバレル長) |
装弾数 | 6mmBB弾 220発 |
価格 | 50,800 円 (税別) |
発売日 | 2021年4月下旬 |
動力源 | 電動 |
初速 | 最高 87.3m/s 平均 86.4m/s 最低 85.6m/s ジュール 0.746J |
※BATON airsoft アクリビスバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温28度
正規ライセンスを取得した世界最速モデルアップ
今回ご紹介するNoveske Space Invaderは、EMG(Evike Manufacturing Group)がNoveske Rifleworksの正規ライセンスを取得し、APS airsoft社が製造、販売する形でリリースされており、すべての製品に正規ライセンスによって作られたことを証明する、画像のカードが付属している。
アメリカ本国では品切れが続いている(当記事執筆時点)大人気PCCのデザインが余すところ無く再現されているというそのディティールを、まずは銃口周りから見ていこう。
アウターバレル先端部には、いわゆるARスタイルの銃としては珍しいHK9mmパターンの3ラグサイレンサーアダプターが設けられている。
クロームシルバーのマズルカバーを外すと14mm逆ネジのスレッドになっており、各種マズルアダプターの装着が可能だ。
バレル先端部を下から見ると、3ラグアダプターの下側後方にイモネジが隠されている。これをボールポイント六角レンチで緩めることでアウターバレル先端部が外れ、14mm逆ネジのスレッドが現れる。ただし、ここを外すとインナーバレルが5cmほど露出してしまうため、何らかのカバーを取り付ける必要があるだろう。外径34mmまでのサプレッサーなら、ハンドガードの内側から突き出す形での装着が可能だ。
ジュラルミンからCNC加工によって削り出されたハンドガードは、Noveske NHR M-LOKレイルを忠実に再現。
6.25インチというコンパクトサイズだが、上下面のピカティニーレールに加え、両側面にM-LOK規格のスロットを備え、充分な拡張性を確保。
もちろん、正規ライセンス取得品ならではのリアル刻印も深々と刻まれており、手に取るたびにワクワクとさせてくれる。
フロントサイトは、KAC(Knight's Armament Co.)のマイクロフリップアップサイトを模したものが付属。
サイト本体は金属製で、フロントサイトポストの調整ダイヤルがクリックストップする本格的な作りだ。
レシーバーについても、正規ライセンスの取得により、実銃のデザインをそのままに再現。
マガジンハウジグ側面の刻印はもちろんのこと、テイクダウンピンとピボットピンの頭にもNoveskeのトレードマークが刻まれている。
アッパーレシーバー両側面には、ストック(ブレース)のフレームが収まる窪みが設けられており、デザイン上の美しさだけでなく、衣服や装備への干渉を抑える効果も期待出来る。
また、上述したようにColtスタイルのSMGマガジンを採用しているため、全体的にスッキリしたシルエットになっているのも、この銃の大きな魅力と言えるだろう。
チャージングハンドルはRADIAN RAPTORアンビデクストラウスタイプを模したもので、画像のようにラッチを解除して後方に引くと、Noveskeのトレードマークとロゴのレーザー刻印がちらりと顔を覗かせる。
レシーバートップのトレードマークと合わせて、Noveskeファンにとってはたまらない演出だろう。
そのチャージングハンドルを引くことでエジェクションポートが開き、ホップアップ調整ダイヤルにアクセス出来るのはお馴染みの構造だが、この際にレシーバー左側面のボルトリリースレバーを起こしておくと、ダミーボルトを画像の位置でホールドすることが出来るのだ。
卓球のラケット(ピンポンパドル)によく似た形状のボルトリリースレバーの、下方にある突起を軽く押しながらチャージングハンドルを引くことで、上述のようにダミーボルトを開放状態にホールドすることが可能となる。
尚、実銃同様にボルトリリースレバーを叩けばダミーボルトが前進し、エジェクションポートは閉鎖される(本製品のボルトリリースレバーはアンビタイプで、左右からの操作が可能)。
これは前作のGEN.4 Black 10.5"から継承したギミックだが、この機能でどれだけホップ調整作業が楽になることか、計り知れないメリットがある。
