ハイ!あふりかです。
と、言いましてもご存知のない方は初めまして!
パラベラムやミリブロ、SATマガジンをご覧になっていた方はお久しぶりですw
軽ぅーく自己紹介を致しますと、私、以前はミリタリーショップ パラベラムの店長をしておりまして、Webサイトやブログにて商品紹介やレビューを書いておりました。また、SATマガジン誌連載「サバゲ葉隠」にてトレーニングのお手伝いやモデルなどをさせて頂いた者でございます。
現在は新たにWebショップ「Tacmart あふりか屋」にてタクティカルアイテム、エアガンパーツの販売をしております。今回、機会を頂きましてハイパー道楽さんにてコラムを書かせて頂く事となりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
と、堅ぁーく始まりましたが、コチラのコラムではハイパー道楽をご覧のエアガンファン、サバイバルゲームファンの皆さんに、サバゲやエアガンに関連するお役立ちアイテムや情報についてご託を並べさせていただこうと考えていますw
さて、今回のお題はコチラ、ズドン!
「カイデックス、カーボンホルスターってナニ?」
サバイバルゲームにおいてメインアーム(プライマリィウエポン)のライフルやカービンの他にサイドアーム(セカンダリィウエポン)であるハンドガンを持ってる人って多いですよね?
メインアームの故障や弾切れの時の「予備」として使っている人、多いと思います。ハンドガンを携帯する際に無くてはならないのが収納する為のホルスター。
今回はホルスターの中でも最近人気の高いカイデックス、カーボンなどの素材を使用した樹脂製ホルスターについてお話してみましょう。
まず、ホルスターと言うと皆さんドンナもんを想像しますか?
西部劇で出てくるような革製のものであったり、昔の軍隊で採用されたキャンバス(布)製、少し時代が新しくなるとナイロン製のものであったり。ホルスターの歴史自体を掘り下げようとすると火器としてのハンドガンの歴史を辿る途方もなく長い話になってしまうんで、すこーし話を省略しましょう。
WWI(第一次世界大戦)前後、軍隊におけるハンドガンの主な役目は、指揮官であり重武装を必要としない士官や、一般歩兵のようなライフルを携行出来ない兵(機関銃手、車両運転手、パイロット等)の護身用でした。撃つ機会が少なく携帯している時間が長いので使用するホルスターは誤って拳銃を落としてしまったり、内部に泥やゴミが入り込まない様にフラップ(蓋)で覆われていたり、頑丈なストラップで銃を固定する物が多く製造されました。
民間向け革製サムブレイクホルスター(S&W Kフレーム2.5inch用)
リボルバーピストル全盛時の一般的なヒップホルスター。主に民間、警察(私服警官)等が多くしようした。
サム(親指)でブレイク(固定解除)する事で素早くピストルを引き抜く事が可能だが、再度ホルスターに収める際はスナップボタンを留める必要がある。
ところが現代、メインアーム(プライマリィウエポン)とサイドアーム(セカンダリィウエポン)を常に携帯し、2つの火器を効果的に使いこなす事を要求される人たちが現れます。
皆さん大好きな「特殊」で「スペシャル」な方々ですねw
この方たちは状況に応じてライフルやカービンから即座にハンドガンに持ち替えて射撃を行う事が可能でして日々訓練を重ねています。そんな方たちは磨き抜いたテクニックを助ける装備選びや開発にも非常に熱心。そこから見出されたのがカイデックスやカーボンを素材とした樹脂製ホルスターなのです。なぜ彼らスペシャルな方たちは樹脂製ホルスターを選んだんでしょうね?それは後ほど触れてみたいと思います。
