東京マルイのMP5は1992年10月の発売から基本的に大きな設計変更をおこなわずに、このレビューを書いている2008年現在、実に16年ものロングセラーとなっている。
マルイのMP5は軽くてコンパクトなのでゲームでも扱いやすいが、その反面、プラ製モナカ構造のレシーバー、使い勝手の悪いホップアップレバーなど設計の古さによる問題点もある。
この点を解決するコンバージョンキットが台湾に拠点を置くメーカー、G&Gアーマメント社から発売されている。
G&Gお得意のマグネシウム合金製レシーバー、しかもこのレシーバーはワンピースで、コッキングハンドルに連動してエジェクションポートが開閉、ホップアップ調節レバーにアクセスできる。またアルミ製コッキングチューブやアウターバレルなど剛性面ではまったく問題ない。
しかしながら、組み込みはそう簡単にはいかなかった。その辺も合わせてレビューする。
G&G PM5コンバージョンキット。近くの模型店で国内の問屋に偶然在庫があったので取り寄せてもらい、販売価格は33,000円だった。
MP5じゃなく、PM5??、この辺は商標の問題ではないかと思われる。
ブルッガー&トーメ タイプのフォールディングストックが付属するA5を購入したので、ハンドガードはバッテリーを内蔵できる三面レール付のものだ。マガジンはゼンマイ給弾の多弾数が付属する。
組み込みマニュアルも写真付でわかりやすい。
マグネシウムレシーバー+アルミ製フロントチューブ+亜鉛ダイキャスト製フロントポストの合計重量は853g。
マルイ純正のプラフレームは436gなので、400g以上は重くなる。
組み込みに際しての最初の難関。
メカボックスの上部リブをすべて平らになるまで削る。これをやらないとボルトがメカボックス上部を滑らない。
削り取ったらメカボックスを分解し、内部に残った削り粉を綺麗に洗浄する。
まあ、メカボックスは柔らかい亜鉛ダイキャストなので大き目の金ヤスリでゴリゴリと1時間も削れば何とかなるだろう。
床に金ヤスリを据えてメカボックスを上から押さえつけるようにし、大根おろしのように削っていくと平らに早く削ることが出来る。
難関その2。
今回使用したのはMP5JのVer.2メカボックスだが、このメカボックスはスプリングガイドの後部にナットが入っていない。
左下の写真のようにリコイルスプリングガイドを固定するのにこのナットが必要になるので、メカボックスを分解し、スプリングガイドにナットを埋め込む。M4系のものを使用しても良い。
難関その3。メカボックスの上部3つのネジが純正のナベ頭だとボルトが後退する際に当たり、それ以上引けないので3×10のさらタッピングネジに交換する。
タッピングネジは先端が尖っているので、メカボックスの幅に合わせてカットする。
ネジの長さを調節して切断し、ネジの頭が沈む分の窪みをメカボックスにドリルで加工する。
この辺の加工が面倒な人はG&Gから組まれたメカボックスを一式購入しよう。
今回は分解するついでにシステマのサイレントヘッドセットを組み込んだ。
一体型のマグネシウムレシーバー。マルイのモナカレシーバーはマガジンを抜き差ししているとマガジンハウジング前面が開いてくるが、G&Gのは安心して使用できる。
左サイドのプレートも実銃同様リベット止めされている。
最近のG&Gオリジナルは刻印が入っていないのが惜しいところ。このPM5レシーバーもマガジンハウジング左側面にKal.9mmx19と入っていない。
(´ε`;)ウーン…もったいない。
マガジンのロックがわずかにかかりにくい。
コッキングハンドルを引くと連動して亜鉛ダイキャスト製のヘビーなボルトが後退する。
チャンバーから伸びたホップアップ調節用のレバーが見える。調節は楽で狂いにくい。
メカボックスが丸見えだが、やはり、MP5のボルトが後退するのは新鮮だ。
マガジンハウジング右側には刻印がないのがうれしい。
