LCT AIRSOFT 電動ガン G3A3 (LC-3A3-S)
レポート:戸井 源太郎
リアルなAKシリーズの電動ガンで有名なLCTからドイツの銘銃、G3A3の電動ガンが発売されました。
今回はトイガンショップ、AIRSOFT97さんから商品をお借りすることができましたので、早速、レビューしたいと思います。
G3は第2次世界大戦後、連合国に東西に分割され誕生したドイツ連邦共和国、すなわち西ドイツ軍の制式小銃です。
大戦後東西冷戦が始まり、西ドイツは、東側陣営との最前線ということもあり、再軍備、特に最新小銃の配備が早急に求められていました。
そこで目をつけたのが、大戦後スペインのセトメ社(CETME)にいた元モーゼル社の技術者たちが設計したセトメ モデロA1でした。他にもFALがG1として、SG510がG2として候補に挙がっていましたが諸事情により断念。NATO軍共通の7.62X51mm弾仕様にしたセトメモデロA2をベースにHKが改良し1959年にG3として採用されました。
ちなみにG3とはドイツ語で「Gewehr 3(drei)」、“3号小銃”という意味です。
G3の作動方式はガス圧式ではなく、ローラーロッキングによるディレイドブローバック方式になります。この方式はシンプルな構造で堅牢、クリーニングも容易、そして反動も少なく精度が良いなどのメリットがあります。反面、ガス圧式と違いレギュレーターで弾種により容易に適正なガス圧を調整できない。つまり弾を選ぶといったデメリットもあります。
しかし製造も容易で堅牢、そして精度もよいため、ドイツの他、ポルトガル、ギリシャ、デンマーク、ノルウェー、トルコや中東・アフリカ諸国など40ヵ国以上で採用されました。一部の国では現在も現役です。
このG3のメカニズムやデザインは、その後のHK社製品、5.56mm弾のHK33や9mm弾のMP5シリーズにも受け継がれ、軍用銃の一大シェアを築いたといえるでしょう。
その材質もあってか、重量が約4.5kgと、ほぼリアルウェイトを実現しています。そしてオイル、鉄の匂いまでします。リアルな実銃の雰囲気がありありと伝わってきます。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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パーツリスト |
LCTのロゴとG3の線画がデザインされたパッケージ。サイズは1,140 X 265 X 85mmと長いです。内部はブリスターで銃が保護されています。
同梱物はA3サイズを4つ折りにした取説、LCTのカタログ、弾速証明書になります。他に針金のロッドのようなものが入っていましたが、これがなんなのか取説にも明記されておらず不明です。
1950年代末にレシーバーの形状、セレクターやマグキャッチなどHKスタイルが完成していました。
そしてこの黒鉄の質感がわかるでしょうか?
セレクターは右親指で操作できるはずですが、私は指が短くて……スムーズにはいきません。
セレクターの可動はクリック感はありますが、少し固めというか動きが渋いです。そのため誤作動は起こらないでしょう。
セレクターの表示のS, E, Fはドイツ語で“安全(Sicher)”“単射(Einzelfeuer)”“全自動射撃(unbegrenzter Feuerstoß)”の頭文字です。
レシーバー右側のセレクター表示はダミーでセレクターと連動して可動はしません。
トリガーもガードもスチール製です。トリガーはコの字型にプレスされ、面取りもしてあるので、感触はいいです。
トリガープルは少し遊びが多いように感じましたが、適度な抵抗があり、よい感触です。ふにゃふにゃ感はありません。
グリップは樹脂製です。サムレスト付きで、一応フィンガーチャンネルもあります。
マガジンキャッチはAKのようなレバーを操作してもよいし、レシーバー右側にあるボタンを押してもマガジンを着脱できます。
バードケージタイプのフラッシュハイダーを装着。ハイダーは逆ネジで取り外しできます。そしてハイダーもアウターバレルもスチール製です。
ハンドガードは樹脂製で薄く、スリムです。軍用のG3といえば、このハンドガードになります。ちなみに東京マルイのG3系電動ガンのハンドガードは民間用のHK91がモデルとなっています。
ホップはエジェクションポート内にドラム式が搭載されています。ちょっと固いですがクリック感もあります。
コッキングハンドルは左側にあります。コックすればエジェクションポートが開きます。コッキングハンドルをロックすることも実銃同様に行えます。ただ銃が長いのでコッキングハンドルが遠いです。
円形のガードに囲まれたフロントサイト。このデザインはHKの銃に受け継がれています。
フロントサイトブロックにはスリングスイベルが標準装備されています。