ちなみに、チョコっと説明に出てきましたメインアーム(プライマリィウエポン)、サイドアーム(セカンダリィウエポン)と言う呼び名、これも少ぉーしホルスターと関係がありますんで触れておきましょう。
以前は主に使用するライフルやカービン等を「メインアーム」、予備で携帯するハンドガンを「サイドアーム」と呼ぶことが多かったのですが、これは昔、西欧で槍や剣を使って戦っていた頃の呼び名の名残りなんです。主要武器「メインアーム」である槍などの長柄武器を落としてしまったり、長い武器が使いにくい接近戦となった時に使用する短剣や小型の軍刀を「サイドアーム」と呼んでいたんですねぇ。その為か長い歴史を持つヨーロッパの国々の軍隊ではハンドガンを収めたホルスターを左腰に付ける事が多かったです。そう、短剣を右手で抜きやすいように左腰に吊っていた名残なんです。(西部開拓時代を経た「早撃ち大国」アメリカは早くから利き手側にホルスターを吊るようになりましたけどw)
この「メインアーム」「サイドアーム」という呼び方も最近は「プライマリィウエポン(主要武器)」「セカンダリィウエポン(二次武器)」と変わってきました。これも後で触れましょうw
さて!それでは樹脂製ホルスターの一部を紹介しながら、その特徴を見ていきましょう。
カイデックス製ホルスターの代名詞とさえ言われる非常に有名なメーカーであるブレードテック社のホルスターです。
銃の形状をトレースしたデザインとなっています。一般的なのがこちらのようなロック機構を持たないタイプ。ラバースペーサーとスクリュウによって銃を保持する強さを調整しますので、ホルスターから銃を抜く際も戻す際もこれと言った動作を必要としません。
この部分が非常に重要となりますんで覚えておきましょうw
ブレードテック製ホルスター
下左:Glock26用 下右:Glock17用
上:レボリューションシリーズ Glock20/21用
レボリューションシリーズは耐熱素材を採用し熱による型崩れを防いだ製品。
1911シリーズ/wシュアファイアX300ライト用ホルスター
近年、軍、警察の特殊部隊は昼夜を問わず銃器にはライトを装着する為、ホルスターもライトを装着したハンドガンを収納可能な物が求められている。
カイデックスホルスターは銃の種類、射手の利き手、付属アクセサリーによって形状が異なり、他の仕様には対応していない。例えば画像の1911は1911系通常フレームにシュアファイア社MR07アタッチメント、X300ライトを装着し射手は右利きとなる。ホルスターはこのセッティング専用となる為に銃の仕様が変更された場合、ホルスターの変更も余儀なくされる。
ブレードテックホルスターはゴム製スペーサー部分のネジを締め込む事で銃を保持する強さが調節可能となっている。
まだ革製ホルスターが全盛だった頃、FBIが使用したヒップホルスターとして人気の高かった「パンケーキホルスター」の形状からインスパイアされた新型カイデックスホルスター。従来の樹脂系ホルスターは保持強度がスクリュー調整可能な製品がメインでしたが、レイブンコンシールメントシステムスは銃を包み込むように2枚のカイデックスを張り合わせ、自然なテンションで銃を保持しています。コレがなんとも抜きやすい!