出来ることなら、すべてのAR系電動ガンに採用して欲しいギミックと言えるだろう。
リアサイトは、MAGPUL MBUS PROをモチーフとしたフリップアップタイプが付属する。
こちらも本体は金属製で、クリックストップ付きの左右調整と、ピープサイトの2段階切り替えが可能。
フロントサイトとデザインの統一感もあり、オマケと言うには豪華な装備だ。
セレクターレバーも左右からの操作が可能なアンビタイプとなっている。
その固定方法こそ中央の六角ボルトによるものだが、実銃が採用しているMagpul SSGセレクタースイッチの形状がしっかり再現されているのが素晴らしい。
また、メカボックスの構造上、左右のレバーが同軸式では無いが、どちらから操作しても小気味よく連動してくれる。
モーターを内蔵したポリマー製グリップは、Ergonomic Combat Motor GripというEMG社のオリジナル製品を採用。
MAGPUL社のMOEシリーズに良く似た形状だが、重心の軸線に対する角度が19°と、一般的なグリップよりも垂直に近く作られている。
グリップの角度が変わると、モーターとメカボックスの関係性に影響が出るものだが、底板を見ればモーターの角度はほぼ従来通りであることがわかるだろう。
また、独特のカーブを持つトリガーは、実銃が採用しているGeissele Super MCX SSA M4 Curved Bowのデザインがしっかりトレースされており、良好なトリガーフィーリングが味わえる。
ピストルとしての装具、アームブレース
先にも述べたように、本製品はバットストックであるべき部分が、アームブレースになっている。
ブレースとは、画像のベルクロテープを使ってグリップを握った手の前腕部に銃を固定し、片手で支えて撃つための装具のことで、これさえあれば、民間人でも所持出来るラージフォーマットピストルという扱いになるそうだ。
つまり、このブレースを肩付けして撃つと違法に当たるということだが、射撃場でそれを見咎められるはずもなく、なんともおおらかで羨ましい話しである。
無論、日本それもエアガンにおいてはまったく関係の無い話しだが、そういった背景もこの製品の魅力のひとつと言えるだろう。
ブレース付け根部分にあるブロンズ色のボタンを押し込むことで、最短状態から3段階の伸縮が行える。
体格にもよるが、最長にするとブレースのフレーム(金属製の角棒)に頬付することになってしまうので、短めで運用するのが正解だろう。
ブレースの背面、バットプレートに当たる部分にはEMGのロゴが刻まれているが、あくまでストックでは無いため、滑り止め用のモールド類は一切入っていない。
レシーバーとの接合部分の両側面にはQDスイベルマウントが設けられており、付属のQDスリングスイベルを好みの位置に取り付けられる。
銃がコンパクトなので、ワンポイントスリングで運用するのも良いだろう。
リポバッテリーの収納、接続方法
アッパーレシーバー後方の、実銃のバッファーチューブにあたる部分はバッテリー収納スペースとなっている。
バッテリーの収納、交換を行う場合は、ブレースを最長まで伸ばした状態で、矢印で指したピンを引き抜き、キャップを取り外す。
尚、固定用のピンにはストッパーとなるスチールボールが埋め込まれており、不用意な脱落を防いでくれる。
上述のキャップを外すと、少し奥まった位置からTコネクターが顔を覗かせる。
本製品はその性格上バッテリー収納スペースが狭いため、占有面積の少ないTコネクターがメーカー出荷の時点で装着されているのだ。
そこでGunsith BATONは、本製品の新入荷を受けて、BATON airsoftオリジナルの電動ガン用リポバッテリー7.4v900mAhスティックタイプのTコネクター仕様を新たに製作、発売した。
94mm×19mm×12 mmというコンパクトサイズながら、常時20C、最大30Cという放電レートを誇るこのリポバッテリーはPSEマーク(電気用品安全法に基づいていることを示すマーク)も取得しており、性能だけでなく安全性にも優れた製品である。
上述した通り、収納スペースに限りがあるため、バッテリーの取り付けには本製品独自のコツが必要となる。
以下にその方法を解説しよう。
1:本体側のTコネクターを奥から引き出し、画像の位置に引っ掛けておく。
2:1の状態を保ったまま、リポバッテリーを収納スペースに静かに挿入する。
3:本体側のTコネクターを指先で押さえつつ、バッテリー側のTコネクターを接続する。