HKといえば、このドラム式のリアサイトでしょう。もちろん回転し、4種から選択できます。
ドラムを90度回転させることで4種のサイトを選べますが、上の2種は私には違いが判りませんでした...。
ストックは樹脂製の固定になります。最近の伸縮ストックに慣れていると非常に長く感じます。
バッテリーはストック内に収納します。バットプレートの板バネとストック内の2ヵ所のピンのテンションで止まっているだけです。そのまま引っ張れば取り外せます。しっかり止まっているので脱落することもなさそうです。バッテリーは2本のピンの間にラージタイプも収納できそうな広さです。
マガジンはノーマルタイプで装弾数は140発になります。複雑なリブ形状も完全再現しています。もちろんマガジンのカバーはスチール製です。重量は約250gです。
マガジンはAKのように先にマガジン前部をレシーバーに引っ掛けて装着します。マガジンとレシーバー内にあるフックを引っ掛けます。
LCTのG3は実銃同様にピンを抜くだけで、各部を分解できるようになっています。手順は取説に写真付きで丁寧に解説してあります。
アウターバレル基部もレシーバーとがっちり取り付けられており、軋むことはありません。
プレスで、リブなども完全再現。ただマウント装着用のリブに他社のG3用マウントが着くのは不明です。
レシーバー部の各所に溶接痕も再現してあるというか、実銃とほぼ同じ工程で作られているのではないでしょうか。
実射テスト
実射テストでは、いつもと同様、東京マルイのベアリングバイオBB0.2gを用意。距離は30mと40mで行いました。
ターゲットは直径18cmの丸プレートとA3サイズ(29.7cmx42cm)でヘッドとボディを模したスチールプレートになります。
まずは30mで射撃テストを行いました。
この距離では0.2gBB弾で、ボディにほぼ命中させることができました。この距離ならヘッドショットも可能でしょう。
次に0.2gBB弾、40mで射撃テストを行いました。
ただ、この個体のみなのか、ホップ調整が最大でも0.2gで40m先のターゲットに山なりに飛んでいく程度しか掛かりません。
精度としては40mでボディに当たる集弾性がありそうですが、チャンバー周りの調整は必要そうです。
0.25gBB弾では適正にホップが掛かりませんでしたので、テストは断念しました。
射撃していて感じたのは、銃が重いため、ピストンが動くことによるわずかなリコイルもなくトリガーを引いたら弾が発射されるという印象でした。そのため安定して撃てますが、長時間同じ構えでいるのは辛いですね。
また飛距離はホップが適正ならば、45m付近までは飛びそうな印象です。
スタンダードの電動ガンの精度としては及第点には達していると思います。ホップチャンバーを調整すれば充分サバゲーでも使えると思います。
実射テストで500発ほど撃ちましたが、トラブルはなく、信頼性も問題ないでしょう。
総評
主要部分のほとんどがスチールで構成されており、その鈍い鋼色のボディの質感は最高レベルと言えます。
また銃から漂うオイルと鉄の匂い、そして手にすると1本の金棒のように感じる剛性の高さ。そしてほぼリアルウェイトと、これぞ本物のライフルだ! という感触が味わえます。
実射テストではホップの掛かり具合以外は、性能、精度、装弾数ともに問題なく、信頼性も高いといえます。
正直、個人的には重いと感じますが、むしろそこがLCT G3の大きな魅力でもあります。
価格もこの外観のクオリティと性能なら妥当なところでしょう。
ただし、マルイの最新電動ガンと命中精度を比べてしまうと少々及ばないように思います。戦い次第では充分対抗できますが、遠距離からのピンポイントでの撃ち合いでは正直、撃ち負けそうです。
ホップチャンバーと初速調整も含めて、もう少し精度を上げたいと思う場合は、今回、商品をお借りしたAIRSOFT97でカスタムをしてもらうのがよいでしょう。
AIRSOFT97では電動ガンの初期調整メニュー(LCT G3は6000円~)を含め、予算に応じて、各種カスタムメニューがあるので、自分の好み、用途に応じて選べるのが嬉しいですね。
銃本体の完成度が高いだけに、愛でるだけではもったいない。それに見合った性能、精度にカスタムすれば、さらにこのLCT G3の愛着が高まると思います。
冷戦時代、東西の境界線に位置していた西ドイツの銘銃のG3は、AK47とライバルといってよいでしょう。いつ第3次世界大戦が始まるかと緊張していた時代、そしてサバゲー黎明期から楽しんでいた方、ローデシア傭兵好きには、このLCTのG3は新しく、それでいて懐かしいと思える1丁だと思います。少なくても私にはグっときた1丁でした。
協力:AIRSOFT97、ビレッジ2
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