SIG SAUER P320 シリーズラインアップ 実銃レポート撮って出し!
Photo by Takahiro Soyama / Text by Takeo Ishii
2017年初頭、米陸軍の新規制式サイドアームを決めるべく、それまで10年近くも続いていた「XM-17MHS(=モジュラーハンドガンシステム)トライアル」が遂に決着!
SIG SAUER製のストライカー拳銃、P320が勝利しました。現在も粛々と米軍に配備されつつあるU.S.M17そしてU.S.M18ことSIG SAUER P320ですが、CQB GUAMは米軍制式拳銃への決定が発表される少し前、2016年の秋から導入を始めており、現在(=2020年7月)なんと8モデルをラインナップ! 「グアム観光射撃場としては最高に充実したP320コレクションである♪」と自負しております。
SIG SAUER P320 NITRON CARRY
●全長:183mm
●全高:140mm
●銃身長:99mm(=3.9インチ)
●重量:735g
●使用弾薬: 9×19mm
●装弾数:17+1発
CQB GUAMにあるP320の最古参がこのナイトロン・キャリーです。皆様にはお馴染みのハンマー式ダブルアクション拳銃SIG P226とほぼ同じサイズ感で、従来のSIG拳銃ファンなら違和感のない程よい大きさ。SIG好きで手の小さな常連様がCQB GUAMにいらした時のご自分専用の銃として出資され、一般のお客様にもレンタルするプレミアムメンバーズ銃として登録されました。それが米軍制式採用拳銃に決定する数ヶ月前の2016年秋でしたので、お客様の先見の明にはスタッフ一同感心した次第です。「ナイトロン」というのはSIG 社製拳銃に見られるステンレス製スライドの黒染め仕上げを意味します。
SIG SAUER P320 FDE COMPACT
●全長:183mm
●全高:135mm
●銃身長:99mm(=3.9インチ)
●重量:731g
●使用弾薬: 9×19mm
●装弾数:15+1発
P320コンパクトは従来のハンマー式ダブルアクションSIGで言うとP228やP229に相当するサイズ感です。「XM−18」として発表されたモデルとそっくりのFDE(=フラットダークアース)仕上げの銃をCQB GUAMでは2017年6月から保有しています。
SIG SAUER P320 TACOPS FULL
●全長:203mm
●全高:140mm
●銃身長:119mm(=4.7インチ)
●重量:836g
●使用弾薬: 9×19mm
●装弾数:21+1発
SIG P320の米軍制式採用を記念し、「特殊作戦=タクティカルオペレーション」を意味するTACOPS(タックオプス)の名を冠されてリリースされたスペシャル・パッケージ。グリーンのファイバーオプティクス・フロントサイトと21連ロングマガジン4本がセットで販売されました。P320フルサイズ、大きさ的にはベレッタM92FSに近いです。
樹脂製フレームに組み込まれたステンレス製シャーシに「銃としての機能」が全て集約された画期的な設計になっているP320。まるで電動ガンのメカBOXのようですね。シリアルナンバーもこのシャーシに打たれています。
初期の段階でCQB GUAMに導入された3挺のP320です。SIG SAUERのWEBサイトによれば、トリガーセフティやサムセフティ、マガジンセフティはオプション扱いになっているそうです。またP320が凄いのは、コンパクトのスライドをフルサイズに載せ替えた時や、その逆でも平気で撃ててしまうところです。これがグロックだとG17とG19のスライドに互換性はありません。この対応力、柔軟性こそが案外MHSトライアルの勝因だったのでは? と我々は考えています。
左から21連ロング・マガジン、17連スタンダード・マガジン、15連コンパクト・マガジンです。コンパクト・マガジンはコンパクト専用ですが、他のマガジンは全て互換性があります。
SIG SAUER P320-M17
●全長:203mm
●全高:140mm
●銃身長:119mm(=4.7インチ)
●重量:833g
●使用弾薬: 9×19mm
●装弾数:17+1発
サムセィフティ、ローディング・インジケーター、オプティカルサイト対応のリアサイトカバー等、米軍に制式採用されたP320であるU.S.M-17とほぼ同仕様のモデルがこのP320-M17になります。軍用は全てがコヨーテ・ブラウン仕上げですが、P320-M17ではトリガーやセフティ、分解ラッチ等のパーツがブラック仕上げなのが見分けるポイントになります。
「SIG SAUER P320」の後方にある「M17」の刻印に、ミリタリーマニアはヤラれてしまいますよね(笑)。
新品のバレルは本当に綺麗ですね。既にかなりのお客様に撃って頂いてますので、現在は上面に擦れ痕が残っているハズです。
他のP320シリーズよりも薄く軽く作られたトリガーがM17には付いてました。
かなり小さく出っ張りも控えめなサムセィフティとスライドストップですが、取り付け位置・操作感ともに絶妙です。もちろん反対側にもあるアンビデクストラウス(=左右両利き)仕様です。
リアサイトカバーはスライドの内側からネジで止まっており、これを外すと小型ダットサイトをダイレクトマウントするためのネジ穴が露出します。チェンバー後部にはローディング・インジケーターも見えます。
