NORTHEAST ガスガン STEN MK.5
レポート:戸井源太郎
台湾のNorthEastというメーカーからWW2時の英軍の急増SMG、ステンの最終形、ステンMk5がガスブローバックで登場。現在、NorthEastはMK2、MK5、近くMK6発売予定とまだステン系のラインナップしかない新興メーカーです。さて、初めてのメーカー品ということで、その完成度はいかがなものか、早速レビューしてみましょう。
WW2初期、英仏軍はダンケルク撤退で多くの兵器が放棄され、ロンドン空襲被害などもあり、ステンはイギリス軍の起死回生の象徴とも言うべき戦時に急造されたサブマシンガン(SMG)です。とにかく簡単に大量に生産できるように設計されています。
このMK5は1944年に登場し、WW2後、スターリングSMGが登場する1953年まで現役でした。さらにMK5のサイレンサー一体型のMK6はSASなどに1960年代まで使われていたそうです。
ステンの発射方式はオープンボルト式で、弾薬は新規開発せず、ドイツ軍と共通の9mmパラベラム拳銃弾を使用します。
主要ボディパーツはメタル、グリップやストックはリアルウッドで、重量も実銃とほぼ同じ4Kg近くあります。全長は760mmとM4の10.5インチバレル並みとSMGなのに結構、長いです。
金属の質感と重量感、そして木製パーツによるアクセントと超リアルな外観の完成度です。そのリアルさから博物館に展示されているそうです。
パッケージに書かれている3行の文字はステンの名称の由来です。上の2行は設計技師の頭文字の「S」と「T」で、製作所であるエンフィールド造兵廠の「EN」から取り、S T ENと名付けられています。
パッケージサイズは56 x 32 x 8cmです。
実銃の無骨なスタイルを忠実に再現しています。フレーム中央に見えるボタンはセフティではなく、セレクターです。フル・セミで射撃が可能です。
実銃と同様、作動方式はオープンボルトです。コッキングハンドルで、ボルトが後退位置でスタンバイ状態です。引き金を引いて、ボルトが前進して発射します。
ボルト部分のアップです。エキストラクターも別パーツで再現されています。ボルトをオープンしてもホップの調整ダイヤルなどは見当たりません。ホップアップ調整については後述します。
ボルトが前進した状態でコッキングノブを押し込むことでボルトが固定されます。ボルトを引いた状態ではノブを押し込めません=セフティになりません。
コッキングハンドルはレストポジションにすることもできます。
マズルはハイダーなどないシンプルな造りです。フロントサイトはリーエンフィールド NO.4のフロントサイトを流用しており、左右の調整ができます。
リアサイトはピープ式です。割り切ったデザインで、いかにも簡略化と生産性重視という設計を感じられます。
MK2はライフルグリップに近い角度でしたが、MK5のグリップは木製になり、角度も垂直に近くなっています。MK2と違い握りやすく、構えやすいです。MK2はグリップといえるかどうかの代物で、握ると手が痛かったです。
オープンボルトのフルオート射撃はかなり反動があり、銃が上下に振られます。そのためにフォアグリップが追加され、コントロールしやすくなっています。フォアグリップも木製です。
マグウエルの上にある凹の形状のものがマガジンキャッチです。
前述したフレームにあるセレクターです。クロスボルト式で左面から「R」を押し込めばセミオート、右面から「A」を押し込めばフルオートになります。
ストックはMK2のパイプと板のバットプレートと違い、MK5はライフルストックを採用しています。
バットプレートは実銃と同様真鍮製で、ツールポケットもライブです。もちろん収納スペースもあります。
マガジンハウジング前方のレバーを引きながらマガジンハウジングをチェンバーごと真下に向けることができます。これは移動時やセフティを兼ねています。
マガジンハウジングを真下にした状態です。ハウジングをロックしていた穴からダイヤルらしきものが見えたので、これがホップ調整ダイヤルかと思いましたが、違いました。
ホップ調整ダイヤルにアクセスするにはバレルカバーごとバレルを外します。フォアグリップを反時計回りに回します。
ホップアップ調節ダイヤルはアウター基部にあります。ダイヤルは固めです。工具入らずといえ、ホップ調整は手間ですが、この銃が欲しい人は「外観壊さず」というのが嬉しいのではないでしょうか。インナーバレルは東京マルイGBBと互換性あるとのことです。
マガジンの外側も金属です。フロン134a対応のリキッドチャージ式マガジンで、重量は542gです。装弾数はリアルカウントの32発です。ただ既存のBBローダーではBB弾の装填がスムーズにいきません。専用のローダーが欲しいところです。
通常分解
ストックを外します。フレームエンドの中央の丸いボタンを押しながらストックを引き下げれば外せます。
ボルトエンドを30°ほど反時計回りに回すと簡単に分解できます。
ボルトを後退させ、レストポジションでコッキングノブを引き抜けば、ボルトを取り出せます。ボルトはアルミ製で169gと非常に軽くできています。
工具を使わずにここまで簡単に通常分解できます。ガスブローバックガンの醍醐味は実銃と同じようなメカで、実銃と同じように簡単に分解できることにあります。銃好きなら堪らないところです。
実射
さっそく室内で実射してみまた。
リコイルは思った以上にありました。フルオートでは結構、暴れます。かなりいい感じです。
室温20度で、マガジンも特に暖めもしませんでしたが、快調に動きます。初速も気温20度で平均77m/sと結構出ており夏なら80m/s超えそうです。
海外メーカーのガスブローバックでフロンガス仕様ということで、正直、不安もありましたが、いい意味で裏切られました。
今回は季節的に室内での射撃テストでしたが、特にトラブルもありませんでした。暖かくなったら屋外でも撃ってみようと思います。
BB弾の装填がやや難点なこと、ホップアップの調整がやりにくいなど思うところはありますが、なるべく外観を崩さず、リアルさを追求した結果なので、割り切りましょう。
総評
台湾で最近開業したメーカーで、その一作目がステンというのは渋すぎます。
外観はほぼ金属製で、重量も4kg近くあり、完成度や質感は忠実に再現どころか、実銃と見紛うばかりです。さらにガスブローバックガンはパーツ構成も実銃に近いので、リアルに通常分解できるのもファンには嬉しいところです。
そして実射も快調に動いただけでなく、予想以上のリコイルがきます。撃っていて非常に楽しかったです。
外観のリアル度、質感、実射性能ともに完璧です。価格は少し高めですが、十分納得できるクオリティです。コレクションアイテムとして、モデルガン的な楽しみ方、ヒストリカルゲーム、もちろんサバゲーでも楽しく遊べそうです。
スペック & 初速
全長 | 760mm |
重量 | 3,920g (空マガジン含む) |
銃身長 | 180mm (インナーバレル長) |
装弾数 | 32発 |
価格 | 74,580円(税込) (税抜き67,800円) |
発売日 | 2020年8月発売 |
動力源 | リキッドチャージガス HFC134a |
初速 | 最高:79.54m/s |
協力:NORTHEAST、成福
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