BATON airsoft BT-SAND VIPER CO2GBB
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BATON airsoft BT-SAND VIPER CO2GBB

レビュー: 金子一也 (Gunsmith BATON 広報)

JASG認定 CO2ガスガン、BT-SAND VIPER CO2GBB

2023年4月に池袋サンシャインシティ展示Cホールで開催された第13回爆裂祭会場での、Gunsmith BATONブースにおける電撃発表からおよそ1年と3カ月。JASG認定CO2ガスガン、BT-SAND VIPER CO2GBBが『BATON airsoft』ブランドの商品として、2024年7月初旬に発売される運びとなった。

当記事執筆時点ではGunsmith BATONネットショップで予約受付中となっているが、発売日以降はこれまで同様、全国の各種エアーガン取扱店舗での購入が可能となる予定だ。

尚、本製品もこれまでのCO2GBBシリーズ同様、JASG自主規約に基づく認定検査に合格した安全なエアースポーツガンであり、購入後三ヶ月以内は、修理工賃・パーツ代に加え、修理品の受け渡しにかかる送料もメーカー((株)バトンTrading)が負担する万全のサポートが受けられる。
※サポートには商品添付の保証書が必須となり、購入後3ヶ月以上経過した場合でも、有料でのサポートを受けることが可能だ。

毒蛇の名を関するPIT VIPERの兄弟機、SAND VIPER

実銃1
実銃2

当Airsoft通信読者の皆様なら、超一流カスタムメーカーTTI(Taran Tactical Innovations)主宰のタラン・バトラー氏についてはご存じのことだろう。
2023年9月に公開された映画ジョン・ウイックシリーズ最新作に登場し、大変な話題を呼んだPIT VIPERもタラン・バトラー氏がデザインしたものだが、このSAND VIPERの誕生には、映画の公開にまつわる事情が絡んでいたようだ。

タラン・バトラー
出典:https://www.imdb.com/name/nm3700555/mediaviewer/rm27332097/

アメリカの銃器関連サイト、GUNS.COMの記事によれば、タラン・バトラー氏が映画ジョン・ウィック:コンセクエンス(原題:John Wick: Chapter 4)のために作り上げたPIT VIPERは、2021年5月の劇場公開と同時に売り出される予定だった。ところが、コロナ禍により公開が2022年5月に延期された上、同じキアヌ・リーブス主演の映画「マトリックス・レザレクションズ」との兼ね合いで、さらに2023年3月まで公開延期される事態となった。

これに困ったのは、契約上、映画が公開されるまでPIT VIPERを販売することが出来ないTTIである。そこでとった苦肉の策が、在庫品のPIT VIPERにオプティックカットを加え、コーティングの色をサンドカラーに変更し、今すぐ販売可能な別の銃を作り上げることだった。SAND VIPERという稀代の名銃は、こうして生み出されたのだ。

SAND VIPERの誕生
出典:https://www.guns.com/news/reviews/sand-viper-versus-pit-viper-pistols

全米の銃器評論家やプロシューターから、最上級の賛辞を持って高く評価されているSAND VIPERの誕生にこのような背景があったとはまさしく驚きだが、タラン・バトラー氏が持つガンスミスとしての技術とセンスがいかに卓越しているかを物語るエピソードとも言えるだろう。

 

SAND VIPERは元々、2ガン&3ガンマッチを戦うためのレースガンとしてデザインされており、予算の上限が決められているミリタリーやLE向けの銃とは一線を画した命中精度の高さと、作動の確実さを備えている。
下の動画の中盤で、100ヤード(91.44メートル)からの射撃で苦もなく標的をヒットしている様子が見られるが、シューターの技量はもちろんのこと、SAND VIPERという銃の高性能ぶりに驚くばかりだ。

 

BATON airsoft 2011 CO2GBBシリーズ2匹目の毒蛇

2匹目の毒蛇
BATON airsoft 2011 CO2GBBシリーズ

上述した通り、BT-SAND VIPERの製品化を発表したのは2023年4月だったが、その開発はBT-PIT VIPERと並行して2022年から行われていたため、発表時には既に成型品のスライドを載せた形状試作モデルが完成していた。しかしながら、スライド上にドットサイトを直接マウント出来る実銃のコンセプトをCO2GBBとして再現するため、ここからの開発が難航。度重なる試作と様々なテストに2023年度を丸々費やし、年が明けてからの検証でようやく量産への目処が立ったという次第だ。

