KJ WORKS ガスガン CZ P-09 DUTY
レポート:戸井源太郎
KJ WORKSからリリースされているガスブローバックガン、CZ P-09 DUTYを紹介します。
実はKJ WORKSは、過去にタニオ・コバをはじめ、日本のトイガンメーカーの下請け企業でしたが、今はメーカーとして独立しています。
しかし海外製のハンドガンというと、フルメタルであったり、パワーソースもプロパンやCO2だったりで、日本と仕様が違うため、輸入できないモノや日本仕様のモノでもフロン134aではまともに動かないなど問題がありました。
そこで日本のハッチという会社がKJ WORKS製品のスライドをプラ製にし、作動メカもフロン134a用に改修し、箱や取説も日本語表記で保証書まで完備した完全日本仕様として発売しています。
またガン本体についてもKJ WORKSではCZと正式ライセンスを取得しており、形状、刻印とリアル仕様となっていて、期待が高まります。
現在、KJ WORKSはこの他に同様の日本仕様でハイキャパとM9が発売されています。
チェコ兵器廠国有会社(チェスカー・ズブロヨフカ)、略してCZ。特に有名な拳銃はCZ75です。
漫画「ガンスミスキャッツ」などにも登場するなど、日本にはCZ75ファンが非常に多いのです。
その銘銃の遺伝子を受け継ぎ、2014年に発売されたばかりの最新ハンドガンがP-09 DUTYです。
今流行りのポリマーフレームを採用し、新型トリガーメカ「オメガシステム」を搭載しており、各国の特殊部隊や法執行機関から注目を浴びています。
口径は9mmで装弾数は19発。また.40SW用もあるようです。
KJ WORKS ガスガン CZ P-09 DUTY スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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パーツリスト |
台湾のKJ WORKS製ですが、パワーも日本国内対応で、フロン134a用と完全に日本仕様となっています。さらにパッケージも日本語表記されており、海外製品とは気づかないかもしれませんね。
同封されている取説も完全に日本語表記となっています。また保証書も同封されているので、アフターサービスなども受けられます。ここは重要です。
ポリマーフレームを採用し、HKやXDのような現用ハンドガンにみられるゴツゴツ感がありつつも、薄いスライド、グリップ形状とCZらしい特徴がみられます。
CZのライセンスを取得しているため、刻印やマークも実銃同様に再現しています。また両手で構えたときに左親指がつくところにステッピングが施されており、ホールド感も良好です。
迫力あるマズル周り。スライド前部は斜めにカットされおり、セレーション加工も施されております。ただし斜めなのでスライドの前方は持つのではなく、上から覆うように操作するのがよいと思います。
現代銃らしく、フレーム下部にはピカティニー規格のアンダーマウントレールを標準装備しています。
ローライトコンディションでの戦闘には必須装備のタクティカルライトの装着が可能です。
グリップは握ってみると思った以上に薄く、手にしっくりきます。ちょうどワルサーP99やXD-Mのような感触です。
実銃ではグリップパネルが交換できるそうですが、KJでは装着されているもののみのようです。
またマガジンキャッチは右用のみです。
薄く幅広いスライドストップレバーとセフティ、レッドドットはいかにもCZの特徴といえる箇所です。
トリガーメカはシングル/ダブルアクション両方可能。セフティはコック&ロックです。ハンマーダウン時ではセフティは掛かりません。またデコッキング機能はありません。
セフティはアンビ仕様となっています。
最近はハンマー内蔵のストライカー方式のすっきりしたデザインが増えてきたので、P-09は逆に新鮮にみえます。
コック&ロックが可能で、ビーバーテイルを装備したリア部の佇まいは、ガバ系を彷彿とさせ、まさにプロ用のツールという雰囲気が漂ってきます。
サイトはシンプルなホワイトドット仕様です。ホワイトドットは非常に綺麗な仕上げで塗装のように見えますが、白いプラ棒が埋め込まれています。
実銃では、トリガーシステムを簡素化した「オメガシステム」を搭載しているようですが、ガスガンではどうなのかよくわかりません。
