M2019 デッカード ブラスター 高木型 弐○壱九年式 爆砕拳銃 PART1
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レポート:トモ 長谷川
『名作に銘銃あり!!』アクション映画の名作には個性的な主人公が登場する。その傍らにはいつも魅力的な銃があった...。
映画に登場する武器...いわゆる“プロップガン”をピックアップする「シリーズ“HERO PROPs”」
最初に紹介するのは"M2019 BLASTER"!!
SF映画の大傑作『ブレードランナー』に登場する拳銃。
“デッカードブラスター”のモデルガン!
傑作SF映画“ブレードランナー”のプロップガン
『ブレードランナー』は近未来のロサンジェルスを舞台にした、SFハードボイルドアクションムーヴィーの金字塔。今なお世界中に熱狂的なファンを持つ名画として語り継がれてます。
トモも大好きな映画のひとつとして、熱烈に推し薦めている一本でありまして、書き出すとついつい長くなってしまいます。なので映画については後ほどにしまして、この名作に登場する拳銃が今回の主役です。
主人公“デッカード”刑事の愛用銃であることから、ファンの間では“デッカードブラスター”という通称でお馴染みです。そもそも、映画で使用される銃はそれぞれに人気があるものですが、この銃くらい一人歩きしているものは珍しく、伝説の多い一梃なのです。
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銃身に機関部が覆い被さったようなフォルム。それまでのSF映画とはまったく異なる鮮烈な印象。そして、その後の映画やコミックには、設定やストーリー、登場する銃など、『ブレードランナー』の影響を受けたと思われるモノが散見されます。日本でもアニメや戦隊モノには必ずと言っていいほど似たプロップが登場してきました。“デッカードブラスター”ほど多くのクリエイター達の潜在意識の深部に染み込み、影響を与えた一梃は他に無い! とトモは思います。
そして、公開当時は資料がほとんどなく細部が不明。映画パンフやビデオの粗い画面を見比べながら、銃のカタチを追求したものです。ファンメイドの手作りからガレージキット、モデルガンとして、“デッカードブラスター”は世界で様々に立体化されてきました。モデルごとに新たな情報と解釈が盛り込まれ、徐々にこの個性的な姿が明らかにされていったのです。
“デッカードブラスター”! 映画から離れこれほど熱狂的な支持を集めている銃は他に無いだろう。そんな幻の名銃をリアルに再現したモデルガン「エルフィンナイツプロジェクト」“M2019ブラスター”。
価格 69,800円(税別)。残念ながらすでに絶版。2017年の映画最新作の公開に向け、再販が大いに期待される! 問い合わせ先:エルフィンナイツプロジェクト
エルフィンナイツプロジェクト/M2019 BLASTER
数ある“デッカードブラスター”作品の中でも、モデルガンとして決定版的一梃が、今回紹介する「エルフィンナイツプロジェクト」製の“M2019ブラスター”です!!
製作者は高木亮介氏。映画『ブレードランナー』公開当初からブラスターの再現に取り組んでこられた御方。これまで“M2019ブラスター”を含め、10作品を手がけてきたパイオニアにしてオーソリティな人です。トモが所有しているデッカードブラスターの半数以上がじつに高木さんの作品です。専門誌で高木さんの記事を拝見することもあり、トモには憧れの存在でした。
今でこそ情報に恵まれてますが、映画公開時はインターネットがまだ無かった時代。映画雑誌の記事写真や数少ない出版物、ビデオだけが頼りでした。高木さんは印刷の網版やビデオの粗い画像に眼を細めて観察、脳内で補間処理をする……形状の謎解きを繰り返してきたのです。
リアルな設定の工業製品として創るか? 映画プロップそのものを再現するか? 観点の設定ポイントと、絶妙なアレンジが素晴らしい。
当初ベースガンとして指摘されていたのはスタイヤーライフルのマガジンハウジングだけで、ブルドッグがベースと周知されたのは後のこと。投げ捨てプロップのコピーを手にされた髙木さんも当初はサムピースの形状からブルドッグかチーフスかで悩まれたそうです。
情報の破片を拾い集め、解らないところは想像する地道な製作作業。粗い粒子のベールに包まれていた幻のプロップをカタチにする上で、高木さんは作品ごとに新たな解釈を加え、霧が晴れるように凜々しい姿へと進化させました。なかでも“投げ捨てプロップ”と呼ばれる、映画撮影用ラバーモデルを複製した無可動モデルによって形状の細部が判明したそうです。
1981年、映画「ブレードランナー」を撮影する際に用意されたプロップ。その外観的な特徴を再現しながら、トイガンとして発火させてシッカリ遊べる……。製作者である高木氏の好みが反映された記しとして、「高木型 弐○壱九年式 爆砕拳銃」という和名が冠されている。「“南部十四年式”のような漢字名にしたかった」という想いがあったそうだ。
2006年、映画に使われた実物プロップがワールドコンベンション(World Science Fiction Convention 2006)に展示され、写真をもとに完成度を飛躍的に高めたといいます。
2009年、実物プロップがオークションに出品された際、高木さんはアメリカでブラスター取材を敢行。さらに、アメリカで実銃のブルドッグとスタイヤーライフルを購入した『ブレードランナー』マニアの“M”氏の協力で、実銃を完全分解して採寸を敢行。高木さんの手元に究極の資料が揃ったわけです。
この後に、「留之助商店」から“デッカードブラスター”のモデルガンが発売! センセーショナルでした。このときから高木さんには「ガレージキットではなくモデルガンとしてブラスターを製作したい」という想いが高まっていったのです!
