国際カモフェスティバル 2016 台北 パート2
2016年10月29日(土)に台北市の台北市華中キャンプ場(華中河濱公園)にて開催された、国際カモフェスティバル2016へ行ってきたのでレビュー。
[パート1] [パート2]
BLS
BB弾メーカーのBLS。アニーちゃんが売り子をしていた。台湾ではパワー規制が日本よりも緩やかなので、0.3g、0.43g、0.45gなどの重量弾がラインアップする。とくに重量弾にはステンレスパウダーが入っているということだった。
トレーサー用のBB弾もラインアップ。グリーンカラーはPLA(ポリ乳酸)製のバイオBB弾だが、ブーススタッフに聞いたところ台湾ではあまり生分解性バイオ弾は使用されていないらしい。
FASHION DEFENCE
オリジナルデザインのフォアグリップやフラッシュハイダーを制作するFASHION DEFENCE。
Starwalkerと呼ばれるオリジナルのフラッシュハイダー。
断面が三角形で独特のデザイン。
曲線を用いたフォアグリップ、Vanguardや、8角断面のStar arrowサプレッサーなども。
組み込むとSFチックなイメージになる。
SR Union
3DプリンタによるブルパップコンバージョンキットをリリースするSR UNION。
このAKブルパップはグリップがオフセットしている。
SIG WAR GAME
SIG WAR GAMEというショップではイスラエル製IMI DEFENSEのグロックカービンコンバージョンキットを展示していた。
また、IMI DEFENSEのホルスターも。
CQB CLUB
台北のインドアサバゲーフィールドCQB CLUBのブースでは、オリジナルのカスタムガンの展示。
YSC Design & Development Co.製のガスブロ用の7075アルミボルトキャリアなども。アルマイトカラーが美しい。
BATTLE ARMSのレシーバーが流行っているみたいで本イベントでもよく見かけた。
台湾ではガスブロのパワーソースはのGREEN GASか、CO2が主流。GREEN GASの成分はC3H8(プロパン)、C4H10(ブタン)の可燃性混合ガスが使用される。日本で使用する代替フロンHFC134aの気圧が8kg/cm2程度で、このGREEN GASは12kg/cm2程度と高圧。
各社シューティングレンジ
各トイガンメーカーはシューティングレンジも用意され、新商品が撃てるようになっていた。
2GunマッチやMETのスピードシューティングなど、台湾でもサバゲー以外のシューティングスポーツも楽しまれている様子。
シューティングレンジでASGのDan Wesson .357MAGのCO2リボルバーを撃てた。
グリップ内にボンベを装填し、金属製のライブカートで先込め式。短い距離だったが、ホップも効いていてパワフルな弾道だった。
軍隊との連携
国防といった側面のテーマもある本イベント。会場内には台湾軍の各ブースも出展していた。
空軍の人材募集センター。
陸軍の人材募集。
海軍陸戰隊(海兵隊)の人材募集など、各軍が軒を連ねる。
武器や装備品の展示も。※銃器はモデルガンとのこと。
91式歩槍の電子射撃訓練装置。実際に撃ってみたが、かなりシビアな設定になっていた。
サーマルビジョン。血管まで見えている。
小型無人機(Cardinal mini-UAS)の展示も。
会場内のメイン道路では、突然台湾陸軍のデモンストレーションが始まる。
使用するのは91式歩槍のガスブロ。バコバコと空撃ちして模擬戦闘を行っていた。たぶんWE製。
今回のカモフェスのメインビジュアルイラストを描いた上田信先生もブースを出展。
台湾ローカライズされた『コンバットバイブル』とか凄い!!
