2020年4月17日(金)より新宿バルト9にて全国ロードショー
ベトナム戦争映画『デンジャー・クロース 極限着弾』紹介!!
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これは、ベトナム戦争中オーストラリア軍108名が南ベトナムの農園地帯“ロングタン”で南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)軍約2,000名を相手に戦った「ロングタンの戦い」を壮絶に描く、史実を基にした本格戦争映画だ。
この戦いは、オーストラリア軍戦死者18名、負傷者24名というベトナム戦史上、1日の損失で最大の戦いであったのにも関わらず、その功績を称えられることがなく50年もの間埋もれてしまっていた。デンジャー・クロース(味方にも砲撃が届くほどの超至近距離への極限着弾)を基地に要請するほど緊迫した3時間半にわたる壮絶な戦いを再現することで、泥沼化したベトナム戦争の真の姿が浮き彫りになる。
オーストラリアは、第二次世界大戦後北大西洋条約機構(NATO)の発足により、アジア・オセアニア地区でのNATOに対抗する組織が必要だとして、オーストラリア・ニュージーランド・アメリカ合衆国の3国による軍事同盟(太平洋安全保障条約)を1951年9月に発足させた。そのことにより、オーストラリア・ニュージーランド両軍は、アメリカ合衆国の大義を掲げた戦争へ参加することになる。ベトナム戦争では、オーストラリア軍兵士延べ5万人が配置され、約450人が戦死、約2,400人が負傷した。オーストラリア軍の有能な指揮官とチームワーク(マイトシップ)が、このロングタンの壮絶な死闘の勝利を可能にしたのである。
監督は、映画・TV・CM・ミュージックビデオ等で幅広く活躍するオーストラリアで最も活躍するクリフ・ステンダーズ。D中隊長を演じる主役に、『荒野にて』(17)などハリウッドでも活躍するオーストラリア出身の人気俳優トラヴィス・フィメルを起用。
2020年、ベトナム戦争でオーストラリア軍が参戦した知られざる戦闘をリアルかつ臨場感に満ちた戦闘シーンを再現した本格戦争映画が日本に上陸する!!
STORY
1966年8月18日未明、南ベトナム。ヌイダット地区にあるオーストラリア軍司令部の基地がベトコン部隊による迫撃砲の急襲を受ける。
翌朝土砂降りの雨、雷鳴が轟くなか発射地点を突き止めるため偵察に向かったハリー・スミス少佐(トラヴィス・フィメル)率いるオーストラリア軍D中隊。その隊に属する兵たちは徴集兵で、平均年齢21歳と非常に若く経験が圧倒的に不足していた。
中隊長である少佐は、素人同然の徴集兵を率いることに意義を見出せず、准将に特殊部隊への異動を希望するも却下されていた。士気がままならないなか、第10、11、12の3小隊に分かれて前線を進む。
ロングタンのゴム園に差し掛かると第11小隊がベトコン兵と遭遇。交戦となるがベトコン兵は散り散りに逃げ出してしまう。
安心した小隊は前進するも、既にベトコン兵の大軍に囲まれていた。四方八方から銃撃を受ける小隊。戦闘開始からわずか20分で28人構成の小隊のうち半数以上が負傷。絶対絶命のピンチに追い詰められた小隊はベトコン兵から放たれる機関銃の嵐の中、苦渋の決断を迫られる。
目前にいる敵に向けて後ろから迫撃砲を撃つ命令を基地に要請。それは味方に対して超至近距離で撃つことを意味し、即ちデンジャー・クロース(極限着弾)となり、小隊が全滅してしまう危険が迫る。
本部では、応援の大隊を出撃させるかの判断をするときが迫っていたのだった…。
本編冒頭映像
登場武器解説
解説:デューク廣井(軍事評論家)
■オーストラリア陸軍
M16アサルトライフル