SIG SAUER P320-M18
●全長:183mm
●全高:140mm
●銃身長:99mm(=3.9インチ)
●重量:797g
●使用弾薬: 9×19mm
●装弾数:17+1発(or 21+1発)
米軍制式採用モデルとして発表されたXM-18はP320コンパクトをベースにしていましたが、民間モデルとして発売されたP320-M18はグリップの長さがP320キャリーと同じでした。軍用のU.S.M-18もこれと同じくキャリーなのか、それとも軍用版だけはコンパクトなのか? は現在未確認です。マガジンはスタンダードが1本とベースがコヨーテブラウンの21連ロングが2本付属していました。
P320シリーズはこんなケースに入って納品されます。
新品状態での中身はこんな風に丁寧に梱包されています。
P320-M17には17連マガジンが2本付いて来ました。チェンバーには残弾がないことが一目で判る樹脂製のセフティプラグ。「M17」のパッチとグリップに巻かれたラバーバンドは、ファンには嬉しいオマケですね♪
SIG SAUER P320 X-FIVE TWO TONE
●全長:216mm
●全高:147mm
●銃身長:127mm(=5.0インチ)
●重量:850g
●使用弾薬: 9×19mm
●装弾数:21+1発
SIG P320の競技用セミカスタムがこのX-FIVEになります。バレルが少しだけ長くなり、スライドは軽量化カットの入った競技銃らしいものに。ファイバーオプティック入りのフロントサイトにフルアジャスタブルのリアサイト、細身になったフレームと大型マグウェル、そしてストレート・トリガー等、全身がノーマルのP320とは一線を画したカスタム仕様になっています。またトリガーの引きも軽くなっています。
X-FIVEには21連ロングマガジン(右上)、X-FIVE LEGIONには特製バンパー付の17連マガジン(左下)が付属します。これは各モデルが想定している競技のレギュレーションに合わせたセットアップで、マガジン自体には互換性があります。
X-FIVE(右上)とX-FIVE LEGION(左下)のスライド内部比較。大きな変更点は無いように見えますが、両者を比較するとX-FIVE LEGIONのトリガープルはX-FIVEよりもさらにスムーズです。
SIG SAUER P320 X-FIVE LEGION
●全長:216mm
●全高:147mm
●銃身長:127mm(=5.0インチ)
●重量:1,200g
●使用弾薬: 9×19mm
●装弾数:17+1発
X-FIVEをシューティング・マッチのレギュレーションに合わせてさらに研ぎ澄ましたモデルがX-FIVE LEGIONです。タングステン粉末が練り込まれたフレームはいわば「ヘヴィーウェイト樹脂」であり、1,200gに増加された重量が発射時の反動コントロールを容易にします。
トリガープルも通常のX-FIVEよりさらに軽くなっています。GUAMのTOPシューターたちが現在こぞって使用しており、次回のマッチでは日本人シューターもこの銃で好成績を挙げる事でしょう。
SIG SAUER P320 X-CARRY FDE FLAME
●全長:178mm
●全高:140mm
●銃身長:91mm(=3.6インチ)
●重量:722g
●使用弾薬: 9×19mm
●装弾数:17+1発
X-FIVEのマッチグレード仕様はそのままに、コンパクトサイズのスライドを乗せたキャリーバージョン。スポット生産だったので現存数は極めて少なく、さらにFDEフレームのモデルは稀少品といえます。短めのコンペンセイターなど取り付けたら最高に似合いそうですね。
CQB GUAMがツアーに使用しております射撃場=チャモロ・シューティング・レンジは5月11日より再開しローカルシューターたちの活動も徐々に復活しておりますが、2020年7月23日現在、グアム政府は「新型コロナウィルスに感染していない事を公的機関が発行する書面で証明できない来島者」については14日間の強制隔離を継続中です。同様に日本政府も海外からの帰国者については入国時の健康診断、及び14日間の自主隔離、といった措置を取っている状況ですので、以前のような旅行やツアーの再開はかなり先になりそうな予感が致します。
ともあれ、私共と致しましてはいつでもお客さまをお迎えできるよう、全ての保有銃器をクリーンナップするとともに、万全の体制で皆さまのご利用をお待ち申し上げております。現在もアメリカでは銃や実包の価格が高騰しておりますが、銃のラインナップも引き続き増やしつつ、これまで通りの料金にて催行させていただく所存です。励ましや応援のメッセージ、どうもありがとうございます。
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制作協力:CQBグアム
石井 健夫(いしい たけお) CQB GUA/ジャパンサービス部 代表 1967年12月、東京都生まれ。 |
ソヤマ タカヒロ CQB GUAM/WEBマーケティング担当 兼 実弾射撃サブコーディネーター 1964年9月、神奈川県生まれ。 |
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