SCAR-L PDW 次世代電動ガン FIRST カスタムガン
PDW(ピーディーダブリュー)とは「Personal Defense Weapon:パーソナル・ディフェンス・ウェポン=個人防御用火器」の頭文字を取った略語である。「小型で携帯性・収納性に優れながらも有効射程200m以上の性能を有する銃器」を意味し、その基本コンセプトが生まれたのは朝鮮戦争末期〜ヴェトナム戦争前期の頃だと言われている。戦場の空をジェット戦闘機やジェット攻撃機が飛び交う時代に入り、パイロットたちが前線よりも遥か深奥に侵入するようになった結果、撃墜された場合等に敵地で長時間孤立してしまうリスクが高まった。そこでできるだけ長く脅威を遠ざけておくための「個人防御用火器=PDW」の火力を、従来の拳銃から大幅に発展・充実させよう、という発想が生まれたのだ。
敵地のど真ん中に脱出降下したパイロットを追跡してくる敵兵は、当然アサルトライフル等を装備している。これに対抗し得る火力としては、こちらも有効射程200m以上を想定する必要があった。しかし狭いコックピットにコンパクト収納するためには小型・軽量な銃でなければならない。当初はM1、M2カービンを切り詰めたモデルやM3グリースガンが使われ、また分解した銃本体をストック内に収納する軽量ライフル「AR-7」等も検討されたが弾薬の威力不足は如何ともし難かった。因みに後のM16やM4に繋がる「AR-15」も、将来的にはPDWとして使用される事を念頭に、弾薬や銃本体の軽量化・短縮化を目指す中から生まれたライフルなのである。
「PDW」という言葉が専門誌等で頻繁に登場するようになったのは、「FN P90(5.7×28mm弾)」や現在では「H&K MP7(4.6×30mm弾)」に発展した「次世代型の特殊な小口径高速弾を撃ち出す銃」が脚光を浴び出した1990年頃からだ。これらの銃は収納時・携帯時はちょっと大型のハンドガン程度のスペースしか必要とせず、しかしイザ射撃するとなるとしっかりと肩付けして構えることが出来、200m先の上半身大標的にも命中弾を送り込め、殺傷力も高いのだ。
PDWならではのこうした特徴は「航空機パイロットの緊急避難対応」のみならず、近接戦闘が想定される「市街地での警護任務」や、「船舶・建物等の捜索任務」にも適している事が注目され、特殊部隊の活動にも多用されるようになった。その結果、「PDW」という言葉が持つイメージや意味合いも時代と共に変化しつつ現在に至っている。
新弾薬の開発、あるいは作動メカニズムの改修・改良もあって、近年ではアサルトライフルをベースに全長の短縮を図りPDWサイズに収めたモデルも世界的に流行している。今回ファースト・カスタムが7年振りのリニューアル制作を開始した「SCAR-L PDW」の元ネタは、2010年にワシントンD.C.で開催された「ASUA 2010 Annual Meeting & Exposition」において、FN社が展示した「SCAR PDW」である。元々FN SCARにはピストン&ロッド式の作動メカニズムが採用されており、さらに銃身から取り入れる発射ガスの流量を調節するためのアジャスター・バルブも標準装備されている事から、ガス直噴式のAR系ライフルよりも短銃身化のカスタマイズに向いているのだ。
このSCAR PDWのコンセプトはその後2017年SHOT SHOW発表のSCAR-SC(Sub Carbine)にも受け継がれている。
それではFIRSTカスタムのSCAR PDWをみていこう。今回発売されたSCAR-L PDWのカラーはFDEとブラックの二色。
スペック & 初速データ | |||||||||||||||||||||||||
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※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温11.5度、湿度48.0%、10発、X3200 Mk3にて測定。 |
東京マルイの次世代電動ガンをベースにしたFIRSTオリジナルのカスタムモデル。超ショート版のアッパーレシーバーは、マルイのそれをカットしたのではなく、CNC切削加工でリアルに新規制作され再現されたFIRSTの製作パーツだということに驚く。もちろんピカティニーレールのピッチも美しく刻まれている。
ファーストでは2011年にこのカスタムの第1弾を制作・販売し、大好評のうちにめでたく完売となった。そして昨今のCQB型フィールド隆盛を受け、2018年12月21日、じつに7年振りで待望の復活!