2024年3月に3度目の生産分が販売されたBT-PIT VIPERとは、見た目のよく似た兄弟機という位置づけではあるが、その中身、特にスライド内部の構造は完全に別物となっているBT-SAND VIPER。量産一歩手前の最終サンプルにて、そのディティールを詳しくご紹介して行こう。

競技用拳銃(レースガン)として研ぎ澄まされたデザイン

研ぎ澄まされたデザイン

宝石のカットを思わせる複雑な面構成が美しいBT-SAND VIPER(以下、SV)の銃口周り。大きく開いたガスポートを持つコンペンセイターはBT-PIT VIPER(以下、PV)とよく似ているが、フロントサイトがコンペンセイター上に固定されているPVとは異なり、スッキリした形状となっている。
スライド上両側斜面に繋がる、TTIカスタムに共通した独特のフロントセレーションも忠実に再現しており、ドットサイト搭載時の確実なスライド操作が可能だ。


スライド上

スライド上に設けられたグリーンの集光サイトは、スライド内側から2本のネジで固定されており、取り外せば実銃通りのライトニングホールが現れる。
これは実銃には無いBATON airsoftのオリジナル要素で、ドットサイトを搭載しなくても撃てるように取り付けたものだ。

コンペンセイター

スライドを引くとコンペンセイターと一体になった黒いアウターバレルが現れ、サンドカラーとの対比が精悍な印象を演出する。命中精度向上のため、ショートリコイルギミックはオミット。金属製のコンペンセイターと肉厚のアウターバレルの重量が、射撃時のほどよいバランスを生み出している。
尚、PV同様リコイルスプリングガイド先端が斜めにカットされているため、ホップ調整等で外したスライドを組み付ける際は、先端の角度がリコイルプラグ先端と面一に揃うよう注意していただきたい。

エジェクションポート

エジェクションポートから覗くチャンバー部分の表面も、アウターバレルと同じ黒い塗装仕上げで、サンドカラーとのコントラストが実に映える。また、先端にコンペンセイターが固定されているため、ブローバック時に上方に振られて破損することが無いよう、PV同様の強化型アウターバレルになっている。

実銃通りのドットサイト搭載を可能とした新機構スライド

ドットサイト搭載を可能
リアサイト

フロントサイト同様、スライド後方上面にはBATON airsoftのオリジナルの金属製固定リアサイトが取り付けられている。
この固定リアサイトは上面2箇所のネジによってスライドに固定されており、これを取り外すことでドットサイトの取付が可能となる。

スライド上面
スライド上面

固定リアサイトを外したスライド上面には、Trijiconのフットプリントに合わせた位置にネジ穴が設けられており、RMR、SROといったTrijicon製小型ドットサイトを、いわゆるポン付けで搭載可能となっている。この際、画像中の赤い円で囲った部分のネジ穴に、3本付属するネジの中で最も短いプラスネジ(他の2本は六角穴付きネジ)を入れて締め込んでから、ドットサイトを取り付ける必要がある。
この短いプラスネジを忘れてしまうと、スライドとブローバックハウジングが固定されず、射撃時の破損に繋がってしまうので、絶対に忘れないようご注意いただきたい。

TrijiconのSROサイト
TrijiconのSROサイト

画像は、固定リアサイトを外したスライド上面に、TrijiconのSROサイトを取り付けた状態だが、実銃同様、ドットサイト本体がスライドに埋まるような形で搭載されているのがおわかりいただけるだろう。このスタイルを再現するため、シリンダー周りの構造がPVとはまったく異なる新規設計となっている。
実銃同様の低いダットサイト搭載位置を実現するため、D型ピストンの採用によりシリンダー上部をフラット化。さらに、従来はブローバックハウジング側に設けられているピストンの、ノズル側への移設等、長い時間を費やして完全に作り直すことで、ようやくSAND VIPERのスタイルを忠実に再現出来たのだ。
また、スライド上面にはネジ穴が切られた金属製のプレートがインサート成形することで、ドットサイトの着脱やリコイルショックでネジ穴がなめたり広がったりといった不安要素も払拭している。
ドットサイトの固定には、ドットサイトに付属するネジを使うことになるが、この際ネジが長すぎると、スライド内に突き出したネジの先端がシリンダーに接触し、破損する可能性があるので注意が必要だ。
ちなみに、Trijiconのレプリカ品でもネジ穴のピッチが合っていれば取付は出来るが、安価なレプリカはCO2GBBの強烈なリコイルショックでドットが点灯しなくなったり、レンズが外れたりといったトラブルが起きることもあるようなので、注意が必要だ。