1964年米軍に採用、翌年にはベトナム戦争中のジャングル戦用に配備されたアサルトライフルの代名詞。マクナマラ国防長官の鶴の一声で決まったとの噂もある。オーストラリア軍でも採用され本作にはM16と改良型のXM16E1 (後のM16A1)も混在して登場する。口径5.56×45mm弾を使用
M1911 A1自動拳銃
ジョン・ブローニング設計の傑作拳銃で100年を経ても色褪せない名銃だ。コルト45、45オート、ガバメントなどと称される。ハリー・スミス少佐が弾丸の尽きたM16を打捨て腰のホルスターからコイツを引抜き北の正規兵を撃倒すシーンは秀逸だった。.45ACP弾を使用
L1A1 セルフローディングライフル
オーストラリアは、イギリスやカナダと共にFALの改良型を採用した。オーストラリア軍が採用したL1A1はSelf-Loading Rifleを略したSLRの呼称で呼ばれた。口径7.62x51mm弾を使用する。本作でもほとんどの兵士が携行している。
オーウェン・マシンカービン
オーストラリアで独自開発された短機関銃。水道管を使って製造するという伝説を生んだ変わり種、上部に弾倉を装着。作動方式はシンプルなオープンボルト方式を採用、劇中でも独特な発射音を披露している。二次戦時から存在する30年選手。口径9mm×19パラべラム弾
M60汎用機関銃
1957年に米軍に導入され、ベトナム戦争全般で使用された汎用機関銃。現在では後継に主座を渡したが、いまだ現役。オーストラリア軍でも使用されている。本作でも分隊支援火器として頼もしい存在感だ。口径7.62×51mm NATO弾を使用
M113APC兵員輸送車
1960年に採用されたアルミニウム装甲を持つ初の量産戦闘車輌で、以前の装甲車よりもはるかに軽量になった。それても搭乗員を小銃火器から保護するのに十分な装甲厚だ、空輸可能で水にも浮くとか…これマジです。
M2ブローニング・キャリバー50重機関銃
1930年代から現在まで、車両搭載兵器として、また航空機銃として世界中で広く使用されてきた優れもの。作中ではM113APCのメインウエポンとして大活躍した。世界一まっすぐ飛ぶ弾として有名な口径12.7×99 mm弾を使用する。
オート・メラーラMod.56 105mm榴弾砲
イタリアのオート・メラーラが1950年代に火力支援用に設計した山岳用榴弾砲。Mod.56イタリアだけでなく世界中に広く輸出され60年代には英軍がQF 25ポンド砲の後継に選定L5 105mm榴弾砲として制式採用したため英連邦加盟国でも広く使用された。本作冒頭で派手に火を吹きながら報復砲撃を行っているが実際にはあんなに火は出ない。
ベルUH-1イロコイ
ヒューイの愛称で呼ばれる汎用ヘリコプター。ベルヘリコプターによって開発され、1960年軍制式に。制式呼称のUH-1は1962年になってから付された。悪天候の中弾薬満載で救援に飛立つヒューイは騎兵隊そのものって感じだ。
■北ベトナム軍・南ベトナム民族解放戦線
AK47自動小銃
1948年ソ連軍に採用されて以来、いまだ世界標準。一番人の命を奪った銃として君臨する強者。二次戦下、サブマシンガンの火力・ライフルの射程と精度を組み合わせたドイツの名銃Stg 44 アサルトライフルのDNAを継ぐソ連の名銃である。7.62×39mm弾使用
SKS-45スミルノフ・セミオートマチック・カービン
1945年から現在に至るまで使い続けられている。北ベトナムといえばSKSカービン、銃身下部にニードルバヨネット(槍銃剣)を装備。7.62×39mm弾使用
SG43重機関銃
1943年M1910マキシムの後継としてソ連軍に導入された機関銃。三脚、装甲車両に搭載される。信頼性が高くジャムの起きにくい機関銃である。本作では車輪付きマウントを用いて汎用され、独特な存在感を出していた。7.62x54mmR弾を使用