前作ではノーマルからカットして再現していたアウターバレルも今回からは完全新規制作のオリジナルパーツとなり、更なるグレードUPが図られている。
ストックを延ばしても全長は僅か650mm。標準的なMP5とほぼ同等の取り回しを実現している。多くの家屋等で標準的な幅約90cmのドアウェイも、使いやすい長さにストックを調整した状態で銃を構えたまま楽々クリア。
フルサイズ14.5インチ銃身のSCAR-Lだと一瞬銃口を下げるか上げるかしなければならない。スムーズかつ素速い身体さばきが要求されるCQBシチュエーションでのこの差は大きい。
SCAR-LとSCAR-L PDWの大きさ比較。
PDWのショート版アッパーレシーバー(下)にはチャージングハンドル前方のスリットが無く、これがファースト・オリジナル設計のパーツである事を雄弁に物語る。FDE(フラットダークアース)のアルマイト色調やレーザープリントの文字等も東京マルイSCAR-Lとは異なるのもオリジナルテイスト抜群だ。
フォールディングストックを折り畳めば全長はたった458mm!
小さな窓越しの撃ち合い等で、この機動力はモノを言うハズ!
ここでは遠慮なくフルオートでブチかます!
横から見たシルエットはMP5Kとほぼ変わらず、街歩き用の小型バックパックにもスッポリと収まる。スナイパーライフルや長尺アサルトライフルのサブウェポンとして携帯するのも苦にならないサイズといえる。
車の助手席から肩付けで応戦できる事から、VIP警護任務等にも有効とされるPDW。CQBフィールドでの使い勝手も抜群だ。ちなみに東京サバゲパークのシューティングレンジで実射した感想だが、15m先の15cmプレートと30m先のA4サイズ標的なら全く外す気がしなかった。もちろん、ベースとなった東京マルイ次世代電動ガンの基本性能が高い、という事でもあるのだが。
相手からのシルエットを極限まで抑えた「モディファイドプローン」の構えにも瞬時に入れ、すぐさま別の態勢に移行もできる取り回しの良さ! これぞ超ショートカービン=PDWの醍醐味だ。既に東京マルイSCAR-LまたはSCAR-L CQC等を持っている人は、最寄りのFIRST店舗に愛銃を持ち込むか送る事でSCAR-L PDWに変身させる事もできる。製作期間は「約2週間」との事。
初速平均は平均88m/sで、最高~最低初速の幅がなんと1m/sという数値に収まった。この安定度は素晴らしい!! インナーバレル長は208mmに切り詰められているがかえってトータルバランスは向上している感すらある。コンパクトな銃なのにフィールド全域をカバーした援護射撃や狙撃にも使える実射性能!
内部パーツの基本仕様はノーマルだが、注文時にトリガーカスタムやメカボックスチューンを同時に依頼することもできる。
SCAR-L PDWにオススメのオプションは? と東京サバゲパークのスタッフさんに問い合わせたところ、「ACETECHのトレーサーがイチ押しです!」との事。確かに全長のコンパクトさも損なわず、銃口部の造形もカッコ良く、低照度下のインドアゲームやCQBで抜群の相性だ。
その軽量さとコンパクトさでタクトレフィールドでも使い勝手抜群だったSCAR-L PDW。
サバゲーフィールドでSCAR-L PDWを使ってみた感想としては、やはり大胆に短くされたフロントが軽快な機動力を生み出し、入り組んだCQBフィールドでもグイグイとスピーディにクリアできるのが良い。
気になるところを挙げるとするならば、ストックだろうか。SCAR純正のフォールディングは折りたためるのが良い点だが、やはりAR系のストックを使用したいというユーザーもいるだろう。流行のPDWストックが付けられればさらに実銃のSCAR PDWに近づく。ただ、バッテリー配線を上手く処理する必要はあるだろう。
SCARというと大きくてもっさりとしたイメージがあったのだが、この圧倒的な取り回し性能は、もはやノーマルSCAR-Lとは全くの別物と言っても良いだろう。
オリジナルレシーバーの作り込みもとても丁寧で好感が持てる。所有欲をくすぐる一丁だ。
協力:FIRST、東京サバゲパーク
商品WEBサイトはこちら:FIRST CUSTOM SCAR-L PDW
FIRSTさんから素敵な特典も頂きました。SCAR-L PDW購入時、店頭でスタッフに「ハイパー道楽を見た」と伝えると人気ブランドのBB弾を1袋プレゼント!! 2019年3月末までなのでお早めに!!
上記サービスを受けられるのは以下の4店舗。
大阪本店
TEL 06-6745-3331(12:00~22:00)
〒577-0012 大阪府東大阪市長田東5-1-3
東京アメ横店
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