NBORDE トレポン用 カスタムレシーバー
2015年12月7日より販売が開始されたNBORDE(エヌボルデ)のPTW(トレポン)用カスタムレシーバー。その第1弾であるMilling Receiver Set For PTW - COLT DEFENSE M4A1 - を組み込みゲームで使用してみたのでレビューする。
NBORDE(エヌボルデ)から2015年12月に発売されたトレポン用カスタムレシーバー。コルト・ディフェンスのミリタリーレシーバーを余すことなく再現。
設計、材料、加工、仕上、表面処理まで全ての工程を国産にこだわった、完全日本製なのだそう。
正式な材質は非公開となっているが、通常のアルミよりも6倍以上も加工時間を要する難削アルミ材が使用されている。これを同時5軸制御のマシニングセンタで削り出し加工している。マシニング加工後は手作業で形状を整え、実銃の冷間鍛造+削り出しの風合いを再現しているのだそう。
その後、ブラスト加工・打刻工程を経て、ミルスペックのハードアノダイズド(硬質アルマイト)処理が施される。膜厚の管理まで徹底されているそうだ。
塗装にはないアルマイトの風合いは色調も含めて実に素晴らしい出来具合。このM4A1カービンのアルマイト色を出すのにはかなり時間がかかったようで、国内では青みの強い黒アルマイト施工が多いのだが、実銃の僅かに赤みを帯びたアルマイト業者を探すのに苦労したそう。
なお、ボルトキャリアのダミーカバーはMOVEオリジナルのカスタムとなる。
トップレールにはレーザー刻印によるレールナンバーが入る。
マガジンハウジングの刻印。打刻時に発生するエッジの盛り上がりは打刻ならでは。実銃はロール打刻のようなのだが、これはプレス打刻によるもの。
文字の周囲が盛り上がっている。これぞ打刻の醍醐味。打刻時にはハウジング内に受けパーツを当てがって打刻するのだが、レシーバー内側の僅かな段差により、M4の文字周辺がわずかに凹んでいる。こういった揺らぎは実銃にも存在するもので、治具を正確に作ればこれは技術的に回避できるのだが、そこをあえて行わずにこの揺らぎを表現したという。
コルトのトレードマーク。直径は16.66mm。
参考までにショットショー2015のコルトブースに展示してあった民生のSCW9021のレシーバーのトレードマーク。
COLT DEFENSE刻印。2002年にミリタリー・ローエンフォースメント専門に供給をおこなうCOLT DEFENSE社が設立、それ以降の製造はこの刻印になった。
レシーバーのハンマーピン、トリガーピン、フルオートシアピンはダミーだが、付属の別パーツとなっている。ノーマルのトレポンがレシーバーから飛び出ているのに対し、NBORDEはレシーバー面とツライチに作られている。パーカライジング処理されたスチール製で実銃の雰囲気を出している。ピン中心部に残った旋盤の加工痕まで再現している。
アッパーレシーバー右面にはフォージマークが入る。フォージマークは製造会社を示しており、左のCはコルトを意味し、右のキーホールは下請け業者のセロフォージ社を表している。Cは打刻、キーホールは切削によるエンボス加工。この二つのマークの距離も様々なものが存在する。Cが出っ張ったものも実銃では存在する。
さらにイジェクションポートの前には検品済みを示す逆三角形の打刻も再現される。このマークは官給品のM4のみに入れられ、パーツ販売されたものや民生品などには入っていないミリタリーモデルならではの証。
右側のセレクター刻印。AUTOの打刻が薄くなっているのが渋い。インジケーターキャップはMOVEオリジナルのカスタムパーツを入れている。
アッパーの前面には実銃同様にM4の刻印が入る。
実銃でもよくみられるレールナンバー文字の周囲に白い滲みが見られる。レールの寸法は幅21.08mm、深さ3.00mm、ピッチ10.02mmとピカティニー規格に準拠。
マガジンハウジング前面。ここに段差がないのも現行ロアの特徴。
細かい部分だが、a部の盛り上がりも実銃同様に再現している。またb部のピボットピン外周の形状も純正ではいびつだったが、NBORDEでは現行ロアレシーバーに見られる綺麗なラウンド形状で再現している。
ポートカバーリブにはピボットピンのディテントピン・スプリングの穴も再現。
マガジンハウジング。アルミ製のSTNAGカスタムマガジンで1日ゲームをしたところ、エッジ部分が僅かに擦れてきた。塗装と違って、使えば使うだけアルマイトの味が出てきそうだ。