モデルガン化を模索するも、設計や金型など、製作には莫大な費用が必要で、実現不可能に思えました。ところが、情熱的に行動する高木さんに、協力を惜しまない人が現れます。「モデルワークスグレネード」設計、「クラフトアップルワークス」金型製作と、モデルガン界の実力者の支援を授かりながら、高木さんの熱い想いが現実したのでした。
スタイヤー製ライフルのレシーバーとマガジンハウジング。実銃から採寸しリアルに再現。使用するネジは全てインチネジという凝った仕様。
透明樹脂で手作り感タップリのリアルな仕上げ。
レシーバーとマガジンハウジング、シリンダーカバーなどが、仕上げを違えて表現される。
ボルトが実銃同様に操作可能。
ファイアリングピンがボルトに連動。銃身とマガジンハウジングを固定するパイプもしっかり再現。
高木型 弐○壱九年式 爆砕拳銃
“M2019ブラスター”として、ついに金型による“モデルガン”が製品化。細部まで見事な作り。しかも、ただリアルなだけじゃないんです。数々の情報に高木さん独自の解釈でアレンジが加わる事で、劇中プロップガンののリアルさと存在感が高められているのです! “勘”と言えばいいでしょうか。長年携わってきたからこそ培われた感性なのだと思います。
各部のちょっとしたアールや面構成など、細部の仕上げは製作者によって解釈が異なります。正解の無い世界。そのため、あえて「TAKAGI TYPE(高木型)」と付加されています。
マガジンも実銃取材で完全再現。左側面の小さいネジ2本で固定するなど、劇中プロップをリアルに踏襲。
マガジン内に電池を収納し、赤いLEDが発光。4LR44 6Vというレアなバッテリーを使うのも、実物プロップどおりの凝った仕様。
3vのCR1/3Nなら2個、LR44なら4個で使用可能。丸めたアルミホイルを接点部分に配して接続(写真参照)。
“小道具”か?! “ヒーロープロップ”か?!
高木さんが“ブラスター”のモデルガンを製作するにあたり、まずは1981年の映画製作当時に小道具として作られた、実物を再現する事を目標にしました。
しかし、映画に用いられた物は実銃パーツの寄せ集め。フレイムやバレルが曲がっていたりするわけで、これを修繕した姿……つまり、劇中の2019年時に量産品として実存しているであろう姿を仮定して製品化するというコンセプトへ転換。
さらに、プロップをそのまま再現すると、パーツ同士の剛性が不充分で壊れやすくなってしまいます。そのため高木さんはモデルガンとして“発火”して愉しめる充分な強度が持たせられるよう、各パーツの組み合わせを工夫したといいます。実銃とトイガンでは、素材も作動原理も異なります。リアルさだけでなく、製品化するときの高度なアレンジ力が必要不可欠です!
ブラスターには5発のモデルガンカートリッジが付属。チャーターアームズ社のブルドッグが5発装弾だからだ。
シリンダーストップを押し込むとシリンダーが開く。カートリッジを装填された光景はモデルガンならではの愉しみだ。
カートリッジはMGキャップ2個装填。空薬莢として愉しめるようディザインされている。ガンマニア魂を刺激する配慮が散りばめられている。
ブレット側と薬莢側の内部に、それぞれMGキャップを付属ローダーで装填。リムにピンをセットし、弾頭側をねじ込んで結合。このとき、ピンが長くて細い方をリム側に向けてセットすること。
パワフルな擊発音とマズルフラッシュが安全に愉しめる。
デッカードブラスターを長年追求して来られた高木亮介さん。造形作家として多数の作品をプロデュース。ブラックホールなど各種良いヴェントに出展なさっているので、ぜひお話しを伺ってみてください。ところで、この衣装とポーズが何なのか? 答えは映画をご覧くださ〜い。
シリンダーにはインサートが設けられ、モデルガンとしての安全性を確保。ダミーカートリッジを装填すれば、シリンダーから弾頭が見えてリアル。
「フルメタルジャケットブレット(左)/5発セット5,000円」.44スペシャル弾を再現したダミーカートリッジも用意。ブレットを抜き取ればシリンダーに装填可能。
「キャストブレット(右)/5発セット5,000円」こちらはブレットを抜き取らなくても装填可能。
TAKAGI TYPE M2019 BLASTER パート2へ続く
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