のんびりと軍装でピクニック。この日は午後から小雨がパラついたが無事イベントを終了した。
今回は、タニコバの小林社長、イラストレーターの上田信先生、アームズマガジンの渡辺編集長、キャロライン青木さん、みさみさなど、G&G日本代理店の亀滝さん、TAKE ONの竹村さんもいらしていて、賑やかな展開。G&G日本担当のJoannaに連れられて夕食はみんなで円卓を囲んで火鍋に舌鼓。
みさみさのネイルにはG&Gの文字が!! 気合入ってます。
台湾の夜と言えば夜市。
士林観光夜市を散策。
台湾の定番スイーツ、かき氷。
マンゴーかき氷。うまくて安い。
屋台から強烈な臭気を漂わせる、臭豆腐に挑戦!!
ああ、臭い!! でもこれは野菜やモツなどと一緒に煮込まれたすき焼き風。
臭いながらも、「うん、いけるいける!」とガツガツと頬張るタニコバさん。若いなぁ。
タニコバさんと上田信さんはとても仲がいい。昔、上田信さんはMGCの宣伝部にいたんだって。なるほど上司と部下の関係だったんですね。あ、竹村さん 「ジジィ&ジジィ」とか言っちゃダメだってば!!
士林の夜市近くにあるG&Gのオフィシャルショップにも行ってみた。なおこの士林のお店は近々閉店し、台北の東、樂活公園の近くに移転するそうだ。
どどーんと、ショーケースにトイガンが展示。
上田先生も電動ガンを手に取ってニッコリ。
最新のPDW15シリーズも販売されていた。
東京マルイやKSCなど、日本製のトイガンも販売されていた。これらは日本の問屋を通じて輸入されているとのこと。
CryeのJPCやLBXなどの実物装備も格安で豊富に販売していた。台湾のトイガンユーザー羨ましいなぁ。
市内をタクシーで移動中、タクシーの運ちゃんに突如謎の食べ物を勧められる。
特選白肉...んーなにこれ? お菓子か何か?
同乗者一同が戸惑う中、竹村さんが意を決して食べてみると木の実のようでマズいらしい。車を降りるなり吐き出すと真っ赤な血のような液体が。後で調べると、これビンロウといって植物の種子なんだけど、アルカロイドを含んでいて覚醒、興奮作用があるのだとか。タバコなどと同様に噛むものらしいが竹村さんは一部のみ込んでしまい、その後ずっと脂汗をかいて、胃が気持ち悪くなっていた。台湾に限らず、旅行の際は素性の判らないものを不用意に口にしないように気を付けないと。
G&GのLiao社長の起訴問題
最終日の夜にG&GのLiao社長も同席されて高級海鮮レストランへ連れて行ってもらう。そこで話題は例の起訴問題に。
8月下旬に日本でも一部のメディアで報じられて知っている人もいるだろうが、Liao社長が台湾の地方検察局に同社のG96(ガスボルトアクション)が高威力で危険なものだとして起訴された。
このニュースを聞いて、心配する日本のトイガンファンも多いだろう。しかし、Liao社長が拘留されているわけではなく、在宅起訴のような状態であり、経営も滞りなく行われているそう。また裁判は現在も継続中であるとのことだった。
この件について日本のトイガンファンとしても確認しておきたいという気持ちもあり、またG&G側も日本のメディアに説明をしたいということもあって、食事の席ではあるが台湾のトイガンを取り巻く諸問題について話し合われた。
まず、そもそもどういった状況でG96が危険なトイガンだと判断されたのか?