オプティックプレート

尚、これもBATON airsoftのオリジナル要素として、Trijicon以外のメーカーのダットサイトを取り付けるためのオプティックプレートが3種類付属する。画像に02のプレートが無いのは、スライド上面が02に当たるTrijiconピッチになっているためだ。
3種類のネジは、Aが上述したスライドとブローバックハウジングを固定するためのプラスネジで、B、Cはオプティックプレートを固定するためのもの。Bはオプティックプレート前方(銃口側)に、Cはオプティックプレート後方のネジ穴にそれぞれ使用する。

ハンマー

ハンマー、アンビサムセーフティ、グリップセーフティはすべてPVと同一形状で、塗装色のみPVからSV仕様に変更。上述した通り、これは実銃も同様の処理となっている。
尚、当記事掲載の画像は、スライド両側面の凸部分が金属色に輝いているが、これは本製品に付属するサイドポリッシュステッカーを貼り付けたものだ。

メタリック調のカッティングシート

PVではスライド金型の凸部に当たる面を磨くことで、実銃のような光沢のメリハリが得られたのだが、SVの場合、成型色の影響で同様の見え方にはならなかった。そこで、設計データを元にメタリック調のカッティングシートを切り出し、お好みに応じて貼り付けていただけるよう、製品に同梱する運びとなった次第だ。
ただ、あくまで通常のカッティングシートにつき、ホルスターへの出し入れやスライドの操作を行えば剥がれてしまうのは避けられないので、観賞向けと考えていただきたい。

貼り付けに当たっては、スライド表面を入念に脱脂した上で行うことになるが、脱脂したスライド側面に、一般的な霧吹きで少量の水(極々微量の中性洗剤を混ぜると尚良し)を吹き付けてから作業を行うと、微妙な貼り付け位置の修正が可能となるので、お試しいただきたい。

トリガー
トリガー

素早いマガジンチェンジを可能とする、ワイドタイプのエクステンションを備えたマガジンキャッチも、PVと共通のパーツを使用。トリガーのみ、PVのシルバーメッキ仕上げに対し、実銃同様の黒い塗装仕上げに変わっている。シルバーのイモネジが良いアクセントになっているが、トリガーの引き代調整幅は0.5mm程度なので、装飾ネジといったところだろう。

グリップ
グリップ

手のひらに吸い付くような滑り止めテクスチャーが表面に施されたグリップもPVと共通で、連射時のリコイル制御を助けてくれる。BATON airsoft製品のBS-HOST、BS-STACCATO、BS-COMBAT MASTERといった2011シリーズとの互換性があるので、これら製品をお持ちの方は、お好みに応じてグリップを付け替えてみるのも良いだろう。

マグウェル

実銃が採用しているTTIキャリータイプを再現したマグウェルもPVと共通で、SVに合わせた塗装を新たに施している。
開発当初は実銃に倣ったオーバーサイズを検討していたのだが、競技用のマグウェルは幅が広過ぎて、一般的な使用に適さないと判断し、PVと共通のコンパクトタイプが採用となった。

付属のCO2マガジンには本体に合わせたFDE色のマガジンボトムを装備

マガジン
マグウェル

本製品もPV同様、ニッケルフィニッシュかつセミロングタイプの2011 CO2 ロングマガジン FDEが付属するが、実銃に倣って成型色をSV本体に合わせたマガジンボトムを採用している。