文章にしてしまうと簡単そうだが、狭いスペースでの作業となるため、ある程度は手先の器用さが必要となっている。
尚、本製品は電子トリガー搭載モデルであるため、保管の際は必ずリポバッテリーを外しておくよう注意していただきたい。
Noveskeのトレードマークが刻まれたSMGマガジンは装弾数220発の多弾タイプだが、少し前後に長い四角柱といったシンプルな形状ゆえ、マガジンの前後と上下を間違える可能性が非常に高くなっている。
そして、向きを間違えていてもとりあえず銃本体に収まってしまう(マグキャッチはかからないが)ため、最悪の場合、マガジンやチャンバーを壊してしまう危険性も考えられるのだ。
銃本体にマガジンを挿入する際は、上下はもちろんのこと、前後の向きを確認するよう習慣づけておきたいところだ。
ゴム製のマグブーツ等、触った瞬間にわかるような目印を付けておくのも良いだろう。
尚、本製品は二種類の方法でマガジンを抜き取ることが可能となっている。
ひとつは、右手のトリガーフィンガーを伸ばした位置にあるマグリリースボタンを押す方法。
もうひとつは、マガジンハウジング後方下部のマグリリースレバーを握り込む方法だ。
普段はマグリリースボタンしか使いそうにないが、バリケード左側からの射撃時、とっさのマグチェンジが必要になった場合などに、マグリリースレバーが存在価値を発揮することだろう。
5種類のモードが楽しめるプログラマブルメカボックス
実銃のデザインと機能をリアルに再現したレシーバーには、APS airsoftが誇るeSilver Edge SDU2.0 電子トリガープログラマブルメカボックスを内蔵。
このメカボックスはマイクロチップ制御による発射モードの切り替えだけでなく、異常を検知した際に自動停止する機能も備えており、耐久性の高さだけでなく、高い安全性の獲得にも成功している。
マイクロチップ制御によって選択できる発射モードの切り替えは以下の手順となる。
まず上の画像中赤く囲った部分にある小さなスイッチを指先で軽く押し込むと、奥に隠されたLEDが赤く点灯する。
そのまま2秒ほどスイッチを押し続けると、点灯していたLEDが短く2回点滅するので、点滅を確認したらスイッチから手を離す。
以上で発射モードの切り替えは完了となる。
発射モードは、通常のセーフティ、セミオート、フルオートをデフォルトのMode.1として、以下の順に移行する。
Mode.1 : | セーフティ → セミオート → フルオート |
Mode.2 : | セーフティ → セミオート → 3点バースト |
Mode.3 : | セーフティ → 2点バースト → フルオート |
Mode.4 : | セーフティ → 3点バースト → フルオート |
Mode.5 : | セーフティ → 3点バースト → 9点バースト |
尚、スイッチをダブルクリックするか、バッテリーを外すことでリセットがかかり、再びMode.1からのスタートとなる。
特別な外部デバイスや、トリガーでの設定といった手間が一切かからず、どこでも好みの発射モードに切り替えられるというのは、このメカボックス最大の魅力と言えるだろう。
実射性能についても、箱出しでバッテリーを繋ぎ、アクリビスバイオBB弾0.2gで適正ホップを出しただけで、30m先の等身大ターゲットを苦もなくヒット出来る弾道安定性と集弾性を見せつけてくれた。
※BATON Range内、30mロングレンジにてテスト
フルオートは言うまでもなく、2点や3点、9点といったバーストモードを選べば、BB弾が一直線に連なってターゲットに吸い込まれて行く様のあまりの面白さに、延々と撃ち続けてしまうこと請け合いだ。
今や様々なトイガンメーカーからPCCタイプの電動ガンが発売されているが、「本物がある」という意味では、このNoveske Space Invaderは希少な製品であろう。
箱出しでも充分な実射性能を発揮する上、独自のモード切替システムを搭載。
さらに実銃メーカーの正規ライセンスを取得し、丁寧に造り込まれたリアルさも兼ね備えたAPS airsoft社の意欲作を、愛銃に迎えてみてはいかがだろうか。
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APS airsoft Noveske Space Invader
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