Liao社長がボードにリストを書き出して話し始める。摘発されたトイガンユーザーが所持していたG96は海外向け仕様のモデルで、G&G社内で規定しているレギュレーションよりも警察では高圧力のガスを使用しての実験を行ったことがフェアではないとのことだった。
G&Gでは12kg/cm2の圧力のガス(GREEN GAS)と、直径5.95mm、0.2gのBB弾を基準にしているのに対し、警察では22kg/cm2の圧力、直径6.0mm、0.88gのアルミ弾を使用しての実験が行われたと説明された。さらにCO2を使用すれば30kg/cm2の圧力も可能であり、警察の実験は意味をなさず、またこれら想定される基準値を上回る使用方法は使用者の問題であるとの話を伺った。
高圧ガスで重量弾を撃てば危険度は増すに決まっているわけで、いくらG&Gが社内基準でガスガンを作っても、悪用する側は警察同様に高圧ガスを充てんして金属弾を撃つだろう。むしろ高圧ガスを充てんしても耐えてしまう構造が問題で、安全弁を設けるべきとの意見も出た。
小林太三氏からはどういったパワーソースを使用するのであれ、結果的に撃ち出された弾の威力が問題であって、日本では改正銃刀法で1平方cmあたり、3.5ジュール、つまり直径6mmの0.2gBB弾で0.989ジュールというエネルギー値が法規制されているとの説明がされた。
台湾では日本のような弾の威力についての法規制がないとの話も伺った。つまり台湾の各トイガンメーカーは輸出仕様地ごとにパワーを設定しているものの、それら輸出用のエアガンは国内にも流通してしまい、高圧ガスを使用して簡単にパワーをあげることができてしまうという状況のようだ。
まるで80年代のガスガン全盛期の日本のトイガン事情をみているように感じた。日本はモデルガン規制から長い年月を経て現在に至るが、台湾はトイガン業界があまりにも急成長したため、そういった法整備が追いついていないのではという意見も出た。
威力だけではなく、素材や構造、環境問題にも話が及んだ。
台湾では金属パーツがふんだんに使用された拳銃タイプのトイガンがほとんどであるが、日本では模造けん銃として摘発の対象となるものもある。
日本では10月に宮城で高威力の海外製CO2ガスガンや金属製の模造けん銃が100丁以上押収されるなどの事件が報じられたばかりだ。
また、TWAAAの会員ではないが、同じく10月に香港APSのCAM870が実弾のショットシェルを撃発・発射できるとして台湾警察が摘発とのニュースが報じられた。これはCO2蓄圧式シェルのセンターファイア方式で、スチールレシーバーの仕様であり、実銃と何ら変わりのない構造である。
CO2は小林太三氏が理事を務めるSTGAとしても推進する次世代のパワーソースであると力説、一方で同席のアームズマガジンでは過去のCO2論争から反対の立場をとる。台湾ではガスガンのパワーソースは環境問題からCO2に移行する流れもあるが、一方で東京マルイをはじめとするASGKではCO2利用の安全技術に関しての明確な結論が出ていないことから、現時点ではCO2導入に慎重な姿勢を取る。しかしながら、台湾製CO2ガスガンや互換マガジンなどは徐々に日本に輸入されてきているのが現実だ。
台湾のトイガン製造業は急激に巨大化し、いまや20社を超える勢いだという。市場規模は日本のそれを遥かに凌いでいるという見方もある。台湾製エアガンは世界中に輸出、OEMされており、台湾政府も外貨獲得のための輸出産業として推進する向きもある。多くの輸入代理店が存在する日本もその例外ではなく、静観することはできないだろう。
これら台湾製エアガンを危険なものだとひとくくりにして全てを日本から締め出すことはできないし、トイガンユーザーとしてもそれは望まない。日本のトイガン業界、台湾のトイガン業界、相互に連携を取って、アドバイスできることはする、アドバイスを受け入れる耳を持つ、各国の法規制は違えど国際的なデファクトスタンダードを設けていくということは大事なのではないだろうか。そして台湾には早急な法整備が急務と感じた。
今回のカモフェス2016では立法委員などの政府関係者も参加していたことから、台湾では今後トイガンに関する法整備が進められると思われる。そして新商品で賑わう各社ブースの盛り上がりとは裏腹に、台湾のトイガンメーカー、
TWAAA会員数十社をまとめる協会会長のLiao社長の苦悩がうかがい知れる台湾取材となった。
追伸
:
台湾に行ったらSOGOの地下の鼎泰豐(ディンタイフォン)の小籠包は絶対に食うべし!!
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