まだゲームでハードな使用をしていないが、走り回った際にレシーバー側面などは装備にゴリゴリ当たっていたのだが、傷はとくについておらず、よほど金属が強く当たらなればあっさりと傷付くこともなさそう。
トリガーガード内側に再現された段差。トリガーガードのピン穴位置はもちろんリアルサイズ。各種トリガーガードが無加工で装着可能。
レシーバーのグリップ湾曲部分は軽く面取りされている。
実射してみると加工精度の高さから、メカボックスの収まりも良く、引き締まった作動音になるそう。とはいっても実際にノーマルとその場で聴き比べてみなければわからない程度ではある。
硬質なアルミ素材から削り出された加工精度の高いレシーバーに、こだわりの打刻、硬質アルマイト処理、など、これまでに発売されたトイガン用M4A1レシーバーの中でも最高の再現性だと思える。これだけでも買いのレシーバーなのだが、さらに判る人には判る各部ディティール、こだわりの再現度、そして気になる部分も見て行こう。ここから先はAR沼に生息する変態さんのみ読んでくださいまし。
NBORDEのレシーバーはCOLT DEFENCE刻印のM4A1カービン、官給品のミリタリーモデルを再現している。
ここでは2009年に横田基地の友好祭で展示されていたPJの使用する同モデルの写真と比較してみる。
この写真をNBORDEの開発者に確認してもらったところ、「まさに目指したのはこのレシーバー」ということだった。
まずは全体のフォルムと刻印。隊員が塗装を施しているのでコルトのマークなどは潰れ気味なのだが、確認はできる。M4A1 CARBINEのフルオートモデルで、製造会社刻印はCOLT DEFENSEとなっている。
マガジンハウジングのアップ。この個体はかなり綺麗に刻印が入っていて、マグキャッチ、アッパー&ロアのレシーバー接合ラインなどをみても、マシニング加工精度が高い個体と思われる。またシリアルナンバーの文字サイズが少し小さく、フォントも異なることがわかる。
セレクター周り。ハンマーピン、フルオートシアピンが完全にツライチではなく、少し出っ張っている。
逆側から見てみるとフルオートシアピンはツライチ程度、ハンマーピン、トリガーピンもわずかに出っ張っているように見える。ボルトフォアードアシストノブのピン位置は基本的には上下なのだが、この個体は斜めについている。結構実銃はこのあたりがいい加減だったりする。
レシーバーエンド付近のリブ形状もNBORDEレシーバーはうまく再現している。補強リブのエッジ部はもう少し丸みを帯びていても良いかも。NBORDEレシーバーは全体的に作りがシャープな印象。鍛造のダルさと、切削のシャープさをどのバランスで再現するのかはM4レシーバーにおいて重要な部分。
この実銃のM4A1はボルトの綺麗さから、まだほとんど使用されていない新品状態。ちなみにポートカバーのスプリングはブラック仕上げ。ハウジングに貼られたQRコードシールまで塗装されている。
レシーバー左側の補強リブaのラインが下側に湾曲していたり、bのラインが軽い弧を描いている部分など再現度が高い。cのラインも全く同じ。
気になる部分としてはトリガーガード前が固定されるb部分の形状がやや異なるように見える。また、aのマガジンハウジングに続く段差の幅が少し薄く感じる。
セレクターのストッパーの形状比較。実銃のほうがやや楕円の短径(天地)が短いように見える。
ちなみにこれは2007年の横田基地で展示されたCOLT DEFENSE製のM4カービン。A1ではないので3点バーストセレクター。ロアレシーバー後部の補強リブ幅など、M4A1とは差異が見られる。
2005年の横田基地で警備兵が持っていたM4カービン。フォージマークはディマコ社/アンカーハービー社。こちらもテイクダウンピン周りの肉盛り形状にM4A1とは差異が見られる。
セレクターがSAFEなので、ハンマーが起こされている状態。と言うことはチャンバーに装填して警備しているということ。こうやって実銃のレシーバー写真と比較してみるとNBORDEのブラスト処理はわずかにザラつきが強い気もする。
とまあ、今回このNBORDEの開発者とお話をさせてもらったのだが、その深い知識と蓄積された資料、なんといっても再現への意欲など、かなりのこだわりを感じた。今後発売されるであろう、コルト以外のレシーバーにも期待が高まる。値段はお高めだが、それにふさわしい作り。ぜひ一度店頭で実際に商品を手にしてみてもらいたい。NBORDE、今後注目のメーカーだ。
NBORDE 公式サイト
MOVE トレポンのページ
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