亜鉛ダイキャスト製のズシリと重量感のあるボルト。形状も実銃のものに近い。これだけで78gもある。
リコイルスプリングのストロークも長くで強いのでコッキングレバーを引くとまるで実銃のような感触が味わえる。
同梱のマグネシウム合金製、ローマウント。
G&Gブランドで単品でもショップでよく見かけるマウントだ。ショートタイプでレイルガイドナンバーのプリントは入っていない。
マルイ製レシーバーには上面リブにHK MP5、シリアルナンバー、プルーフ刻印が入っているが、G&Gのレシーバーはなにも入っていない。
オール金属製のフロント部分。レシーバーと強固に保持されており、ぐらつきはほとんどない。気になるのはフロントポスト部分がわずかにカタカタするところ。
コッキングチューブエンドキャップはスチール製。
コッキングチューブが金属製なので実銃同様にコックアンドロックされたノブを上から叩くようにカシャーンとリリースできる。MP5ファン待望のギミック。プラ製のマルイでは恐ろしくて出来ない。この動作は何度も試したが、今のところ破損の雰囲気は微塵も感じられない。
フロントサイトは亜鉛ダイキャスト製のポストにスチールのプレートサイトがインサートされている2ピース構造。
マズルカラーを外すと、M14逆ネジ使用となっているのでマルイと互換性がある。
各種サイレンサーが取り付け可能だ。
亜鉛ダイキャスト製のフラッシュハイダーが付属するが重いので取り外している。
A5のタクティカルハンドガード。
ミニバッテリーを内側側面に収納するために幅が広いが、デザインが秀逸でそれほど気にならない。
左右パーツのモナカだが、柔な感じはしない。
ただし、このハンドガード、どうにもラミネートパックのニッケル水素8.4Vバッテリーが納まらない。
どうやら8.4Vバッテリーのひとつだけ縦に並んでいるセルがアウターバレルに当たるようだ。
9.6Vの8セルだったら収まるかも。
8.4Vでいくつか違うものを試したがぴったりとフロントピン部分がはまらず、中途半端に取り付けることは出来たが、気持ちが悪いのでA4に変更することにした。
ハンドガードは実銃互換。
今回、A5からA4化するにあたり、実銃のハンドガードを入手した。
BMP5-11 MP5 Wide Forearm grip
もちろんマルイ製とは互換性がなく、ミニバッテリーも収納できない。
内部にある突起がレシーバー前端の筒状の淵に引っかかり固定される。
このハンドガードは長物のガスブローバックで有名なエスコート松山で11,600円で購入した。
実銃MP5用のハンドガード類が装着できるので、レールタイプやフラッシュライト付など、市場に商品が出回ればいろいろ楽しめそうだ。
リアサイトも金属製のドラムタイプ。ドラムを回転させてピープを変更するもの同じ。
なぜかこのドラムサイト、一周せず、4つのピープのうち2番目に大きいピープにあわすことが出来なかった。
A4フィクスドストック。
ラバーコーティングされたバットプレートを下方へスライドさせて取り外し、ラージバッテリーを収納するのはマルイと同じ。
A5キット購入後、ハンドガードにミニバッテリーがうまく収まらず、台湾のG&Gサポートにメールし、単品パーツとしてpaypalを使って購入した。
配線を後出しにしてラージバッテリーを収納するように変更した。MP5のメカボックスは後部にコネクタがあるので配線の切り替えは楽だ。
B&T社タイプのA5フォールディングストック。
A4のフィクスドストックと比べて1インチ(2.54cm)ほど長いので、小柄な人にはとり回ししにくいだろう。
頬当ての部分とバット部にはゴムが貼り付けてあり滑りにくい。根元の半円形のボタンを押して折りたたむ。
フォールディング、固定ストック共に、マルイ製とは互換性がないので注意。
A5のフォールディングストックを折りたたんだ状態。根元の樹脂の鍵爪でロックがかかるようになっている。
