電動ガンの電子制御化:プリコックとブラシレスモーター

ここ数年、電動ガンの電子制御化が進んでいる。FETやマイクロスイッチを使用した電子トリガーをはじめ、センサーや制御回路を内蔵したギアの回転位置検出、ピストンを後退位置で停止するプリコック機能なども登場している。
このプリコック機能はトリガーを引けばすぐにピストンが前進して弾が発射されるため、発射レスポンスが向上するが、ピストンを毎回同じ位置で正確に停止させる必要があり、バッテリーの電圧変化やセッティングによってはオーバーランしてしまったりすることもあった。
また、射撃停止時の安全性や、後退停止したピストンの解除方法などがメーカーによってまちまちだったりするのが現状だ。
その状況にヒントとなる製品があったので、ここで紹介したい。

ブラシレスモーターカスタム
前回の爆裂祭でBigOutが開発中として展示していた、VFCの電動ガンMP7A1のブラシレスモーター+電子回路を搭載したカスタムコンプリートだ。

以下図にてBB弾の発射順序を解説する。
なお、図ではギアやタペットプレート、スプリング等の部品は省略している。

まず通常ではピストンとノズルは前進している状態。


マガジンを装填すると、それを検知して自動的にモーターが駆動し、ピストンを後退させる。
ピストンが後退すると、その過程でギアとタペットプレートに連動したノズルが後退、前進を行う。
また、ボルトキャッチを操作することでもピストンを後退させることができる。


ピストンが後退しきって、ノズルが前進し、弾をチャンバーに送った状態でユニットが一時停止する。これが発射待機状態。セミオートでもフルオートでもトリガーを離せばこの状態で常に待機する。
ブラシレスモーターにより、毎回正確にこの位置で停止制御できるようになっている。


トリガーを引けばセクターギアがほんの少しの回転でピストンをリリースしてBB弾を発射。
プリコック機能のトリガーレスポンスの良さはここにある。


再び、ピストンが後退、ノズルが1往復して弾をチャンバーへ送り、発射待機状態にもどる。
基本的にこのサイクルの繰り返しとなる。


最後の弾をチャンバーへ送ると、マガジンフォロアーが検知され、最後の一発と認識される。


最終弾を発射すると、ピストンは前進位置で自動停止する。
これで最初の状態に戻り、マガジンをリロードすればピストンが自動後退して初弾をチャンバーへ送る。初弾から確実に弾が発射されるようになっている。


マガジンに弾が残っている状態で射撃をやめ、マガジンを抜くと、弾がチャンバーに装填されたままになる。ゲームが終わったケースではよくあるが、この場合は1発 弾抜き発射を行えば、ピストンが前進した状態で停止するので、従来同様の安全手順となる。VFC MP7の場合はマガジンセフティが効いているので、ボルトキャッチを押しながらトリガーを引く必要がある。

VFCのMP7A1の場合、マガジンセフティ(検知)とチャンバーのフォロア検知でこの機能を実装しているが、東京マルイ等が採用するフォロアーリンクスイッチ式のオートストップでも応用が可能だそう。
マガジン検知と、弾が装填されているかの検知が重要で、そういう意味ではローディングセンサーといった機能が今後重視されるのかもしれない。

今回のMP7ではマガジンを装填すると自動でピストン後退が行われるが、例えばAR系であればチャージングハンドルを引いたり、ボルトキャッチを押すことでピストン後退が行われれば、より実銃に近い操作性になるだろう。

電子回路とブラシレスモーター化により、回転安定性の向上、回転制御が緻密に行え、電動ガンの操作性が向上するこういった機能は今後の電動ガンのスタンダードになっていくと思われる。

製作協力:BigOut

2019/11/07

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