モシン・ナガンM1891/30小銃
ナガンの最も多作なバージョン。1930年から1945年までのすべてのソ連兵に対する標準的な小銃として製造された。小屋に潜んだNLFの狙撃手が手にしていたM91/30小銃の狙撃バージョンには、ソビエト製のツァイス設計のコピーである4倍のPEまたはPEMスコープが装着されていた。7.62x54mmR弾を使用
Stg44突撃銃
Stg=Sturmgewehrシュトゥルムゲベール は突撃歩兵の意で、第二次世界大戦ドイツのMP44としても知られている最初に成功したアサルトライフルだ。MPはマシーネンピストーレ、こんな凄い銃を持てる北ベトナムの正規兵が羨ましくなった。7.92×33mm Kurz弾を使用
ベトナム戦争へのオーストラリア軍介入とロングタンの戦い
解説:デューク廣井(軍事評論家)
ベトナム戦争は宣戦布告なき戦争と言われている。時の宗主国フランスとのインドシナ戦争の後、1954年のジュネーブ協定により北緯17度から南北に分断されたまま予定された総選挙も行われず、列強の思惑に翻弄され放置された結果がこの泥沼の紛争である。
その後送り込まれた東西の軍事顧問団が何時しか膨張し東西代理戦争へと向かうのであった。1960年 反政府派は南ベトナム民族解放戦線(National Liberation Front)を結成、その趣旨を宣言しゲリラ活動テロ活動を開始したのである。この南ベトナム民族解放戦線(以下NLF)、ベトコンと蔑称される民兵組織であり正規兵ではないので民間人と区別がつかず後に多くの禍根を残す組織であり南ベトナム政府の中枢にも少なからずメンバーがいた事が後年明らかになっている。しかしながら依然、戦闘は南ベトナム軍と行動を共にする米国軍事顧問と小競り合いを展開する程度であったが、アメリカが本格介入に踏み切った1965年 遂に米陸軍第1騎兵師団と南ベトナム軍の連合軍VS北ベトナム人民軍(North Vietnamese Army )が激突し本格的戦争状態に突入した。
この戦闘が2002年のアメリカ映画「ワンス・アンド・フォーエバー」で描かれたイア・ドラン渓谷の戦闘である。これを受け反共軍事同盟東南アジア条約機構(SEATO)に加盟していたオーストラリアもベトナムを反共の砦とすべく前進防衛を政策に打ち出し、本格的な軍事介入に踏み切った。1966年までには軍事顧問団をコミットメント増強するための6,000名を派兵し積極的にベトナム戦争に参加していったのであった。
しかしオーストラリア陸軍とニュージーランド陸軍の部隊は本作に描かれる伝説の大戦闘ロングタンの戦いに臨む事となる。
さて本作の主人公となる第1オーストラリア・タスク・フォース(以下1 ATF)は1966年4月から6月にかけてフオックトゥイに到着し、ヌイダットにあるゴム農園に拠点となる基地を建設した。これは揚陸の要であるブンタウ港の連合軍による支配を確実にするためと軍の移動及び兵站ルートを確保するためにはフオックトゥイでの極めて政治的な政府権限を拡大しなければならなかったためである。1 ATFは、周囲の道路を介して前方に直接リンクするロジスティックな拠点設立に努めた。これに対し北ベトナム人民軍275連隊(以下NVA)は同年8月16日までに、ヌイダット基地の砲火射程範囲外のロングタン近くに進出、8月16日の夕刻から17日にかけて、迫撃砲、反動砲を以て東方の2キロメートル地点からヌイダット基地を攻撃した。本作冒頭でも描かれたこの攻撃によりヌイダット基地施設の一部は破壊され負傷24戦死1を出したが、NVAの砲撃位置を的確に掴んだ味方砲兵隊の反擊砲火によりこれは沈黙した。
