BATON airsoft BT-PIT VIPER CO2GBB
レビュー: 金子一也 (Gunsmith BATON 広報)
JASG認定 CO2ガスガン、BT-PIT VIPER CO2GBB
2023年1月に都立産業貿易センター浜松町館にて開催された第101回ビクトリーショー会場での、GunsmithBATONブースにおける電撃発表からおよそ半年。JASG認定CO2ガスガン、BT-PIT VIPER CO2GBBが『BATON airsoft』ブランドの商品として、2023年7月下旬に発売される運びとなった。
当記事執筆時点ではGunsmith BATONネットショップで予約受付中となっているが、発売日以降はこれまで同様、全国の各種エアーガン取扱店舗での購入が可能となる予定だ。
尚、本製品もこれまでのCO2GBBシリーズ同様、JASG自主規約に基づく認定検査に合格した安全なエアースポーツガンであり、購入後三ヶ月以内は、修理工賃・パーツ代に加え、修理品の受け渡しにかかる送料もメーカー((株)バトンTrading)が負担する万全のサポートが受けられる。
※サポートには商品添付の保証書が必須となり、購入後3ヶ月以上経過した場合でも、有料でのサポートを受けることが可能だ。
ジョン・ウイック4のために作られたTTI最新作
出展:https://tarantacticalinnovations.com/tti-jw4-pit-viper/
今やガンマニア以外にもその名を知られている世界最強クラスのプロシューターにして、超一流のカスタムメーカーTTI(Taran Tactical Innovations)を主宰する銃器デザイナー、タラン・バトラー氏が、ジョン・ウイックシリーズ最新作のために創り上げた美しくも凶暴なカスタムガン、TTI JW4 Pit Viper。
出典:Gun's.com https://www.guns.com/news/reviews/taran-tactical-pit-viper-john-wick-handgun-review
その存在は2021年に予定されていたジョン・ウイック4(原題:John Wick: Chapter 4)劇場公開時に発表されるはずだったが、コロナ禍等で映画の公開が延びていたため、この2023年まで秘匿され、映画の全米公開と同時に晴れてリリースされたという逸話を持つ製品だ。
伝説の殺し屋の愛銃に相応しいスクリーン上での見栄えの良さだけでなく、戦闘用拳銃として一切の妥協を廃した、いわゆる2011系カスタムガンとして最高峰の完成度を誇っており、6,999.99ドル(当記事執筆時点の為替レートで約980,000円!)という価格も相まって、世界中のマニアの羨望を一身に集めている。
BATON airsoft 2011 CO2GBBシリーズ最新作
冒頭に書いた通り、BT-PIT VIPERの製品化を発表したのは2023年1月だったが、開発のスタートは2022年の7月に遡るため、実質的には1年近い時間がかかっている。
前作のBG-17 CO2GBBが発売までに3年以上もの開発期間を要したことに比べると、随分早く完成したようなイメージがあるが、BS-HOST、BS-STACCATO、BS-COMBAT MASTERという3機種を生産したことで熟成を重ねている2011 CO2GBBシリーズの派生モデルだからこそ、このスピード開発が実現したと言えるだろう。
海外では既にJohn Wick: Chapter 4が劇場公開されているため、ネタバレを含めた様々な情報がネット上に溢れかえっているが、おあずけを食らっている形の日本のJWファンたちが首を長くして発売を待ち望んでいる、BT-PIT VIPER CO2GBB。量産一歩手前の最終サンプルにて、そのディティールをご紹介して行こう。
毒蛇の名を冠する攻撃的なデザイン
スライド上左右の傾斜面にまで延びたTTIカスタムに共通する独特なコッキングセレーションを含め、実に複雑な面構成を見せるマズル周り。スライドはもちろん強化樹脂製だが、巨大な開口部を持つコンペンセイターは金属製で、アウターバレルに固定されている。ライトニングポートがスライド側面だけでなく、スライド上面にも設けられているのがまた特徴的だ。
スライドを引くとリコイルプラグが後退して、コンペンセイターの下に見慣れぬ空間が出現するが、その様はまさに、毒蛇が鎌首を上げて襲いかかろうとしている姿を連想させる。シルバーに輝くリコイルスプリングガイド先端が斜めにカットされているのも新鮮だが、製品版では黒染めされる予定だ。
尚、スライド表面の凸部がグロス仕上げになっているのも今作の改良点で、実銃同様にメリハリのある質感の違いをお楽しみいただける。