レシーバー後端の形状。
ここからボルトを滑り込ませ、グリップフレームに固定されたメカボックスを挿入する。
分解は簡単で、ストックピンとグリップフレームピンを外せばレシーバーとグリップフレームに収まったメカボックスに分解でき、チャンバーも簡単に取り外せる。
このレシーバー後端の形状がマルイと違う。
おそらく実銃と互換性があるのだと思う。
難関その4。
チャンバーのメカボックス側接面からT字になっている給弾口までの長さが、マルイ純正のチャンバーに比べて約1mm短い。
結果、ノズル先端が給弾口まででてしまい、BB弾が給弾されない。回避するためにチャンバーに下の写真のようなOリングをはめてストロークを稼いだ。
矢印のナットにネジロックを塗っておかないと射撃の振動で外れる場合があるので注意。
このチャンバー、機密性と精度にちょっと難があるのか、どうもパワーダウンを招く。当初84m/s程度のノーマルメカボックスをそのまま組んで見たところ、75m/s程度に落ちてしまった。そこでエンジェルの0.9Jスプリングとシステマのサイレントヘッドセット、シリンダーなどを組み込んだところ、86m/s程度に落ち着いた。
レシーバーを真後ろからみる。
チャンバーをガッチリと確実に固定するための亜鉛ダイキャスト製のチャンバーブロックがある。
A5の場合、レシーバーの内側の溝に配線を沿わせて取り回し、チャンバーブロックの右下の穴からフロントへ配線を通す。
セレクタープレートはマルイのものをそのまま使用。というか、ここまで取り替えるとなると分解するのが面倒だ。
最新のマルイMP5系のセレクタープレートはクリック感を出すために歪な形をしている。
マルイのセレクターパーツは水滴形。G&Gの付属セレクターパーツは真円型。マルイのセレクタープレートにG&Gのセレクターパーツを使用するとセフティがかからないのでマルイのものを使用する。
同様にセレクターもガタツキがなく使いやすいマルイ製を使用。
ただし、若干マイルのほうが径が太く、グリップフレームに対してキツめなので、フレーム側の穴を削って広げても良い。
グリップのネジ部分は真鍮インサートで耐久性が高くなっている。
MP5のグリップはつるつるしていて滑りやすいのでHOGUEのHANDALL、GLOCK用#17000ラバーグリップ(\2,100)を装着した。ちょっと太くなるが、グリップ感は最高だ。
G&Gのロゴの入ったグリップエンド。
モーターの保持調整は径の大きいスクリューでおこなうので調整しやすい。
ただし、射撃時の振動でネジが緩みやすいので、調整後にネジロック剤を少々つけて固定しておくと良い。
A4固定ストックにイーグルフォースRC1500SCTラージバッテリーを装備し、HOGUEのラバーグリップ、STAR製 95連プラマガジン、A4の実銃ハンドガード、付属のマグネシウムローマウントを装着した総重量は2775g。
ドットサイトをつけても3kg強だろう。
東京マルイのMP5A4がラージ込みで2100g程度だから、600g増ではあるがそれでも軽い。
ラージバッテリーをやめて大容量のニッケル水素ミニバッテリーに切り替えればさらに軽量化できる。
マルイのショートサイレンサー、バーティカルフロントグリップ、エイムポイントCOMPML2を装着してみる。ライトモジュールなどを搭載するのであれば、フロントにバッテリーをいれなくてもA5ハンドガードのほうが発展性がある。
今回、このPM5コンバージョンキットを組み込むに当たっては、ネット上にもまったく情報がなく、人柱となるべく、手探りで1ヶ月も要してしまったが、このレビューを読んでから組めばある程度はスムーズにセットアップできるだろう。
実際の使用感は剛性感、質感共に申し分ない。ちょっと重くなるがそれを上回る存在感がある。しばらくこいつがメインウエポンになりそうだ。