翌朝1 ATF旗下 大隊長コリン・タウンゼンド中佐のローヤル・オーストラリア連隊第6大隊(以下6 RAR)B中隊に基地の東側エリアのNVA掃討及び発砲点・撤退方向確認が下令され、パトロールと索敵殲滅任務に赴く、作戦名「スミスフィールド」の発動であった。そしてB中隊は作戦行動中、迫撃砲と無反動砲を含む武器ピット発見に至ったのである。その後8月18日の朝にはハリー・スミス少佐率いる6 RAR- D中隊に交代し任務を続行する事になる。D中隊がゴム農園付近、まさにロングタンを索敵掃討中、突如連隊規模のNLF・NVA部隊と接触し、たちまちの内に3方面からの猛攻撃に晒された。これが6 RAR- D中隊108人vs NLF・NVA部隊2,000人と推定されるロングタンの戦いのはじまりたった。
激しい豪雨とプランテーションを覆う濃い霧の下での戦闘は過酷を極め3時間以上に渡り戦ったとされている。数時間後激しい戦闘が続き弾薬も尽きかける最中、ローヤル・オーストラリア空軍第9飛行隊から2機のUH-1Bイロコイが補給のために頭上に飛来、急報を受けた大隊長コリン・タウンゼンド中佐は将軍を説伏せ留守居部隊のA中隊B中隊そして第1装甲兵員輸送中隊に援軍を命じた。しかし敵兵は目前に迫る!決断は砲撃要請デンジャークロスだった。絶えない窮地の中、最初に到着したのはB中隊のパトロール、続いてA中隊も到着、第1装甲兵員輸送中隊7輌のM113装甲兵員輸送車APCが形成されていたNLF・NVA部隊の包囲陣形に対する攻撃を開始した。
強力な火砲の援護を受けてD中隊は各隊と合流、ヌイダットからの騎兵・歩兵の救援部隊は攻撃の手を緩めずNLF・NVA部隊は退却を余儀なくされたのである。しかし戦果の程は、翌日まで不明であった。確認されたNLF・NVA部隊の戦死者245人、味方の損害は6 RARの17名と第1装甲人員輸送隊の1名が戦死した。
と言うのが史実! 実際の戦闘詳報と記録に沿った作品となっている。
後にD中隊は当時のリンドンB.ジョンソン大統領 によって叙勲、D中隊のみならずRARの各部隊、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカのさまざまな部隊の貢献、天候を選ばず飛んだRAAFヘリコプター搭乗員の勇敢さを讃えた。有能な指揮官、不撓不屈の精神と仲間を思う心そしてチ―ムワークそれこそがこの勝利を可能にしたのである。
他のベトナム戦争映画と比較してみると、題材やストーリーの趣旨は「ワンス・アンド・フォーエバー」のそれを踏襲しているかのようだ。厭戦気分のない初期のベトナム戦争である。戦争後期を描いた作品でも1987年のアメリカ映画「ハンバーガー・ヒル」はラストの達成感が近いかもしれない。1979年公開のアメリカ映画「地獄の黙示録」や1986年公開の「プラトーン」とは一線を画している作品である。
CAST & CREW
監督:クリフ・ステンダーズ(『殺し屋チャーリーと6人の悪党』)
脚本:スチュワート・ビーティ(『コラテラル』)
出演:トラヴィス・フィメル(『ウォークラフト』)、ルーク・ブレイシー(『X-ミッション』)、リチャード・ロクスバーグ(『サンクタム』)ほか
2019年/オーストラリア/英語/カラー/スコープサイズ/5.1ch/118分/原題:Danger Close The battle of Longtan
配給:彩プロ
© 2019 TIMBOON PTY LTD, SCREEN QUEENSLAND AND SCREEN AUSTRALIA
デンジャー・クロース 極限着弾
2020年4月17日(金)より新宿バルト9にて全国ロードショー
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