タクティカルトレーニングDVDで一世を風靡したマグプルダイナミクスのクリス・コスタ、トラビス・ハーレイ両スーパーインストラクターが使用していた事も手伝い注目を集めています。
レイブンコンシールメントシステム製ホルスター
上:Glock20/21 シュアファイアX300装着 エクステンデッドバレル用
下:Glock20/21用(エクステンデッドバレルが収納可能な様に改造済)
装備メーカーとして有名なブラックホーク社が開発したカーボン樹脂製ホルスター。
従来のカイデックスホルスターは素材に熱を加え銃の形状にプレス、成形する製品であった為に高温の下では形状が維持出来ず型崩れを起こしてしまう事がありましたが、CQC SERPAロックホルスターは素材に熱耐性の高いカーボンを含有しており、かなりの高温化でも型崩れを起こす事がありません。そして採用されたSERPAロックシステムは銃のトリガーガード内側を突起で固定、人差し指でロックを解除するという従来の樹脂製ホルスターには見られないシステムを採用。ロックを解除するまではナニがあっても抜けず、また再度ホルスターに収める際はただ差し込むのみでロックが掛かるという優れた性能を持っています。比較的手頃な値段と、アクセサリーを交換することでヒップホルスターからレッグ(サイ)ホルスター、果ては近年多くの装備に採用されているMOLLE/PALSウエッブにまで装着が可能なシステマチックな構造が評判を呼び大ヒット商品となりました。日本でも多くのサバイバルゲーマーに愛されています。
ブラックホーク製CQC SERPAロックホルスター(Glock20/21用)
ロックシステムを備えたLEVEL2ホルスターは銃を差し込むだけでロックが掛かる。
その為に即座に次のアクションに入れる事が人気を博した。
ホルスター表面の仕様やカラーに様々なバリエーションが存在する。
ブラックホーク製CQC SERPAロックホルスターは交換可能なアタッチメントによって
好みのベルト取り付け方法が選択可能。下の製品には角度変更、脱着が素早く行えるクイックデタッチメントアダプターが取り付けられている。
ブラックホーク製CQC SERPAロックホルスターはプラットフォームを変更する事でサイ(腿)ホルスターにも変更可能。(画像はロック機構が2重となっているLEVEL3、ブラックホーク製ライト サイフォスが取り付けられたGlock20/21が収納可能)
ブラックホーク製CQCホルスターにはSERPAロックシステムの無いLEVEL1タイプも販売されている。
これら樹脂製ホルスターの最大の特徴は、先に述べましたようにメインアーム(プライマリィウエポン)からサイドアーム(セカンダリィウエポン)へ、またその逆を行なった際にハンドガンを素早く抜け、そして簡単にホルスターに戻す事が可能な点です。
このメインアーム(プライマリィウエポン)、サイドアーム(セカンダリィウエポン)の持ち替えは「トランジッション」と呼ばれ各国特殊部隊が行うCQB(至近距離戦闘)に欠かせないテクニックとなっています。
現在の銃撃戦で重要な位置を占めるCQB(至近距離戦闘)では射撃不可能となる時間を極力減らし、どのような状況でも敵に対し銃撃を浴びせる事が可能な態勢を整える事が戦闘に生き残り勝利する道となります。
現代の銃撃戦において、もはやハンドガンはサイド(予備)では無く、主要武器にとって代わる事が可能なセカンド(第二の武器)であるという考えから「セカンダリィウエポン」と言う呼称が生まれ、射撃テクニック、装備もこの思想の元に新たなものが求められるようになります。
プライマリィウエポンの故障、弾薬切れ、取り廻しの効きにくい狭い場所などでは素早くセカンダリィに持ち替え射撃を可能とし、状況によっては再度プライマリィに持ち替える。このような動作を行う際にカイデックス/カーボン素材の樹脂製ホルスターは隊員の要求を満たす性能を有しており彼らの間で多く使用されるようになります。
また、装備の選択、使用に自由度の高いPMC(民間軍事会社 現在はPMSCが公式呼称となっています)要員が数多くイラクで使用した事から需要の底上げがされ一般市場に多くの製品が供給されました。現在米国で盛んに行われている民間人向けのタクティカルトレーニングを見ても参加者の殆どが樹脂製ホルスターを使用しており、従来の革製、ナイロン製ホルスター使用者を探すのが難しいほどの普及率となっています。
樹脂製ホルスターが人気となったのは現代の戦術射撃術(タクティカルシューティングテクニック)の要求に拠るところと言って良いでしょう。
今回ご紹介をしました3社のホルスターは比較的国内でも入手し易いものです。
特殊部隊員やPMCオペレーターのコスチュームでサバイバルゲームを楽しんでる方、是非彼らが使用している樹脂製ホルスターを試してみてください。なぜ彼らが使用するのか必ず実感できますよ。
と、今回は駆け足ですがカイデックス/カーボンホルスターについてご紹介しました。
また機会がありましたらお会いしましょう!