マガジンボトム
CO2 12gカートリッジのセット

PUFF DINO CO2 12gカートリッジのセット方法については、当Airsoft通信のPVレビューと重複するが、まずマガジンボトム前面中央のピン(画像内、赤い円で囲ったピン)を押し込んでからボトムストッパーを引き上げ、マガジンボトムを後方にスライドさせて取り外す。ここから先は、従来の2011系CO2マガジンとまったく同じ手順なので、BATON airsoft CO2GBBシリーズのユーザーであれば戸惑うことは無いだろう。

尚、2011 CO2 ロングマガジン FDEは、従来の2011系CO2マガジンとの完全互換となっており、BS-HOST、BS-STACCATO、BS-COMBAT MASTERにそのまま使用可能。同シリーズユーザーであれば、マガジンを使い回せるというのは嬉しいポイントだろう。

※2011 CO2 ロングマガジン FDEにBB弾をフル装填すると31発入りますが、銃本体のシリンダーASSYを保護するため、フル装填で運用する場合は、スライドをホールドオープンさせた状態でマガジンを挿入してください。
スライドを閉じた状態でマガジンを挿入する場合は、必ず1~2発少ない29発程度で運用してください。

新鮮なブローバックの感触と安定した実射性能

今回のレビューも量産一歩手前のサンプルを使用しているため、実射性能についてはあくまで参考データになるが、当Airsoft通信でお馴染みのBATON Range内ロングレンジでのテストでは、射座から30m先に設置した等身大のシルエットターゲットに対し、BATON airsoft バシコスバイオBB弾0.25gを1秒に1発程度のペース29発連続で撃ち込み、全弾命中させることが出来た(適正ホップを出した状態での結果)。
PUFF DINO製CO2 12gカートリッジ1本あたりでの燃費は、2ガジン分を元気に撃ち切り、3マガジン目の後半で勢いが落ちる印象なので、実用80発弱というところだが、当記事執筆時点ではシリンダー周りの仕様が確定していないため、量産品の完成後に改めて検証してみたい。

近距離においては、スピードシューティングで使われる直径10cmのスチールプレートを、4~7mまでの距離で苦もなく連続ヒット出来る命中精度を有している。適合するホルスターを持ち合わせていないため、実際にドロウしての射撃は試せていないが、シューティングマッチに投入して充分な結果を出せるポテンシャルがあるのは間違いないだろう。

尚、シリンダー周りが従来のCO2GBBシリーズから一新されているため、射撃時に発する破裂音と、リコイルの感触にこれまでとは異なる印象があった。
音については、従来よりもやや低く籠もったような音質になり、リコイルは鋭いというよりやや重く、どっしりと骨に来るような感じだろうか。
これも量産品では変わって来るかもしれないが、これまでとは違った新鮮な感触が楽しめるはずだ。
ちなみに、スライド上にダットサイトを取り付た状態で撃っても弾道と燃費に大きな変化は見られなかったが、ブローバック時に動く部分の質量が増えた分、リコイルショックが重くなったように感じられた。

BT-SAND VIPER CO2GBB
BT-SAND VIPER CO2GBB

2011 CO2GBBシリーズ最大のヒット作となったBT-PIT VIPERと並行し、水面下で開発を進めて来たBATON airsoft最新製品、BT-SAND VIPER CO2GBB。
PIT VIPERのようにスクリーンで華々しく活躍した銃では無いため、知名度の点では兄弟分のPITに一歩譲っているが、世界中の一流シューターがこぞって絶賛する最高峰のカスタムガンをCO2GBBとして再現した本製品は、2011系キャリーオプティックの第一号機として、今後のBATON airsoft製品開発に大きな影響を与えて行くことだろう。
確実に入手したいとお考えの向きには、全国の有名ショップまたはGunsmith BATONホームページでの予約をご検討いただきたい。

スペック


全長 223mm
重量 約694g(フロントサイト、固定リアサイト装着時、マガジン除く)
銃身長 95mm (インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 31+1発
価格 32,800円(税別)
発売日 2024年7月初旬
動力源 CO2カートリッジ式ガス
初速 最高:83.57m/s
平均:81.69m/s
最低:79.81m/s
ジュール:0.667J
※BATON airsoft バシコスバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、マガジン表面温度27℃、[ ACETECH ] AC5000 弾速計にて測定

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BATON airsoft BT-SAND VIPER CO2GBB


2024/05/20


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