左はダブルアクション時のトリガー位置です。遊びはほとんどなく、一気に引く感じです。トリガープルは東京マルイのSIG P226と同じくらいの感触でした。
右のシングルアクションではかなり遊びがあり、ハンマーが落ちるまで遠い感じがしますし、ここでハンマーが落ちるという感触がわかりにくいです。これはトリガーを軽くするためにその分、ストロークが長くなるという現用ハンドガンに多くみられる傾向なのですが、ガバ系になれているとトリガーのムニュムニュ感に違和感があります。ま、サバゲの時はそんなこと関係なしに撃ちまくるのであまり関係はありませんけどね。
マガジン装弾数は25発。マガジン上部からBBローダーを使用しても、フォローワーを下げてもBB弾を装填できます。マガジン重量は約350gです。バルブも東京マルイのような形状をしています。マガジンリップもプラ製の別パーツになっています。
フィールドストリップ(通常分解)はまず、マガジンを抜いて、フレームとスライドにあるラインを合わせます。
スライドストップを抜けば、スライドを前から取り外せます。
あとはリコイルスプリングを抜いて、アウターバレルを抜き出します。
工具を使わずにここまで可能です。通常のメンテナンスはここまででOKです。
可変ホップアップはチェンバー下部のスクリューをマイナスドライバーなどで調整します。時計回りでホップアップが強くなります。このスクリューは指でも操作は可能ですが微妙な調整は難しいかもしれません。
プラ製スライドの弱点に対処していて嬉しい配慮ですね。
このP-09にはハンマースプリングが2種類同封されています。左の長いスプリングは夏用、右の短いスプリングは気温が低い冬用です。寒い時期にでも作動するよう、細かい配慮が行き届いています。
ハンマースプリングの交換は、グリップパネル下にあるピンを抜きます。
ピンを抜けばランヤードリングとハンマースプリングが取り出せます。
外すときにスプリングを飛ばさないように注意してください。
今回は、元警察官(警察本部 警備部 機動戦術部隊所属)の田村装備開発の田村さんにモデルと実際に試射をしていただきました。
箱出しの状態で撃ってみると、5m、7mだと12cmプレートによく当たっていました。集弾性も5mでだいたい7cm程度に集弾していました。
気温20度でブローバックも快調作動です。リコイルも結構激しく感じます。
なかなかの高性能ではないかと思います。ただ個体差かもしれませんが、全体的に左に弾が逸れる傾向にあり、7発に1発くらいの割合でフライヤーが発生していました。
実射して、判ったその他の問題を何点か挙げていきます。
まずホップの調整が非常にシビアで、適正ホップを出すのに非常に苦労しました。
フラットな弾道も25mくらいが限界のような感じがします。その手前でストンと落ちるか、鬼ホップのどちらかになります。おいしいところが少ない感じがしました。
そして全体的にホップが掛かりすぎのような印象で7mくらいでもBB弾が浮いてきます。
またホップを最小にした時に、なぜかスライドが引けなくなりました。
ホップを最弱にするとチャンバー上部にイモネジのような突起が出てきて、それがアウターバレルを押し上げ、スライドに引っ掛かるのではないかと思います。
ホップをかければ、問題なくスライドは動きました。
マガジンのガス注入時に生ガスが結構溢れます。しっかりとガスが入っているのか不安になりますが、問題なく入っているようです。ただしガスの無駄が多くなるのが難点です。
また1度だけ、ガスを入れ過ぎたのか、放出バルブが叩けないことがありました。
ガスを一度放出したら問題ありませんでしたが、かなりバルブが固く、放出するのにも苦労しました。
少々問題がありましたが、外観、作動性、精度、初速の安定性、コストパフォーマンスなど私個人の見解で総合的に評価させていただくと、多少の問題はあるにしてもサバゲには十分な性能を有していると思います。
海外製のガスガンを完全日本向けに仕様変更し、冬用のハンマースプリング付属、しかも低価格ということで、日本のメーカーにとってはかなり手強いライバルと言えるのではないでしょうか。
今後、チェンバーパッキンと注入バルブを改良してきたら、さらに信頼度が増すと思います。
そんな可能性を感じさせるKJ WORKSのCZ P-09 DUTYでした。
協力:田村装備開発、S & Graf
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