グリーンのアクリルフファイバーが入った集光タイプのフロントサイトは抜群の視認性を誇るが、スライドを引いた状態でもアウターバレル先端上部に固定されている点に、是非ご注目いただきたい。その意味するところは、本レビュー後半にてご説明しよう。
リアサイト周りは、他に類を見ない独特な構成になっている。一般的なオートマチックハンドガンは、スライド上の後方にアリ溝(ダブテイル)が切られ、ボーマーサイトの土台に当たる部分を横からはめ込んで固定する形が採られているが、PVはその土台部分がスライドと一体になって形成されているのだ。
このデザインによってリアサイトのパーツ点数が減らせることと、アリ溝を刻むことによる強度の低下を防げるというメリットを同時に獲得している。
使える材質に法的な制限があるエアガンの世界においても、非常に嬉しい設計といえるだろう。
リアサイトそのものは金属製で、上下左右の調整が可能しかもクリックストップ付きという、いつもながらの本格装備となっている。
こうしてスライド周りを眺めると、スライドを4.3サイズに短縮することでファンクションのスピードを向上させると同時に、コンペンセイターの採用でマズルジャンプを抑制し、より速く正確な連射を可能にしようという、この銃のコンセプトがひしひしと伝わって来る。
上面に巨大なガス放出口を備えながら、アンダーカットを入れることで小型化に成功しているコンペンセイターのデザインも実に秀逸で、シリーズ共通のアイコンとなっているコンバットマスタースライドカットと共に、TTIカスタムガンの新たな美しさを生み出しているように思える。
エジェクションポートから覗くアウターバレルのチャンバー部分の表面も、美しいブロンズフィニッシュとなっている。尚、製品版では実物のDLCコーティングに近いもう少し落ち着いた色合いになる予定だ
シャーシ前方下側のダストカバー部分は、ウェポンライトを取り付けるためのスロットが1本だけ刻まれたシンプルな仕上がり。
尚、取り付け方法によっては装着できないライト類もあるので、予めご注意いただきたい。
独特なカーブを持つ肉抜きされたトリガーは、引きしろを調節するためのイモネジも含め、実物を忠実に再現。ストレートに近い微妙な曲面が、トリガーフィンガーに絶妙な感触を与えてくれる。
シルバーメッキの表面仕上げはBATON airsoftのオリジナル要素としてあえて捻った部分で、中央部に見えるイモネジは量産品ではオミットされている。
トリガーガードの下面にはグリップと同じ滑り止めのテクスチャーが、前面にはオーソドックスなチェッカリングがそれぞれモールドされており、確実なグリッピングをサポート。
マガジンリリースボタンには実銃同様、チェッカリングが入ったワイドタイプのエクステンションが取り付けられており、素早いマガジンの排出を可能としている。
ブロンズフィニッシュのハンマーも、大胆に軽量化された実銃のライトスピードハンマーを忠実に再現。開発当初、ダイキャストパーツでこの形状というのは強度的に大丈夫かと不安だったが、2011 CO2GBBシリーズの従来モデルとまったく変わらない耐久性が確認出来ている。
グリップセーフティのビーバーテイル部分が中央に向かって絞り込まれているのは、より高い位置を握るハイグリップのために考え抜かれたTTIのオリジナルデザインで、その使い勝手の良さを実体験出来るはずだ。
グリップ周りも、この製品のために作り起した新規金型で製作。手のひらにしっくりと馴染むテクスチャーが前面と両側面に施されており、CO2GBBの強烈なリコイルでも滑ることの無い確実なグリップを可能としてくれる。尚、このグリップはBS-HOST、BS-STACCATO、BS-COMBAT MASTERに取り付けることが出来るので、お好みに応じて着せ替えをお楽しみいただきたい。
グリップ底部に装着しているコンパクトなマグウェルも、実銃が採用しているTTIキャリーマグウェルを模して新規製作。
ホルスターに入れて身につける際の目立ちにくさを考慮しつつも、素早いマグチェンジを可能とする、戦闘用拳銃としてのコンセプトを可能な限り再現している。
安定した連射を可能とする新型マガジンType-NTL
2011系としては初めてのニッケルフィニッシュ、しかもセミロングサイズとなった2011 CO2マガジンType-NTLも、今回新たに製作したものだ。
そのフォルムは、実銃の2011系COMBAT MASTERシリーズにオプションとして用意されている21連マガジンを模しており、グリップ内に挿入すると下段画像のように若干はみ出す形となる。この「はみ出し」が、マシンピストルを思わせるような、攻撃性の高さを醸し出すと感じる方は少なくないことだろう。
また、Type-Nマガジンとの完全互換となっており、BS-HOST、BS-STACCATO、BS-COMBAT MASTERにそのまま使用出来るし、逆にType-NマガジンをBT-PIT VIPERに使用可能という点も、2011 CO2GBBユーザーにとっては嬉しいポイントだ。
マガジン底部の樹脂製マガジンボトムも、TTIオリジナルのBlem-Ventory Base Padのデザインを忠実に再現しており、雰囲気を高めている。
PUFF DINO CO2 12gカートリッジをセットする際のマガジンボトムの外し方は、まず前面中央のピンを押し込んでからボトムストッパーを引き上げ、マガジンボトムを後方にスライドさせて外すという手順になる。従来型の2011 CO2マガジンType-Nと少々扱い方が異なるが、実際に使えばすぐに慣れることだろう。
装弾数は31発と、従来型のType-Nから2発しか増えていないが、マガジンの全長が伸びた分はCO2の気化スペース拡大に使われており、連射時の初速と弾道の安定性に大きく貢献している。
これから夏にかけてはその効果を実感しにくいかもしれないが、代替フロンガスではブローバック動作が厳しい季節になった頃に、その真価を遺憾なく発揮するはずだ。
また、既存のBATON airsoft製CO2GBBシリーズ同様、特許取得済TANIO・KOBA CO2 バルブ( TANIO・KOBA CO2 バルブ : 実用新案 第 3206631 号 )を採用。破裂等の心配が無い開放型の構造で安全性が高く、PUFF DINO製CO2 12gカートリッジ1本あたり100発前後の射撃が可能な燃費の良さも健在である。
※マガジンにBB弾をフル装填すると31発入りますが、銃本体のシリンダーASSYを保護するため、フル装填で運用する場合は、スライドをホールドオープンさせた状態でマガジンを挿入してください。
スライドを閉じた状態でマガジンを挿入する場合は、必ず1~2発少ない29発程度で運用してください。
距離を選ばぬ実射性能の高さ
今回のレビューも量産一歩手前のサンプルを使用しているため、あくまで参考データとなるが、当Airsoft通信でお馴染みBATON Range内ロングレンジに設置された30m先のEタイプシルエットターゲットに対し、BATON airsoft バシコスバイオBB弾0.25gをワンマガジン分撃ち込み、無造作に全弾命中させられる安定性が確認出来た。BN-SILENT HAWK CO2GBBから新採用したBNホップパッキンの効果も充分に活きていると思われる(適正ホップを出した状態での結果)が、フロントサイトがアウターバレル先端に固定されており、ブローバックで前後に動くことが無いというのも、狙いやすさと撃ちやすさに直結しているのは間違いない。
また近距離においても、ポピュラーなスピードシューティングで使われる直径10cmのスチールプレートを、4~7mまでの距離でカンカンと連続ヒット出来る命中精度を有している。無論、連射時のリコイルをしっかり制御しないと外してしまうというCO2GBBならではの難しさと楽しさも存分に味わえた。
2011 CO2GBBシリーズ第1弾のBS-HOSTを2020年6月下旬に発売して以来、お客様からいただいたご意見や発生したトラブルの原因をフィードバックし、再生産の度に改良を続けることで得られたノウハウの全てを投入して作り上げた、BATON airsoft最新製品、BT-PIT VIPER CO2GBB。
9月予定の「ジョン・ウィック:コンセクエンス」劇場公開よりひと足早い、7月下旬の発売予定だが、JWファンとしては公開までの時間も、そして映画の鑑賞後もより深く楽しむためにも、決して見逃すわけには行かないところだろう。
現在絶版のBS-COMBAT MASTER同様、予約完売という事態も充分にあり得るので、全国の有名ショップまたはGunsmith BATONホームページでの、お早目の予約を是非ご検討いただきたい。
スペック
全長 | 216mm |
重量 | 約690g(マガジン除く) |
銃身長 | 95mm (インナーバレル長) |
装弾数 | 6mmBB弾 31+1発 |
価格 | 29,800円(税別) |
発売日 | 2023年7月下旬 |
動力源 | CO2カートリッジ式ガス |
初速 | 最高:82.74m/s 平均:81.20m/s 最低:79.66m/s ジュール:0.659J ※BATON airsoft バシコスバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温28度、[ ACETECH ] AC5000 弾速計にて測定 |
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BATON airsoft BT-PIT VIPER CO2GBB
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